昔はよく海に行って音楽を聴いていた。お気に入りの音楽を流しながら行ったり来たりする波を眺めていた。暑い日でも寒い日でもそこで聴く音楽が一段と良いと感じていたので足繁く海へ通った。

インディーシーンの音楽を聴き始めたことがきっかけで小さいライブハウスに行く機会も増えた。

初めてライブハウスに行った日を覚えている。地下に続く階段を降りると厚い扉があって中に入るとひんやりしていた。薄暗い店内はお香の良い匂い。点々と客が入りみんが自由に音楽に浸る空間。生きている史上最高の気分だった。帰り際カウンターでビールをもらい余韻に浸りながら良かったなと呟く。

そんな日々を過ごしていたところコロナ禍になり、不要不急の外出を制限された。みんなで音楽を聴くことは不要不急らしい。ライブに行けない数年が続いた。そのせいか海へ行って音楽を聴く習慣が無くなってしまった。もちろん家で音楽は聴き続けているけど海で聴く事が無くなった。

久しぶりに海へ行くと近くに大きな施設が建っていた。そのせいか車通りも増えた気がする。当時は海以外なにもなかったあの場所に秘密基地のような感覚で通っていたのかもしれないと今更ながら気づいた。

年月の経過はいつもの場所だけでは無く、お気に入りの曲を演奏しているバンドを取り巻く状況も変わった。みんなしっかりと人生を歩んでいる。楽曲はいつでも聴けるけど、あの時期にあの空間であのお客さん達とあのメンバーの演奏を聴けたことはとても幸せな思い出として今後も大切にすると思う。

先日、メンバー脱退前そして活動休止前のライブに行った。彼らのライブに何回も行っているけど今まで参加したライブの中で１番だったかもしれない。これからも共に人生を歩みたい。Yogee New Waves 本当にありがとう。最高だ！