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【代表インタビュー】 IXIを紐解く10の質問

オムロンから生まれた、社会的課題の解決に挑む事業創造プラットフォーム「IXI (イクシィ)」の組織や活動内容に迫るインタビュー企画。今回はIXI創設から携わり、現在は本部長として自らIXIを率いている石原英貴さんに、IXIを紐解く10の質問を投げかけ、胸の内を語っていただきました。

この記事の登場人物
石原英貴さん:オムロン執行役員 イノベーション推進本部長。ソニー株式会社、株式会社ドリームインキュベータを経る中で、2018年に事業創造プラットフォーム「IXI(イクシィ)」創設をリード。2020年オムロンに入社しIXI副本部長、2021年より現職。

組織名、役職などは取材当時のものです。

Q1. IXI本部長としての担当領域は何ですか?

大きくは既存事業のドメインを越えた新規事業の創造です。オムロンには、インダストリアルオートメーション、ヘルスケアソリューション、ソーシャルソリューション、デバイス&モジュールソリューションという4つのドメインがありますが、その枠にとらわれることなく、事業創造のプラットフォームとして、社会的課題の解決に寄与する事業をこれからどんどん作っていこうとしています。IXIでは新しい仕組みや働き方を実践していくこともできるので、成功事例を作りながら、これまでの大企業になかったようなカルチャーも作っていけたらいいなと思っています。

具体的にはどのような業務をされているのでしょうか?

2023年3月時点で、IXIには約100名が所属しています。決して大きいとはいえない規模の組織なので、私自身も自ら動いて事業を推進していく場面が多いですね。組織長として指揮するだけでなく、まだまだ総力戦でプロジェクトを進めているような状況です。日々の意志決定の質を高めるという意味でも、私自らが現場に入り、状況を詳しく把握した上で判断して、リーダーやメンバーたちと一丸となって推進していくのがメインの業務かなと思います。


Q2. IXI創設からどういった経緯で今に至ったのですか?

2018年に設立して、最初はボトムアップ型での事業創造を目指していたのですが、そうすると事業アイデアの粒度感が小さくなってしまったんです。社会的課題に対する打ち手となるような事業を創っていくためには、もっとシステマティックで大きなフレームが必要だということで舵を切りました。

そこで事業創造プロセスを作ったのですね。

そうですね。IXIの事業創造プロセスは私たちにとって、かなり大きな資産だと思っています。これがないと個人のアイデアベースでしか検討ができず、事業の前に立ち塞がる障害もなかなか突破できません。私たちの事業創造プロセスというのは、ルールや制約的なものではなく、何をどう判断し、決定すればいいのかよくわからない状況でも、明確な指針を持って事業創造にコミットできる仕組みなんです。現時点で3つほど、事業化の壁を突破できたプロジェクトがありますが、この仕組みの上で実際に事業化まで進められるということを証明できたのは大きいですし、再現性の高い新規事業創造のやり方が確立できつつあるというのが一番の成果ですね。


Q3. 理想の組織を目指す上で、どんな障壁や課題がありましたか?

新規事業を立ち上げるという成功体験がオムロン側になかったので、IXIのような新規事業組織に対する社内からの先入観は少なからずありました。いくらこちらで言語化しても、やはり完全に理解してもらえない部分がありましたね。そういった中で、この取り組みが意義のあるものだと示すためにやり方を変えていきました。

どう変えていったのでしょうか?

言葉で説明するのはやめて、まずはとにかく小さくてもよいので何か成功させて、その実績を持って説明していくというように切り替えていきました。経営会議でも、まず実績を語って、成功した背景のプロセスを後から説明するようにしたんです。成功例でコミュニケーションを図るということを社内外で実践することで、IXIという組織の位置付けが明確になってきたのではないかと思っています。


Q4. 他の新規事業組織と比べた、IXIの独自性や魅力は何ですか?

基本的にはどの組織も同じようなことを考えるとは思いますが、経営層の本気度や組織の位置付け次第で実現可能性は大きく変わってくると思っています。そういった意味で、IXIは新規事業と真面目に向き合い、取り組める組織であるというのが非常にユニークな点ですね。社会的課題を解決することが自分たちの存在意義だということが、オムロンの考え方の真ん中にあるので、社長や経営層が最大の理解者であり支援者となっていただけるのです。自分たちだけで取り組むのと、そうした支援や後押しのもとで取り組むのとでは、やはり大きな差が生まれると感じています。


Q5. 理想が10点だとして、今のIXIは何点ですか?

確か2022年度が始まった頃には、まだこれからだという自戒も込めて4点くらいと答えていたように思いますが、今年は6点ですかね。この1年で新しく加わってくれたメンバーも含めて、組織として良いバランスになってきていると思います。キャリア採用者がIXIの新しい方向性を決める部分にどんどん関わってくれていて、オムロンからの異動組であるプロパーのメンバーたちにとっても、やりやすい環境ができつつあると思っています。IXIのバリューの中に「+FUN!」というものがありますが、新しいことにチャレンジする組織として、自らのやりがいを感じながら困難を楽しめる人たちが増えてきたなとも感じています。人からやらされて苦しい状態というのは絶対楽しくないですから。そういう、オーナーシップとWillを持って難しい事業づくりを楽しめる人が増えてきたというのは、すごく大きな成長を感じますね。そういった組織としての成長もあって、2点追加しました。

事業づくりを楽しめる人が増えてきた理由は何なのでしょうか?

小さな成功体験がそれぞれの自信に変わってきたことが一番大きいのかなと思っています。それを周りで見ている人たちにとっても、いい波及効果が生まれていると思いますね。キャリア採用のメンバーも前職でそういう経験を積んできた人たちなので、いい刺激を持ち込んでくれているんだと思います。そういう意味では、小さくてもいいので、事業を創った経験がある人たちを、この組織の中にもっともっと増やしていくしかないと思っています。事業をやっているメンバーを見ていると、だんだん顔つきや発言が変わってくるんですよね。難しい壁に直面しながらも乗り越えていけるような経験をした人たちが、いかにIXI全体の底上げに関わってくるかが最大のポイントだと思います。オムロンの既存事業と並ぶような大きな規模の事業がどんどん生まれていく状態を作らない限りは、10点はつけられないですね。まだまだです。


Q6. 今後IXIはどういったことに取り組んでいくのですか?

企業間での事業提携や大規模投資が絡むような経営レイヤーでの、事業の傘になりうるような大きなアクションをもっと作っていきたいですね。その第一弾がデータヘルスケア領域での取り組みです。このアプローチでいくと、上位にある旗がすごく大きいので、その下にいくらでも細かい事業テーマを作ることができるんです。これから数多くの成果が出てくると思っています。

なるほど、楽しみです。

データヘルスケアの旗のもとに進めている介護予防・自立支援の事業と、株式会社JMDCと共に取り組んでいるデータ活用のビジネスについては、単年度黒字化を達成して、オムロン全体の事業ポートフォリオに組み込まれるような状態まで持っていきたいですね。それともうひとつ、M&Aやアライアンスの面も強化して、他の領域でもしっかり形を作っていきたいと思っています。


Q7. IXIのメンバーを象徴するようなキーワードはありますか?

IXIでの仕事というのは、既存のフレームの中で行うのではなく、フレーム自体を自ら作りに行くということ。"HOW"ではなく"WHAT"を決める仕事なんです。現状に対する課題を自分自身の力で発見することがスタートとなります。その課題に対して、戦略的に世の中を変えていくためには、「軍師」のような組織活動の方向を定めてくれる人が必要です。さらにそこから、逆風に耐えつつ完遂させる「野武士」のような人も同時に必要。両者がいて初めて社会実装まで導くことができるので、この2つのタイプはIXIに必要不可欠だなと思っています。一方で、ロジックだけでは思いつけないようなことを考えられる「革命家」のようなタイプの人も重要ですね。この3つがうまく共存しながら、事業を生んでいくことがIXIらしさだと考えます。


Q8. 自身の意識やスタンスが変わったと感じることはありますか?

私は、元々は自分がやりたいと思うことを自ら手を動かしてどんどんやるコマンダーのようなタイプだったのですが、本来組織のトップというのは、皆が伸び伸び動ける環境を整えるようなタイプであるべきだと思います。事業を任せられるチームが増えてきている中で、徐々にそっちにシフトして、自分のスタンスを変えていくことが私にとっての成長になっていくし、それができつつあるのはありがたいですね。

その中で気をつけていることはありますか?

とにかく事業の責任者の意見を聞くということを意識してコミュニケーションを取ることですかね。最終的には私自身の意見も伝えますが、まずは自分でとことん考え抜いて、腹落ちした状態で語ってもらうことが大事だと思っています。事業責任者として考え抜く力に蓋をしないようにしたいですね。


Q9. 大切にしている言葉や座右の銘はありますか?

人に何かを頼まれたときに、絶対にNOと言わないようにしています。何事もまずYESと言った後で、どういうやり方にしようかと考える。誰かが自分に何かを期待してくれているというのは、それだけありがたいことなのに、一度NOと言ってしまったら、その時点でもうその期待には応えられなくなってしまいますよね。これは学生時代に読んだ思想家・中村天風さんの本に影響を受けています。「積極的な心を持ちなさい」というシンプルなメッセージなのですが、すべてをポジティブに捉えることができれば、見え方も変わってくるということなんです。そこに感銘を受けて、僕自身も積極的な心を持てるように意識しています。オムロン創業者の立石一真さんや、本田技研工業株式会社創業者の本田宗一郎さんのように、逆境をポジティブに楽しみながら世の中を変えていった人を尊敬していますね。


Q10. IXIに興味をお持ちの方にどのようなメッセージを送りたいですか?

世界中で社会的課題が噴出する中で、IXIでは事業を通してより良い社会を作っていこうというチャレンジを続けています。社会にとって良いものを、力を合わせて作り出していきたいという想いを持っている方には、IXIがとても合っているのではないでしょうか。私たちが掲げている理念や想いに共感していただける方には、ぜひ仲間になっていただきたいです。


オムロン株式会社 イノベーション推進本部(IXI)のVision(パーパス、チャレンジ、哲学)については、以下の公式ページをご覧ください。


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