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「これが最後」ということはあなたには分からない

そろそろ、「これが最後」ということをしたい。


あまり泣かないのだが、久しぶりに泣いた。
子の卒園式である。

子の成長に感謝し、社会で子を育てていただけることに感謝し、親として子を育てる機会に恵まれていることに感謝する場となった。

自分が子供の頃は入学式、卒業式、成人式などのお祝いごとを「通過儀礼」としてやらされ感でこなしていた気がする。今では「子が大人になる節目にある親のための儀式」として捉えると意味合いが変わってきた。子をもって、この歳になって、ようやく気づいた。

保育園の園長先生がたびたび読むこの作者不明の詩。

最後の時 ―The Last Time―
赤ちゃんをその腕に抱いた瞬間から 
あなたはこれまでとは全く違う人生を生きる
以前の自分に戻りたいと思うかもしれない
自由と時間があって 
心配することなど何もなかったあの頃の自分に
今まで経験したことがないほどの徒労感 
毎日毎日まったく同じ日々 ミルクを与えて背中をさすってやり 
おむつを替えては泣かれて ぐずられて嫌がられて 
昼寝をしすぎてもしなくても心配で
終わることのない永遠の繰り返しに思えるかもしれない
だけど忘れないで……
すべてのことには、「最後のとき」があるということを
ご飯を食べさせてやるのはこれが最後、というときがやってくる
長い一日のあと子どもがあなたの膝で寝てしまう
だけど眠っている子どもを抱くのはこれが最後
子どもを抱っこ紐で抱えて出かける
だけど抱っこ紐を使うのはこれが最後
夜はお風呂で髪を洗ってやる
だけど明日からはもう一人でできると言われる
道を渡るときには手を握ってくる
だけど手をつなぐのはこれが最後
夜中こっそり寝室にやってきてベッドにもぐりこんでくる
だけどそんなふうに起こされるのはこれが最後
昼下がりに歌いながら手遊びをする
だけどその歌を歌ってやるのはこれが最後
学校まで送っていけば行ってきますのキスをしてくる
だけど次の日からは一人でだいじょうぶと言われる
寝る前に本を読み聞かせて 
汚れた顔をふいてやるのもこれが最後
子どもが両手を広げて 
あなたの胸に飛び込んでくるのもこれが最後
だけど「これが最後」ということはあなたには分からない
それがもう二度と起こらないのだと気付くころには
すでに時は流れてしまっている
だから今、あなたの人生のこの瞬間にも
たくさんの「最後」があることを忘れないで
もう二度とないのだと気付いてはじめて
あと一日でいいから、あと一度きりでいいから、と切望するような
大切な「最後のとき」があることを


悔いのない毎日をおくれているか?
分かってはいるものの、ひとつひとつの瞬間を「最後」と心から思えるのが本当にむずかしい。

なにとぞ。

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