ジャンルを問わず、

「一番尊敬している人は誰か？」

と訊かれたら、

迷わず

「山田孝之です！！！！！！！！！」

と答える。

食い気味に答える。

昔から山田孝之の演技がずっと好きなのは勿論、

最近の山田孝之は演技以外にも本を出してみたり、

歌ってみたり、

ガラスの会社の取締役になってクラウドファンディングでお金を集めてみたり、

映画を制作してみたり、（出演はしない）

ドラマのプロデュースをしてみたり、（出演はしない）

一日中女性のバストを測り続ける仕事をしたり、

もうとにかく「思いついたこと片っ端から全部やってるの？」というくらい、

めちゃくちゃ楽しそうにやりたいことを全力でやりまくっているからである。

そんな山田孝之は、

昨年もとんでもない番組をやらかしてくれた。

「緊急生放送！山田孝之の元気を送るテレビ」

である。

番組の内容は、

「山田孝之の周りでは不可思議なことが相次いで起こる。山田孝之は不思議なパワーを持っているのではないか？テレビを通じて山田孝之が元気を送るので不思議なことが起こった視聴者の皆さんはツイッターで報告して下さい」

というもの。

山田孝之は目を閉じてスタジオの真ん中に大きく座り、

「日本中に元気を送る」と称して一言も喋らない。

番組MCにはテレ東女子アナといとうせいこう、

ゲストには小池栄子、松岡茉優、紀里谷和明監督、假屋崎省吾。

全員が全員神妙な顔をして山田孝之と一緒にいる時に起こった奇跡体験を語り、

そして番組内でも山田孝之が起こすであろう奇跡を、至って真面目に、真剣に、刮目しようとしているのである。

この番組がヤバイところはいくつもあるのだけれど、

まず出演者全員が超真剣な顔をしており、

そして山田孝之が起こしたとされる奇跡VTRが全部、

「どう考えても嘘じゃん・・・」

ていう内容のものばかりなのに、

ギリギリ「ドキュメンタリー風」を装っているところ。

そして、山田孝之は「日本中に元気を送っている」という説明だけで、

番組内では（奇跡VTR以外）終始一言も発することはない。

そして視聴者からツイッターを通じて続々と寄せられる

「山田孝之が起こした奇跡」

には、

「ずっと家出していた父が突然帰ってきました」

「寝たきりだった祖母が突然起きて踊り出しました」

などが寄せられ、

完全にツイッターを通じた

「山田孝之が起こした奇跡『大喜利』」

状態が繰り広げられる。

（そして出演者が口々に真顔で「凄い」「さすが・・・」と称賛したりする）

そしてついに番組の終盤では、

『溺れたエビ！』によるLIVEが始まり、

その音楽に乗せて小池栄子と松岡茉優は狂ったように踊り出し、

紀里谷監督も何かに取り憑かれたようにカメラのシャッターを切り続け、

その横では假屋崎省吾が一心不乱に花を活け続け、

いとうせいこうはその中でツイッターに寄せられた奇跡体験を最後まで読み上げ続け、

カオスオブカオスの画面のまま、

何の説明もなくそのまま番組は終了するのであった。

私は番組が終了したあとしばらく笑いが止まらず、

「こりゃあとんでもないものを見てしまったぜ・・・」

と思った。

「悪ふざけを真剣なドキュメンタリー風に仕上げて、　
　視聴者を混乱と笑いの中に落とす」

というのは、

『山田孝之の東京都北区赤羽』や『山田孝之のカンヌ映画祭』

などのドラマなど、

「山田孝之×テレ東」のもはやお馴染みになりかけているのだが、

この番組はそれまでのドキュメンタリー風ドラマとは違い、

一昔前の「超能力検証系」のドキュメンタリー風仕上げの、

超新感覚バラエティショーだった。

色々なことがうるさくなってテレビがつまらなくなっている、

と言われている今、

こんなに訳のわからないテレビ番組を放送したテレ東はやっぱりテレ東を貫いていて凄いし、

この番組を（一応俳優なのに）自分の冠番組としてやってしまう山田孝之もやっぱり凄いし、

私はこの番組を見た後「やっぱり山田孝之は最高」、

と改めて思い、

「今後も山田孝之のやることには注目し続けていこう・・・・・・」

と、強く強く思いました。

そしてここまで書いておいて何なんですが、

この番組が放送されたのは2018年ではなく2017年だった、

ということを謝罪して訂正いたします。

一昨年の放送なのに昨年のように鮮明に記憶に残ったというのも、

山田孝之が起こした奇跡、

ということで、

一つ、何卒・・・・・・