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【コラム】日本人は本当に劣化したのか

I'llです。
毎日ニュースを見ていると、どうしてわざと日本人を不安にさせるような記事ばかり流すのか、疑問に思います。
日本のマスコミは、日本人や政府を下げるという結論ありきで事実を捻じ曲げ、切り取って悪い印象にすり替えているように思います。私は、こういうのは本当にうんざりします。
社会学者や知識人、インフルエンサーは、日本人の質が低下してこの国に未来はない、というような言い方をすることが良くあります。
私は、果たしてそうだろうか、と思います。

彼らが、何を根拠にそう断定するのかはわかりません。ただ、ネットでは誹謗中傷や炎上が絶えません。明らかな犯罪のチキンレースが行われ、それを楽しむ人たちもいます。それを側から見れば、この世の終わりのようにも見えます。
ただ、実際はバカをやった1人に対して、10万人や100万人で叩いているような構図です。バカをやる人間が悪目立ちしているだけで、ほとんどの人はそういうことをしません。
例えば、映画館でスクリーンを静かに観ている時に、突然奇声を発して踊り出せば、会場中がそれを見て動揺するはずです。私はこの国に何十年も暮らしていますが、旅先でとんでもない奴を見かけた、ありえないトラブルに巻き込まれた、ということはほとんどありません。むしろ、仕事で関わる人が軽く変人であったり、サイコパスらしいことは沢山ありますが、必ずしも悪目立ちをしているわけではありません。

私は、ネットやマスコミに関して言えば、「バカのバイアス」のような認知の歪みが存在するのではないか、と仮説を立てています。
ネットで話題になったり、ニュースで取り上げられることで「バカ」の存在が可視化されるだけなのではないか、と思います。
おそらく、ネットのない時代にやらかすタイプの人たちは、普通に殴られて反省したり、問題になってもローカルで収束したりして、全国民に知られる機会はほとんどなかったはずです。
しかし、ネットが普及すると、ローカル性をそのままパージされ、全国にバカを晒されるようになりました。私たちは、毎日それを見させられているのだと思います。
炎上が起こると、自分のことはともかく、正論で人を批判することができます。それを書き込めば、バカをやった人間に対する苛立ちを発散させ、溜飲は下がります。私は、それを一概に悪いとは言えないと思います。確かに誹謗中傷は最悪ですが、正論は社会にとって必要です。叩かれる側は災難ですが、全国ネットでバカを晒すようなリスクを回避できなかった失敗は、きちんと受け止めるべきだと思います。

実際、日本人の犯罪発生率は年々下がっています。むしろ、外国人による犯罪が急増しています。この犯罪統計は、正直に受け止めたほうが良いと思います。
現在よりも20年前、30年前のほうが、ずっと混沌としていたはずです。コンプライアンスや法令遵守という意識が低かった時代は、ある意味大らかではありましたが、逆に言えば何でもありでした。詐欺グループがCMを打ったり、胡散臭い広告が少年誌に載っていたり、TVがカルト宗教を面白おかしく紹介したり、マスコミは特に何でもありでした。いつの時代もアンモラルでしたし、いつだって末世のような時代でした。その反省の結果が、今の現代社会になっています。
00年代より90年代のほうがヤバかったし、90年代より80年代のほうが、と考えていくと、はっきり言って、日本人がまともだった時代は一度もないような気がします。もしあるとすれば、現代が一番まともなのではないでしょうか。
「今の若者は終わっている」と思う大人は、若い人たちときちんと話をしてみるべきだと思います。彼らは、自分たちの頃より遥かに視野が広く、合理的です。もしそれでも彼らがダメだと思うなら、自分たちの昔の酷さに気づいていないだけです。過去を美化するのは、人間に備わる防衛的な心理機制です。上の世代に尋ねたら、君らの世代も酷かったと言われるはずです。しかし、そういった階層闘争を繰り返して、人類は繁栄してきたのです。

だから、私は今の日本人が最悪だとも、質が低下して終わっている、とも思いません。そう結論づけたい人たちがいるのはわかりますが、昔の時代の酷さに目を瞑って言うことではないと思います。
私は、今の日本人、これから国を背負う若い人たちは、信頼に足る人たちであると思っています。確かに不安なところは山ほどありますが、現代に最適化された生き方に課題が生まれるのは、いつの時代も同じはずです。例え目の前にいる若者に失望したとしても、自分たちの時代を大人がどう見ていたかを想像し、そんな自分たちでもこの社会を何とかしてきたのだから、おそらく未来の日本も大丈夫だと、前向きに考えるべきだと思います。そして、未来に不安がある若者に言ってあげたいのです。「自分たちの頃のほうが酷かったから、大丈夫」と。

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