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煙草をふかす井上真央! --- 映画「わたしのお母さん」ショートレビュー

井上真央という女優さんから受けるのは「真面目な人」というイメージです。主役をつとめた大河ドラマ「花燃ゆ」の視聴率が振るわないことに対して「自分の力不足」と責任を背負ってしまうような姿が印象に残っているからかもしれません。役柄も普通に良い人の役が多かったように思います。

この作品では長男夫婦の元を追い出された母親をやむなく引き取る長女の役なんですが、ちょっとグレた井上さんがなかなかいい感じです。まあ子供のない夫婦共働きの家庭に少々自己中心的で厚かましい母親を急に迎え入れたところで上手くいくわきゃないんですが、もう井上さんずっと不機嫌です。パートの仕事の合間の煙草部屋やら自宅のベランダやらで煙草をふかしたりするんですが、その不機嫌煙草の仕草がすごくかっこいいです。映画のレビューで伝えるのそこなの?と言われそうですが、一番印象に残ったのがそこなのでしかたありません。

母親役の石田えりさんの役作りもなかなかのもので、子供3人を女手一つで育て上げたしぶとさがよく出ています。作品の中では特に触れてはいないものの、服装、持ち物、歩き方で間違いなく仕事は保険の外交員だったであろうことを想起させるのはさすがの一言。いや、この母親自体は何も悪くないんですが、それでもこの娘はこの母親嫌いだよなということがはっきりわかる。この作品もまた男の出る幕の無い作品です。

とはいえ、やはり主役は井上真央さん。ラストシーンも美しくてもっともっと評価されていい女優さんだと思いました。


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