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私的音楽アーカイブ61(ポールブレイほか)

601.山中千尋:abyss
602.エリックドルフィー:STOCKHOLM SESSIONS
603.セロニアスモンク:5 BY MONK BY 5
604.スピッツ:さざなみCD
605.東京事変:娯楽
606.Mr.Children:旅立ちの唄
607.山崎まさよし:COVER ALL HO! YO!
608.ドナルドバード:Parisian thoroughfare
609.ドナルドバード:Byrd in Paris
610:ポールブレイ:INTRODUCING PAUL BLEY

⚫︎610.ポールブレイというジャズピアニストについて、多くの人は元妻であるカーラブレイとともにフリージャズの推進者のようなイメージを持つかもしれない。確かに事実、彼がさまざまなフリージャズ系のミュージシャンと関わり、自身も先鋭的、前衛的な音楽を演奏してきたのは間違いない。だがひとつ言えることは、そうしたミュージシャンこそ、「基礎」となるジャズの方法論はしっかり学んでいたということである。

1953年に発表された本作はブレイ初のリーダーアルバムであり、メンバーはベースがチャールスミンガス、ドラムがアートブレイキーと、のちの大物2人が揃う。ミンガスについては後年の演奏を考えるとこの作品に参加しているのが意外かもしれないが、彼もブレイと同様、この時期はビバップやそこから派生しつつあった新たなジャズを吸収していた時期だったはずだ。この時のブレイのプレイはリリカルで洗練されていて、ビルエヴァンスに大きな影響を与えたと言われることもうなずける。

歌舞伎など伝統芸能の世界ではよく「型破り」という言葉が使われるが、これはきちんと型を持った人が型を破るからこそ、新たな世界が生まれるということを意味する。ブレイはまさに、その言葉を体現するようなミュージシャンだったと言えるだろう。

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