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情報のさばき方ー四方山譚ー

戦争宣伝10のレトリック

  1. 我々は戦争をしたくない

  2. しかし、敵側が一方的に戦争を望んだ

  3. 敵の指導者は悪魔のような人間だ

  4. 我々は領土や覇権のためでなく偉大な使命のために戦う

  5. 敵は残虐行為に及んでいる

  6. 敵は卑劣な兵器や戦略を用いている

  7. 我が被害は小さく、敵の被害は甚大

  8. 知識人も正義の戦いを支持している

  9. 我が大義は神聖

  10. 正義を疑問視する者は裏切り者

情報分析5原則

①情報力の基本はインデックス情報にある。
 情報として保持せず、どこに情報があるのか指示情報を基本とする。
 →取材というに関してはそのとおり、しかし、ネットの情報資料に
       関しては常にあるかいつまであるか不明のため、見つけた時に内
       容まで保持することをお勧めする。

②情報力の基本は自分の位置情報
 自分が得た情報の正確さやなぜ自分がその情報を得ることができたのか 
 という理由を、客観的に測る上で、自分の置かれた立場・環境を正確に
    認識しておくことは重要である。
 これができていないと偽情報や情報操作から身を守ることは出来ないし、
    情報にかかるバイアス(偏り)を補正することはできない。

③膨大な情報を管理するコツは情報管理の方法を出来るだけ簡単にする。
 →なんでも記録できるツールを活用する。ただし保全を保つためにはいく
 ばくかのお金がかかる事を覚悟すべき。そこまでやる気がないのであれば
 別の道に進む事をお勧めします。

④情報は現場や現物にあたり判断にあたっては常に現場におろして考える。
 第1の意味:事前情報と現場のズレを確認すること
 第2の意味:真偽を見極めるには1次情報(真の関係者や資料の現物)に
       あたって確認する。
 →好奇心と観察力を大切に、小さな変化に目も向けよ

⑤情報発信者の意図やメディアのカラクリを知り、バイアスを取り除く。
 情報を流す側の狙いを考える。メディアのバックボーン(情報の黒幕) 
 とはなにか探る。
 レトリックによる情報操作ではないかと評価して客観的に分析する。 
 →特に関係機関と称するところは、教える情報には必ず狙いがあると考え
  たほうが良い。お土産やチケットで関係を構築する事をそろそろ終わり
  にすべきだ。

新聞分析
①1紙対象
報道記事を書く要領は、まず数ある情報の中から、1H5Wの6要素に絞り込み事実を確定する。その後、ニュースの価値を判断し掘り下げを行い与えられた字数(掲載できる量)に合わせて記事を完成させる。
このことから考えると記事の分析は、量に惑わされることなく概ね作成の逆順に分解し、8何の原則と照合し、我々にとってどれぐらいの価値があるか評価し、足りない部分を他の情報資料で補うかなければ追加収集をかけ我々が必要とする情報に近ずけば良い。

②複数紙対象
大きな事象に関する報道や社説は、各報道機関によって違いが生じる。
これは各機関にの思惑や基本的立ち位置または記者の立ち位置に影響を受ける。どの新聞がどのように報じたかだけの分析は、上級機関の担当部署に任せておけば良いが、我々はさらに深く分析して将来を見積もることが必要である。そのような分析の手法として、米国流分析術は参考になる。

米国流分析術の要領は

論点表を作成し、どの見方が説得力があるか評価する手法である。
まず、事実を確定する。次に分析参加者ごと論点を明らかにし、その論点ごとの主張に対し賛成か反対か主張事実を明らかにして論点表を作成する。
その論点表を比較検討した論点表作成の議論を行う。
そして最も説得力がある記事を再構成する。
これが、米国流の分析術である。

この論点表を作成するにあたり以下の注意事項がある。
・論点の項目には推測・憶測は入れない
・結論ありんきの議論誘導は行わない。
・上下関係や老若・年齢などが影響しないよう公平公正な議論をする。
 →価値の中立
・各論点ごと対照できる表最終論点表を作成する。
 →相手の論点に対し主張や事実がないからといって分析対照から外さな 
  い。

米国流提言
決定者権者に提言を行う際、我が組織ではどのように行っているか?
概ね複数案を示し担当者のお勧めが何かを提示するのが一般的だ。
担当者の能力や経験等によって、案だけて提示する者から案のメリットとデメリットお勧めの理由まで提示する者まで幅があると思うが、米国流には大きく違う点がある。
それは必ず何もしない現状維持という案がメリットとデメリットを明らかにした上で入っている点と担当者のお勧めを言わないことである。
この方法は、権利者の判断をミスリードしないし、それぞれの権限と責任を明確にする効果がある。
我々の組織は権利者が権利者としての権限を行使していないのが現状ではないか?人が生きるか死ぬかの状況を常に意識して行動する米国流の方がシビアな結論を求めることができると思う。

教訓的事項

  • 人は、情報をある程度知っている人間にしか話さない。

  • 情報に近い立場にいる人ほど口を閉ざす傾向が強く、話してくれる人ほど情報から遠く詳細を知らない。                   →取材相手の基礎調査は出来るだけ詳細に実施する。たとえ趣味的な取るに足らない内容でも知っておく。趣味や嗜好はその人の人格の延長にあることを忘れてはいけない。

  • 断片情報を積み重ね中枢情報へ近づく。               →保全を維持しつつ長く活動するには重要な教訓、顔を晒す作業は最後のチャンス1回と心得るべきだ。

  • 軍事情報は、地理と歴史を基礎に、実証的かつ具体的数字を積み重ねる。→軍事情報に限らず、人が形成する地域社会は、地域の地理(気候・地形)・歴史(地域の歴史もそれぞれ、東北で官軍は正義か?)に影響を受けている。地方の選挙でなぜ革新が勝つか単純にイデオロギーだけで判断すると誤る。イデオロギーで革新を選んだのではなく地域の気質が革新を選ぶことがある。

  • メモは一連の言葉の中で重要と思われる点を示す「インデックス情報」であり、報告書の下書きである。

  • 録音に頼ると文書化に時間を要し報告時期を失する可能性がある。また、発言者によっては訛りや字句の誤読で再生しにくかったり、録音環境劣悪な場合肝心の内容が録音されていないことがある。          →現在はICレコーダーやスマホを使う人が多いと思うが、機械の弱点を理解し、デジタルとアナログをうまく使い分けることが重要だと思う。

  • もっとも優れた道具は人間だと思う。練習を積めば相当のことができるようになる。

  • 知らない土地に行ったら地図を片手にバスに乗れ、郷土史料館を訪ねよ。

  • 現場で客観的に何を見るか焦点を絞るために、あえて先入観・固定観念にとらわれた仮説モデルを作れ、仮説を現場で裏切られ新事実を発見できる。

  • 大局を外さない常識は必要であるが、収集では先入観や固定観念となるので、現場では好奇心と素直な目で見よ。               →年間スケジュール的イベントについて昨年と同様と報告する人がいるが、私はそうは思わない。1年たてば参加者は年をとり取材側も年をとっている。それだって同様ではないではないか。何か変化はないかその目がなければいい取材はできない。

現場取材の着意

①メモ

  • メモの必要要素 年月日、場所、対象発言者の氏名

  • 聞き出す聴きたい内容を事前に箇条書きで準備

  • メモに頁数→私は2/のように入れて、作業終了後、最後に頁に10/10とメモの総数を入れるようにしていた。これは紛失防止のためでもある。

  • メモをまとめた場合は、インデックスのために表紙をつけよ

  • 人名や要図は対象に書いてもらえ

  • 複数対象がいる場合は、配置・名前・表記記号・容姿等の特徴を注記

  • 発言は「 」で話したままに表現し、その時の発言者の周辺情報(印象・周囲の状況・置かれた環境等)を添付

  • メモの補足は色を変えよ。記憶からの補足は青、録音等からの聞き直し加筆は赤

②写真

撮影にあたっては、何を伝えようとして写真を撮るのか?
はっきりさせることが重要
・撮る前に対象をよく観察する。
・左右・遠近・高低と様々な角度で素材を集める。
・対象だけでなく周辺素材も記録せよ。

③インタビュー

  • 相手が答えにくい質問や嫌がる質問は表現を抽象的に

  • 相手の警戒心を解く。自分が相手に関心を持ち、相手のことを知っているとのサインを送り共感を持たせる。→心理学を応用する。

  • 大・中・小項目に分類した質問を事前準備する。

  • 同じ内容の質問を三通り四通り言葉を変えてぶつける。

  • 間違ってもこちらの理論を押し付け相手を誘導することがないよう心がける。寡黙な人の場合じれないで待つこと。

  • 一貫した理論・テーマで筋がとおった質問を             →インタビューにも脚本を準備し脚本に沿って質問をする。周辺の話から核心へ。心理学のテクニックは有益である。


報告書

良い報告書とは、「泣かせる報告書」と表現した社長がいました。
泣かせる報告書とは、事・理・情のバランスがとれた報告書の事です。

事:事実とデータ
理:情報と情報の関係が単純明快でわかりやすい事  
       情報Aと情報Bを結ぶ脈絡がすっきりしていて読む人の頭に入りやすい事情:感性に訴える内容
 →使用する用語の定義をしっかりし正確な表現に努める。これも必要です。

表現の工夫

・要約は、冒頭に置く
・文章は、複文を少なくし、センテンスをできる限り短く
 →箇条書きの活用 文章の中に多くの数字を詰め込まない。
  数字は文章で説明→別紙、別表の活用
・必要な数字は図表化し本文を簡略化
・結論はわかりやすく。冒頭の要約と合致するか点検
 →経験:冒頭の要約と結論が真逆のものがあり苦労した経験があります。 
     これは、他機関の見立てを重視し部下の見立てを軽視する上層部 
     の態度が一因でもあります。でも裏返せば自分が信頼されていな
     い証なのだ

  • 月並みな表現や付けておけば無難な修飾表現を避け、記述は具体的にそして自信のある表現を →「…と思料する」は正しい表現か?

  • 記事欄の項目立てに一工夫。

  •  起・承・転・結を起・結・承・転にして項目を表現してみる。

注意点
①フィクションにしないために
同意義の言い換えは許されるが、情報源の表現を超えた代弁はゆるされない。
報告者の見立て推測を書いても良いが事実と区分
情報源の内心や主観に踏み込んで描く場合は、推測ではなく必ず相手に尋ねその答えを手掛かりに描写
神の目になって客観性を装う事なく、発言対象等を明示し、表現が誰のものに依拠しているか明らかに

②不明点の克明描写
 直接取材できないときは、情景・雰囲気を複数証言で描写
 →不明の1点を他の2点から表現する

③事実確認の原則「三点保持」
 ・ 裏付け写真
 ・ 書籍・新聞等裏付け記録
 ・ 裏付ける別の情報
 以上3点が揃って事実となす。

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