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長門有希(と、古泉一樹)の100冊+α ①

『長門有希の100冊』にひとことコメントを寄せる古泉と、『鶴屋さんの挑戦』でミステリ談義に同席する古泉と長門に萌えたぎって読み始めた書籍の感想です。

※順不同
※ネタバレ
※出典表記のない引用は『長門有希の100冊(ザ・スニーカー 2004年12月号掲載)』から
※推しカプに近づきたいという動機で読んでいるためカップリングフィルターが爆強



海がきこえる/氷室冴子

古「うらやましくなるくらいの爽やかな青春ドラマですね。長門さんもそうですか?」

これに「……(こくり)」と答える長門と、まさか返事があるとは思ってなくて動揺する古泉が織りなすベタな青春ドラマ、渇望です。
あと、青春的恋愛を「うらやましい」と称賛する古泉が『ヒトメボレ』では長門宛の告白を伝達したキョンにすごく嫌味っぽいことに、ほのかな古長の波動を感じる。たぶんこれ、この間も書いたけど。


妄言は置いといて感想を。
ジブリで映画化していたのは知ってるけど未視聴、という状態で読み始めました。
古泉の感想に概ね同意で、スーパー爽やかな青春ドラマでした。
検索すると候補に「海がきこえる エモい」って出てくるだけのことはあるわ…
爽やかだけではないほろ苦要素もあるけど、エグい展開は無いので安心して読めます。
夜、ヒロインが泣きながらホテルの部屋に来て酔っ払って寝ちゃっても、浴室のバスタブで一夜を明かすことにする主人公の清らかさとかね…たまらん。

ヒロインの里伽子は、美人だけど勝ち気でいつも不満気で、人を振り回したりしれっと嘘をついたりもする女の子。
でも強がっていて脆いところもあって、痛々しいくらいのひたむきさも持っていて…というあたりに、なんとなーく初期ハルヒを重ねながら読みました。
こういう破滅的で不安定な女の子の魅力に惹かれる気持ち、すごく分かる。闇というか〝陰〟の気配を持つ人は、陽気な人より意外とモテるって昔リリーフラ◯キーの本で読んだし。

里伽子と拓と松野の三角関係の、基本的には表立ってバチバチしない(というかそもそも拓は自分の気持ちを自覚しないようにしている)のがリアルでした。
拓と松野の友情も良かったです。ベタベタしてないけど、つながってる感じが。
何も話さないままでも、時間が解決することってあるよね。分かる。

三人が三人ともひりひりするような青春を送っていて、それぞれの気持ちの変化がとてもリアルで苦しくて恥ずかしくて、でも読後感はすっきりさっぱりしているという不思議な小説でした。

イラストも美しくて、こういう萌え絵ではないラノベ(なのか?)も良いなーと思いました。
続きが気になる…続編も読みたい。


そしてこの本、『ワンダリングシャドウ』で長門がキョンに貸した本である説がありますね。
(長門有希の100冊=部室の本棚の本であることが前提になるけど)

「なんか面白い本ないか。今の俺の気分にぴったりなものは」という俺の問いに、長門は五分ほど棚の前で硬直していたが、おもむろにこれを俺に突きつけた。まだ中盤までしか読めていないが、それは高校生から大学生に至る二人の男女が織りなす恋愛小説らしく、SFでもミステリでもファンタジーでもない、ごく普通の世界の物語で、様々な意味でその時および現在の俺の気分に合致していた。

『涼宮ハルヒの憤慨』 谷川流

この場面、以前は「普通の本を選ぶ長門、人間に近づいてる感あるな〜」くらいに思ってたけど、貸した本が『海がきこえる』だと仮定したらちょっと見方が変わるな。
キョンの心情に合う一冊としてこれを選択する長門は、もはや、キョンにハルヒへの感情を自覚させようとしてるんじゃないかとすら思うんだけど…もしくは今のキョンハルは側から見たらこんな感じだって暗示してるとか…

個人的に、長→キョンは『消失』で砕けて『陰謀』で見切りをつけたと思っているので、『ワンダリングシャドウ』の頃の長門がキョンハル推進派(というより、そろそろはっきりしたら?派)でもおかしくないと思います。
その方が『陰謀』でキョンに説教する自立した長門、という場面も生きてくるし。

何にせよ、この小説から感じる諸々を〝様々な意味で〟で済ませるキョンはちょっとずるい。
〝様々〟に含ませすぎだから。意味を。
だってこれ読んだら…ぜったい里伽子にハルヒを重ねたり、このまま卒業したら物語の二人みたいに離ればなれになるんじゃないかとか想像するでしょ…この頃まだ『驚愕』前だし…
していなかったとしても、私の中では連想していたということにしておきます。
早くキョンハルがくっついて古長がいい感じになる世界線に行きたい。



クレープを二度食えば/とり・みき

古「個人的には朝比奈さんにお薦めしたい作品です。」

勝手な妄想を書きます。
長門は『クレープを二度食えば』はみくるちゃんに、『少年エスパー戦隊』は古泉に、という意図で選んだんじゃないかなーと思っています。
なぜならその方がかわいいから。
こう…「あなたたちっぽい本があるんだけど…(チラッチラッ)」という誘い受け感があるというか…日ごろあまりコミュニケーションを取らないけど、ちゃんと二人の背景は理解しているという密かなメッセージみたいな…
そしてこの、触れて欲しいんだろうなーってチョイスに、古泉がしっかり言及しているのもめっちゃかわいいと思います。未読だけど『少年エスパー戦隊』にも古泉がコメントを寄せてるし。
『少年エスパー戦隊』を見た古泉の微苦笑が目に浮かぶようだよ…やっぱ古長よ…


古泉のコメントから察せられる通り、表題作は時間SFです。
竹下通りで変なクレープを頼んだら8年前から女の子がやって来て、でも本人は記憶喪失になっていて自分が誰なのかも何のために来たのかもわからなくて…というタイムパラドックス+ラブコメ漫画。
女の子の正体には途中でうっすら気づいてしまったものの、なるほどな〜となる展開も多く、楽しく読むことができました。
クレープ屋の正体は予想できなかったけど、最後のこういうしめくくり方、好きだなー

ハルヒ関連の話をすると、現代にやって来たものの目的が分からないというのは『陰謀』のみくるちゃん味がありますね。よく分からないまま主人公に別の時代に送られるところとか…

短編集なのでソフトにエッチな話があったり、作者のとり・みきさんの自伝的漫画があったりで興味深かったです。…古長も読んだのかなエッチなやつ…
当時は〝オタク〟や〝陰キャ〟の代わりに〝SF〟って呼び方があったらしい…知らなかった。



夏への扉/ロバート・A・ハインライン

タイムトラベル系なのは知っていたけど、メインはまさかの冷凍睡眠。
手塚治虫の漫画とか、相対性理論の歌詞とか、韓流ドラマで観たやつだ!と盛り上がりながら読みました。好きな創作の原点を知るの大好き。

1956年刊行らしいけど、この頃から冷凍睡眠や家事のお手伝いロボなどの発想があったことに驚く。今は一般家庭にルンバが普及していることを思うと感慨深いな。
主人公が未来に行ったり過去に戻ったりと複雑ですが、難しくはなかったです。きっと幼少期から触れてきたドラえもんのおかげ。
伏線がいっぱい張ってあってどんどん回収されていくのが気持ち良かったです。
最後もきれいな大団円だし。
見ようによっては冷凍睡眠って、ある意味異世界転生かもしれないな。


しかし、リッキィが心変わりしていたら生々しくて面白かったのに…と、思わずにはいられませんでした。めちゃくちゃ底意地の悪い発想だけど。
正直、11歳の女の子が(どんなに慕っていたとはいえ)30歳近いおじさんを好きでい続けるのは無理があると思うんだ。
それに11歳の女の子に、21歳になったら冷凍睡眠するように言い含める→目覚めたら30歳の主人公と結婚ってなんか…そこそこ気持ち悪くない…?
70年近く前の作品だし価値観が違うことは承知だけど、現代の私としてはグルーミングにしか見えませんでした。
フィクションにこんなことを言うのは無粋だけども。



火刑法廷/ジョン・ディクスン・カー

「どれか一つと言われたら、それはもう『火刑法廷』に尽きますね。ラストのエピローグ、ある人物の独白がもたらす衝撃といい、ホラーとミステリ、二つのジャンルを融合させる傑出した手腕といい、物語としての完成度が桁違いです」

『涼宮ハルヒの直観』 谷川流

古泉おすすめミステリ。
『長門有希の100冊』ではなく『鶴屋さんの挑戦』で古泉が語っていた本です。
読んだら古泉のセリフの意味が分かってすっきりしました。言ってること、めっちゃ分かる…!
トリックも犯人も判明してひと段落かと思いきや、最後にあれをぶち込んでくるのは確かに衝撃的でした。
ミステリとオカルトって相反するものだと思ってたけど、こんなまとめ方もあるのか…
どちらの見方でも解釈できるけど、個人的にはオカルト的終結が好きです。不思議なことは存在していてほしい派なので。

一時期拷問系の本を読み漁っていた時期があったため、ヴランヴィリエ侯爵夫人が物語に関わっているのにも興奮しました。
じょうご(水を注ぐときのアレ)を異様に怖がる女とかね…ほくそ笑んじゃったよね…


ヴィーナスの命題/真木武志

古「こんな舞台設定で主役ができたらと思いますね。長門さんはどうです?」

『長門有希の100冊』への古泉のコメント、常に長門に話しかけまくってて本当にかわいい。返事がないことは分かっていそうなのにたくさん話しかける犬っぽさ好きすぎる。
Tが来るまでは、ときどき古泉からこんな風に話しかけてたのかもしれない…返事はなくとも話を聞いてる気配だったり、たまーに長門が小さく頷いたりという反応をひっそりと楽しむ古泉……かわいすぎるな!?(妄想です)



とりあえず読んでみての率直な感想を書きます。

わからない。

こんなに理解できない小説、初めてかもしれない。
ちゃんと読んでるつもりなのに読んでも読んでも分からなくて、でも読み進めることはできるからとりあえず読み終わった…けど……?という感じ…
なんだかすごく頭の中がもやもやしました。
たぶんあと2、3回は読まないと理解できなさそう。
視点が変わりまくるのと名前の呼び方が統一されていないせいか、メモを取りながら読んでも混乱してしまった。
謎解きは無理すぎて序盤で諦めました。
でも後半の展開はめっちゃ面白かったです。完全理解とはいかなかったけど、最後の「保留」にはグッときました。この小説にぴったりの言葉だと思う。
あと一人称「ぼく」を使った叙述トリックに、『分裂』の佐々木を思い出すなどしました。

で、古泉のコメントなんですけど…
まず古泉の言う〝舞台設定〟は、この小説特有の芝居がかった言い回しや、登場人物たちの迂遠な会話を指すのかなと思いました。言葉どおりの〝舞台設定〟だと、普通の進学校で飛び降りが起こるという、わりと普通な設定なので…
それを踏まえると『朝比奈ミクルの冒険』でのイツキとユキの意味深な会話って、ちょっとこの小説っぽさがある気がする。
「保留」を提案するところとか、当人同士だけが理解し合ってるような会話が繰り広げられていくところとか…たまたまだろうけど。
でもときどき展開される、キョンや読者を置いてきぼりにする古長の会話の根底に、二人が読んだ本があるのかもしれないと思うと気分が高揚してきます。
推しカプ解釈がはかどるぜ。






ハチナイ

ハルヒが殿堂入りしました!

URハルヒの戦力が5000↑になってくれて本当に嬉しい。ハチナイを始めてからずっとスタメンの選手だし。
あとはみくるちゃんだ…!

配布の蒼天舞子完凸などもあり、チーム評価も上がりました。

このままSOS団スタメンのままEX10になるのが目標です。
コツコツ殿堂入り増やしていったらいけるかな。

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