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箕面公園昆虫館(2023/1/21・22)

1.初めに

 こんにちは。こんばんは。IWAOです。箕面公園昆虫へ行ってきました。今回の来館の目的は、企画展である「世界のハナムグリ」を見るために行きました。ただ、常設展示も非常にいい展示だったので、そちらもあわせて昆虫館の解説をしていきます。

2.構成

 まず、この箕面公園昆虫は、1階のみの構成になっており、増改築が行われ、温室のある放蝶園が並立しました。その放蝶園では、生きたチョウが展示されています。

3.常設展示

 本来は、常設展示の次に企画展が置かれています。しかし、今回は、常設展示の中に八重山へ行ってきました展というまた別の企画展示が行われていたため、常設展示と八重山での展示を分けました。
 まず、入り口に入るとすぐに生体展示が私達を出迎えてくれます。そこでは、オオカマキリ、ツシマカブリモドキが最初の展示になります。

入館料を収めたすぐ左です。
ツシマカブリモドキに会いたかったですが、
頭隠して尻隠さず状態が何とも…

 拡大展示も行われており、その中で面白かったと思うのは、「虫の顔」の展示になります。これは、「口」の部分に注目してほしいです。私もカブト・クワガタ以外でも昆虫の飼育の経験があるため、この虫は、「これを食べる」という知識程度はあります。しかし、口の形を見れば、「この食べ物を食べるのに適した形をしている」ということが分かります。昆虫に限りませんが、口や歯の形を見れば、食性が分かり、間接的に生態も探れることが面白いですね。

全部で5つあります。右下のパネルに答えがあります。

 当然、生体展示もされており、カマキリ達を迎えた次の生体展示は、「オオアメンボ」「ヴァンウェレベキマダガスカルゴキブリ」になります。この2種だけ他の生体展示と違う所があります。それは、ケースの下側から昆虫を観察できることになります。アメンボなら、どのようにして水に浮いているのか、ゴキブリなら、どのようにして隠れているのか、ケースの上と横からでは見れないものが見れます。

このこの真ん中の丸から腹側を観察できます。
丸いのが、虫眼鏡をイメージしているみたいですね。
閲覧注意です。
ゴキブリは、こんなに密集するんですね…

 双方の展示で共通して面白いと思った点があり、それは、「繁殖している」という点になります。多分ですが、昆虫館が管理した繁殖を行っているというより、勝手に増えたような感じがしました。私の予想ですが、ここでは自然繫殖したものが展示されています。

黒い豆粒のようなものたち、全てアメンボの幼虫です。
赤丸部分がゴキブリの幼虫です。
成虫と何ら違和感なく暮らしていました。

 オオアメンボでは、エサのタイミングだったのか運よく捕食している所を撮影できました。また、ここのゴキブリは、エサや外敵の脅威がないのか、非常にのろまでした。それが、ゴキブリの意外な一面でもあります。

エサ用コオロギだと思いますが、うまくキャッチしていました。

 ここでは、世界のカブト・クワガタも展示されていました。ここで面白かったと思ったのは、黒羽ヘラクレスとパラワンオオヒラタになります。

残念ながら、ヒラタクワガタの類は、隠れることが多く、中々表に出てくれなません。
よって、写真も悪いです。
黄色い羽のイメージが強いと思います。
(大坂自然史フェスティバルにて撮影)
こちらが黒羽ヘラクレスになります。

 特に、黒羽ヘラクレスの生きた個体は初めて見ました。ヘラクレスオオカブトは、例外であるブルーを除き、羽の色は、黄色と黒の2種類のものがあります。では、ヘラクレスオオカブトは、黒い羽根のものと黄色い羽根のものがいるのでしょうか?答えは、周りの環境にあわせているからになります。特に、「湿度」の変化のよって、羽の色が変化します。つまり、遺伝ではありません。湿度が高くなると、黒く変化するようで、それは、外的な要因の場合、雨が降った時や暗くなった時に湿度が高くなることが挙げられ、内的要因では、ゼリーなどの湿度の高いものを食べた時に羽が黒くなります。ヘラクレスの前羽は、2重構造になっており、水を吸って化学反応を起こして前羽が黒くなります。
(*乾燥して羽が黒くなるのが分かる動画を見つけました。是非、ご覧ください。)

筆者作成の図

 では、何故羽が黒くなるようになったのでしょうか?それは、「擬態」であると考えられます。羽が黄色いことも決して意味がないわけではなく、明るい昼間などで遠くから見た場合、木の実や木の幹に見ることができます。羽が黒い場合、雨や夜などの視界が悪い状況では、隠れるのに有利に働きます。ヘラクレスオオカブトが、計画して羽を変化させるように進化したわけではありませんが、擬態ができるカブトムシであるということがここから分かるのは、非常におもしろいことだと思いますし、私は、ヘラクレスオオカブトしか聞いたことがありません。擬態で身を守っているということがヘラクレスオオカブトの特異な生態であると言えますね。
 
また、カブトムシ・クワガタでも、面白いと感じた点があり、それは、「木の幹から樹液を出している所を再現している」という点になります。一般的な飼育だと、ゼリーを置くことですが、やはり、カブトムシ・クワガタというと木に登る印象が強いと思います。野生での生態を再現しようとこだわっている所が伝わりました。
 他にも、アンタエウスオオクワガタ、ギラファノコギリクワガタなどが展示されているので、彼らに会いに行くものいいかもしれません。

赤枠部分になります。
気に塗るタイプのゼリーだと思います。

 カブトムシ・クワガタ以外でも見どころとなる昆虫はたくさんいます。それは、「オキナワミズスマシ」「ハンミョウ」「ヨロイモグラゴキブリ」の3種になります。
 オキナワミズスマシは、日本に生息するミズスマシの中で最大のものになり、穏やかな河川や池などに生息しています。日本で最大になりますが、なんと、体長は2㎝前後しかない非常に小さい虫になります。アメンボみたいに、水面を泳ぐ虫になります。また、水面の泳ぎ方が少し面白いと感じました。それは、足が見えないという点になります。平泳ぎのように手足を大きく広げて泳いで入いるわけではありません。それでも、非常に早く泳ぐことができ、方向転換も効く泳ぎ方をしています。

この楕円状のものがオキナワミズスマシになります。
矢印の方向に泳ぐのですが、直角に曲がることができ、非常に機動力が高いなと思いました。
筆者作成図
オキナワミズスマシを上から見た図は、右のような感じです。

 ハンミョウは、日本に生息している昆虫になり、最大の特徴は、全身虹色という点になります。主に、森の中や庭先に生息していることの多い昆虫になります。体長は、2~3㎝ほどで、非常に小さいです。しかし、動きはとても俊敏で、私がカメラを向けたら、すぐに逃げてしまい、シャッターチャンスをつかむのがとても難しかったです。彼らの特徴は、「体が小さくても顎は大きい」という所になります。この大きな大あごと俊敏さを武器にして小さな虫を捕まえて食べています。

虹色の美しい昆虫です。
正面を向いてくれました。
えげつない顔をしていますね。そして、アゴは噛まれたら痛そうですね…

 最後は、ヨロイモグラゴキブリになります。オーストラリアに生息し、地中にらせん状の巣を作って成生活する世界最重量のゴキブリになります。私が、このゴキブリから非常に面白いと思ったことは、「長寿である」ということになります。最長で10年生きた記録があるそうです。虫は、寿命が1年もないような短命なものが多い印象があり、「こんなに生きるのか!!」とびっくりしました。もし、子供を連れた方がいたら、お子さんよりもヨロイモグラゴキブリの方が人生の先輩なのかもしれません。
 後、私の思ったことですが、ヨロイモグラゴキブリは、ゴキブリのイメージと真反対で非常にゆっくりと動くゴキブリでした。実際は、分からないことですが、動きが遅いため、代謝が遅くなり、それが間接的に寿命を延ばすことになったのではないかと考察しています。

最重量ということもあり、非常に大きく、大人の手の平くらいは間違いなくありました。

4.八重山へ行ってきました展

 ここでは、八重山諸島の昆虫を標本・生体の両面で展示しているスペースになります。しかし、ここは、「告知のない」企画展示になります。本来は、箕面に生息する昆虫を展示するスペースになりますが、今回は、八重山諸島に生息する昆虫の展示を行っていました。また、いつ終わるのかも分からない展示にもなります。この展示で面白いと感じた所を解説していきます。
 まずは、八重山諸島とは、どのような島でしょうか?下の図から分かるように、沖縄県に属しており、日本最南端で台湾に非常に近い所に位置しています。主に、与那国島、宮古島で構成された島々になります。また、年間を通して気温が安定し、亜熱帯の気候をしています。

地図上の赤枠部分になります。

 ここで面白かった展示は、「タイワンサソリモドキ」、「ヤエヤママドホタル」、「キョクチクトウスズメ」「ゲンゴロウ(4種にまとめます)」になります。
 まずは、「タイワンサソリモドキ」になります。日本では沖縄県、海外では台湾の森林に生息しているものになります。しかし、名前にサソリとついていますが、サソリではありません。日本にもサソリは、生息しています。例えば、その一例であるマダラサソリは、「クモ綱サソリ目キョクトウサソリ科(学名:Isometrus maculatus)」に属していますが、タイワンサソリモドキは、「クモ綱サソリモドキ目(学名:Typopeltis crucifer)」に属しています。分類を見たら、「目レベル」で違う上、学名では、冒頭の部分から違う(*学名は、種の上の単位である属を組み合わせて構成されている)ため、両者は、全く別物であるということになります。
 では、何故、サソリと容姿が似たものになったのでしょうか?それは、「擬態」です。つまり、遠目で見た場合、「サソリで毒があるから近づくのはやめよう」ということになります。それゆえ、彼らは毒針は持っておらず、襲われた時は、針を立ててサソリのように威嚇します。しかし、毒針っぽいのがありだけで終わりません。つまり、彼らは武器を持っています。それは、「酢酸を含む毒ガス・独液」であり、それを噴射しています。私が調べた限り、人命に支障をきたす猛毒ではないようですが、タイワンサソリモドキを捕まえる時に、学原因さんは、大変痛い目に合ったそうです。

この赤い所部分が、毒針と見せているものです。
毒針ではなく、ガスで身を守るという点がサソリとの違いになります。

 次は、「ヤエヤママドホタル」になります。これは、日本で最大のホタルになり、ここでは、「ホタルの幼虫」の生体を展示していました。皆さんは、ホタルというと「夏に川で光る虫」という印象を持つ人が多いと思います。しかし、本種は、そのイメージと違い、「森の中に生息する」ホタルになります。よって、本種は、陸生の貝やカタツムリを食べています。また、ホタルは、幼虫も光るものがいます。その習性を利用して本種を捕まえたそうです。

幼虫が5㎝ほどあり、けっこうでかいです。 

 次は、キョクチクトウスズメになります。本種は、八重山の固有種ではなく、世界各地で見られるスズメガになります。これの面白い所は、猛毒で
あるキョクチクトウという植物を食べている
という所になります。キョクチクトウは、カルデノライトという毒を持っており、青酸カリよりも強い毒を持ち、人間が口に入れた場合、死に至ります。しかし、このキョクチクトウスズメは、体内にカルデノライトを通しにくい消化管を持ち、体内に侵入したカルデノライトから神経を保護する膜、毒を細胞外に排出するタンパク質を持っています。もちろん、彼らは毒を以っていますが、それは少量になります。貯めすぎると、体にかえって害になってしまうからになります。

こちらがキョクチクトウスズメになります。
緑と茶色をしており、木々に隠れるのにいい色をしています。

 ここでは、幼虫が見物となりました。頭の部分に黒と青の模様があり、これは、大きな目としての擬態になっていると私は、考えます。ただ、幼虫は、成長するにつれて、黒いあざみいな模様ができます。それが、徐々に上に行き、おっさんぽくなるので、飼育員の方々は、キョクチクスズメを「おっさん」と呼んでいるらしいです。

これが、幼虫です。
赤丸部分に黒い模様があり、それがすこしずつ上に行き、ヒゲっぽくなります。

 次は、ゲンゴロウになります。ここでは、1種のみならず、非常に多くのゲンゴロウが展示されていました。オオイチモンジシマゲンゴロウ、オキナワスジゲンゴロウ、コガタノゲンゴロウ、ヒメフチトリゲンゴロウ…などと姿、形が違うゲンゴロウが多く、南西諸島には非常に多様なゲンゴロウが生息していることが分かります。

こちらが、オオイチモンジシマゲンゴロウになります。
写真にはできなかったのですが、幼虫っぽいのがいました。
こちらが、オキナワスジゲンゴロウになります。
こちらがヒメフチトリゲンゴロウになります。
こちらがコガタノゲンゴロウになります。

*おまけ
 また、ゲンゴロウの多くは、現在、絶滅危惧種に指定されており、その保全が急がれています。その詳細は、この伊丹市昆虫館にて記述しました。是非、ご覧ください。

 八重山へ行ってきました展は、生態展示だけでなく、標本の展示も多く、面白いなと思う点は、いくつかありました。その一つがヨナグニサンになります。与那国島を中心に棲息するガになります。非常に大きく、そのサイズは、大人の手のひらよりも大きかったです。

八重山に豪華絢爛なハナムグリがいるとは思いもしませんでした。
こちらがヨナグニサンになります。
八重山で取れましたと説明がないと外国のガじゃないかというくらいでかいです。

5.放蝶園

 この箕面公園昆虫館においても温室が設置され、1年中チョウが見られる環境が作られていました。現在、当館以外では、伊丹市昆虫館しか来館したことないのですが、共通した点として、一番多かったのは、オオゴマダラが一番多かったということになります。そして次に多かったのが、リュウキュウアザミマダラになります。

どこ見てもオオゴマダラになります。
飼育・繁殖が簡単なのでしょうかね?
こちらがリュウキュウアザミマダラになります。
これが2番目に多いのも伊丹市昆虫館と共通しています。

 私個人がこの放蝶園で一番嬉しかったのは、「ナガサキアゲハ」に会えたことです。でかい幼虫が見られたので、いつか成虫に出会いたいと思っており、それが叶いました。また、元々は温暖な地域に住んでいたようですが、現在の地球温暖化により、生息地を北上させているものにもなります。生物の生息を調べることで、今の地球がどうなっているのかが分かる、これも興味深いですね。

アゲハの幼虫にしては、かなり大きい幼虫でした。
(*伊丹市昆虫館にて撮影)
幼虫がビックサイズなだけあり、成虫もビックサイズでした。

 今回、この放蝶園で面白い点を見つけました。それは、「羽に番号がついていること」です。つまり、いつ生まれ、いつ羽化したのかということを管理されているということです。伊丹市昆虫館においてもボランティアの方から、「何でも増やして温室に入れているわけではない。何匹入れのかを考えている」とのことを教えてもらいました。どの蝶をいつ入れるのか、どれくらい入れるのかを考えた上で、蝶を入れているということです。昆虫館に限った話ではありませんが、動物園・水族館では、生き物の調子やどの個体を展示するのかを考慮しています。それは、昆虫館の生体でも同じだということが分かります。

赤枠部分に番号が振られています。
赤枠部分に番号が振られています。
キョクチクスズメです。
ここでは、羽化直後であり、羽根を固めている所を見ることができました。

6.企画展:世界のハナムグリ(2023/5/28まで)

 私が、今回、この昆虫館に行った目的は、このハナムグリの特別展示を見ることにあります。皆さん、ハナムグリには、どのような印象がありますか?私は、カブトムシとクワガタのおまけ程度に思っていました。しかし、ここでは、ハナムグリのすごさとカブトムシ・クワガタにも決して負けない魅力を教えてもらいました。
 まず、第一のハナムグリのすごさは、「非常に多様である」ということにです。日本で見られるカナブンやハナムグリは、そのほとんどが、2~4㎝程とあまり大きくはないです。しかし、世界には、これよりも小さいハナムグリもいる上、ヘラクレスオオカブト・アクティオンゾウカブトのような世界最大・最重量級のカブトムシに匹敵するようなハナムグリもいます。さらに、角を持つハナムグリもおり、その形もカブトムシのようなものからクワガタのようなものまで種類はたくさんいます。そして、種数で見た場合、世界のカブトムシの種数は、現在1500種類確認されていますが、ハナムグリは、なんと、3300種類確認されています。種数はすべてではありませんが、拡散力という面では、ハナムグリの方が、カブトムシに勝利しているとも示せます。

箕面公園昆虫館パンフレットを基に作成
こちらは、アオカナブンになります。
日本の雑木林で見ることができます。
この特別展示の主役であるカブトハナムグリです。
見た目がヒメカブトみたいです。
これは、カブトムシのミニサイズと言ってもいいでしょう…
①クワガタのようなカナブンです。
②クワガタのようなカナブンです。
世界最大のハナムグリのゴライアスオオツノハナムグリです。
ゾウカブトの角のない版と言ってもいいくらいにでかいです。
同じ種内で見ても色がたくさんあることが分かります。
種間だけでなく、種内でも多様であることが分かります。

 私が面白いと思った点の2つ目は、マダガスカル島のハナムグリになります。このマダガスカル島のハナムグリは、「適応放散」を起こしているという点になります。
 まず、「適応放散」とは、「限られた祖先が、競争者のいない地に入った場合、多くの多様な種へと分化する」ことを指します。一番有名な例は、ガラパゴス諸島のダーウィンフィンチになります。ガラパゴス諸島にたどり着いたフィンチの仲間が、他の鳥がいなかったまたはそれまで獲得されていなかったニッチにそれぞれ進出し、定着していった結果、それぞれの種での交配がなくなり、分化していきました。つまり、植物の実を食べるのに特化したもの、昆虫を食べるのに特化したもの、サボテンをたべるのに特化したものなどと分かれていったということです。

筆者作成イメージ図

 ガラパゴス諸島のダーウィンフィンチのようなことが、マダガスカル島のハナムグリが起こしました。マダガスカル島のハナムグリは、ほぼすべてがマラガシーハナムグリ族に分類され、約340種分布しています。アフリカ大陸を起源としたハナムグリがマダガスカル島(*約8000万年前にゴンドワナ大陸から分離した以降、一度も他の大陸と繋がっていません。)へ何らかの形で入り込み、その入り込んだハナムグリを祖先として、多様化したと考えられています。

この赤枠部分にあるものが、全てマダガスカルのハナムグリになります。
全てマラガシーハナムグリ族になります。
標本箱一つでマダガスカル島のハナムグリは、こんなに種類がいます。
どれも別物に見えますが、元は、共通した祖先に繋がります。

 そして、3つ目は、武器を持つハナムグリがいることです。先程記述したように角やクワを持ち、武器として利用するものがいることを紹介しました。

カブトムシのようですが、ハナムグリです。
何匹かは、体に穴があり、餌場やメスをめぐって争っていたのもかしれません。

 申し訳ございませんが、武器として利用しているのかは明確にわかりかますが、オスにのみある特徴を有するハナムグリもいます。それは、後脚頸節、つまり、後ろ足部分に突起を持つハナムグリがいるということです。それは、「スタウディンゲルヒレアシハナムグリ」「ポアケアヒレアシハナムグリ」の2種になります。

左側がオスです。
左側がオスです。
上の2種と合わせて、館長のお気に入りです。

 では、これらのハナムグリは、何故、後ろ足部分に突起を持つのでしょうか?私が、ひっかかったのが、「オスのみが持つ特徴」という部分になります。オスだけが持つ特徴なら、その究極の目的は、メスを獲得することになります。よって、私は武器として使用していると考えました。後ろ足で蹴りを入れ、それで強さ比べを行い、闘争に強いオスがメスを獲得していると想像しました。
 私は、後ろ足部分が何に使われているのについて質問しました。この質問は、館長に答えてもらいました。闘争のために使っていることに対しては、おおむね同意してもらえる所がありました。しかし、「武器としては、強度が弱い(繊細で細いため)」と闘争を過程した場合の説の欠点についても教えてもらいました。また、「長い足をどのように使っているのかまだ観察できていないとも教えてもらいました。」では、武器以外での用途はあるのでしょうか。私は、2点ほど考察しました。(*この2点は、あくまでも私の考察です。実際に、唱えられているのかは不明です。)
 一つ目は、ハンディキャップ理論です。この一番の例は、クジャクになります。クジャクのメスの立場になって考えてほしいのですが、メスのクジャクが好むオスのクジャクは、羽が立派なオスのクジャクです。では、何故、羽が立派なオスを好むのでしょうか?それは、派手な羽をもつオスの方が、強いオスに見えるからになります。ただ、天敵に狙われた際、派手な羽を持つオスと小さい羽根のオスなら、逃げるのには、小柄なオスの方が有利になります。しかし、派手なオスが生き残っていた場合、そのオスは、「でかくて派手な羽根を持っているにもかかわらず生き残れたため、強いオスである。」ということができます。メスも確実に子孫を残さなければならないため、でかくて派手な羽というハンディを持っていても生き残れるオスならば、そのオスをパートナーに選ぶという選択をするという行動になります。つまり、ハナムグリは、闘争のためではなく、「移動に不便な足を持ってても生き残れる」ということをメスにアピールするために使われていることが考えられます。

 2つ目は、「交尾の際にメスを逃がさないための器官としている」です。一番有名な例は、サメの交尾になります。サメは、オスが交尾する際、メスに嚙みつきます。その行動の理由は、メスを逃がさず確実に交尾をするためです。ハナムグリの交尾がカブトムシやクワガタのようにオスがメスの上にのっかるやり方をとると仮定します。その際、後ろ足の突起が、交尾を確実に成功させるためのメスの固定あるいは、交尾を嫌がるメスを逃がさないために固定するための器官として利用されているのではないかと考えています。

 以上が、企画展の説明になります。ここで取り上げたこと以外でも面白い展示がたくさんあります。開催期間は十分あるので、足を運んでこの企画展示を見てほしいです。

7.まとめ

 来館時は、2つの特別展示を開催されており、その2つの特別展示を見ることができたのは、非常に貴重な経験ができたと感じます。そのうちの八重山は、告知なしで行われていたため、来館時期が少しずれていたら、一生見られない展示でもありました。私が、一番印象に残った展示は、企画展のハナムグリになります。カブトムシやクワガタのワンランク下の虫に見られ、見ていましたが、種や姿形が様々すぎて、「多様さ」が、ハナムグリを表す言葉ではないかとも感じました。私は、そこそこなことを書きましたが、ハナムグリは、見るだけでも十分に楽しめます。「エッ!!こんなんいるの⁉」と驚くのようなハナムグリがたくさんいます。ハナムグリの標本を見ることで、ハナムグリの多様さを感じてほしいと思います。
 以上になります。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


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