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今の言葉、「ブレイバック」

今日は、「欲望という名の電車」の衣装合わせと、「リチャード三世」のセリフの読み合わせ。
衣装合わせはトランプでポーカーをする衣装。ポーカーってこれだろ?と、トランプマンのマスクをつけてみたよ。

読み合わせのシェイクスピアの戯曲「リチャード三世」には、二人の殺し屋が掛け合いをする喜劇パートのシーンがある。
イヴァナ・チャバックの演技術では、『全体の目的(overall objective)』『シーンの目的(scene objective)』を見つける。
そして、その目的に見合った「代替者」を立てる。
これから演じるシーンは、過去自分が体験した状況を想起(プレイバック)して実践する。
二幕四場で殺し屋は見張り役に
「そこで何している!」
と声をかける。
自分自身は読み上げを聞いて、過去をリプレイしていた。
九年前、無料定額施設にいたときのシーンを思い浮かべた。
深夜に上の階の金髪細身が、ガタガタと扉を開けて部屋に入ろうとした。その時
「出ていけ!」
と、肝から声か出た。大声で威圧しつつ、牽制をして追い払った。

アメリカには「シェイクスピア・イン・ザ・コート(裁判所でのシェイクスピア劇)」と名付けられたプログラムが実践されている。これは思春期の犯罪者の社会復帰をうながすプログラムで、参加者は俳優と心理学者の指導の元、シェイクスピアの劇を練習し、公演する。人間心理にもとづく役を演じることによって、参加者たちはこれまでに経験したトラウマを語る言葉を見つけ、グループに支えられながら感情のコントロールと表現の仕方を学び、自尊心を高め、コミュニケーションスキルを上達させていくことができるとのこと。

このプログラムの魅力は、個人レベルでの回復に留まらず、社会レベルでのトラウマの乗り越え方を教えてくれるところだと思う。個人の痛みをコミュニティーと共有し、認めてもらうことにより、皆が救われる。個人から隣人へ、それが観衆へと広がる。
シェイクスピアの戯曲には、全ての作品に喜怒哀楽と喪失と救済がある。
喪失に対し、舞台上の劇を通して供養の感情を持つことは、指導者層だけでなく、社会全体のモラルを高めることにもつながるらしい。

そんな訳で、相変わらずトラウマケアが好きです。

事務所所属女優の真凜さんがプレイバックシアターのワークショップを企画してくれたので参加する予定です。

観客や参加者が人生の記憶や思い出(ストーリー)を語り、それをその場ですぐに即興劇として演じる(プレイバックする)独創的な即興演劇です。
その場で演じるもの(アクター)、語るもの(テラー)、観るもの(観客)が互いに繋がり合い、それぞれの生き方に新たな視点や在り方をもたらします。

お申し込みは以下リンクから。
https://peatix.com/event/3691061

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