確実にこんなことを言ったら怒られるけど、僕は妹がうらやましい。

僕の妹は知的障害者で、僕はその点でいうと「きょうだい児」となる。
もう齢22なのだから「児」ではないのかもしれないけど。

別にそれが当たり前だと思って生きていたけど、ある程度の年齢になって自分の立場を自覚して、そんで「自分はきょうだい児なんだ」「自分はヤングケアラーなんだ」と知った瞬間に「自分はもしかしたら普通じゃないのかもしれない」と。そう思うようになった。

思い返してみれば色々。

小学生のころ。
いじめられていた。いじめっこの気を害すようなことをすればすぐに無視。ものを隠され壊される。でも学級担任はいじめっこを贔屓していたから大事にもされないし、そもそも学級崩壊を起こしていたから、たかが1人の、対して好きでもない児童がいじめられていようと構わなかったんだと思う。当時は「いじめ」だと思っていなかったけど、よく考えてみれば毎日朝登校したら白紙の宿題を何枚か渡されてもいた。当時の私としては、たかがプリント数枚解くだけでその日一日の平和が約束されるなら安いものだと思ってやっていた。

さっき軽く言ったが、学級崩壊も起こしていた。
授業中に離席している児童がいるなんて当たり前。座学の授業中に外で遊んでいる児童がいるのも当たり前。

でも、いじめも学級崩壊も親に伝えることはできなかった。
だって、学校から帰ったらすでに妹は家にいて、家族はみんな妹の世話中心で。
姉のクラスが学級崩壊していようと姉がいじめられていようと心配されることはなかったし、きっと家族にとってどうでもいい案件だったのだろう。
聞かれもしなかったし、言おうとした時も「それ、今言わないといけないやつ?」と怒られて、そこから全く言えなくなった。
学級崩壊が顕著になって保護者同士のうわさになってやっと「クラス、学級崩壊起きているんだって?なんで今まで言わなかったの?私だけ知らなくて恥かいたじゃない。」と怒られた。今までも言おうとしていたんだけどね。


中学の時も高校の時もそう。
何かあっても結局「僕のこんな話よりも妹の方が大事だよね」と。
そう認識してしまって、何も言えなかった。
僕が何か大きな報告をした結果、妹に手が回らなくなるのも嫌だった。

そうして気づけば「僕のことよりも妹の方が大事だもんね」「僕なんかより妹の方が大切だもんね」「僕なんかいない方が良いよね」と。

発想の飛躍には気が付いている。
でも人生の大半、妹優先で過ごしてきて、自分は常に妹よりも優先順位が下。そんな生活を送って生きているから自己肯定感なんて低くて当たり前だし、そもそも自分が大切にされているなんて自覚はない。


そう思って生きているから、ふとした瞬間に妹がうらやましくなる。

嫌なことがあったらすぐに誰かが助けてくれる。
悲しいことがあったら話を聞いてもらえる。
助けを求めたらすぐに助けてくれるし、相談を求めたら相談に乗ってくれる。

嫌なことがあって報告しようとしたら「今それ大事?」と怒られ、
悲しいことがあっても「あんたが泣いていると空気が悪くなるんだけど」と怒られ、
助けを求めたら「自分でどうにかしなさい」「あんた健常児でしょ?」
相談を求めても「だから何?」


こんな状況でも「妹はかわいそう。あんたは障害がないからいいよね。」と言われる。
このことをオブラートに包んで伝えたら「でもこの子は実年齢の精神年齢じゃないの」
今の妹、ざっと小学5年生くらいの精神年齢よね?
僕、小学校の中学年くらいからこの仕打ちだったんだけどな。

こんな状況でも僕は、自分が恵まれている人間であると感じて感謝をして生きていかなきゃいけない。
妹をうらやましがってはいけない。


でも、親に知られていないインターネットの世界でだけは言わせて。


僕は妹がうらやましい。

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