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西伊豆古道を歩く〜岩地ー松崎編〜

2022年6月12日。9:00 松崎町の伊豆の長八美術館駐車場に集合。

先週、地元に愛されるくすりのハヤマ・しんちゃんの紹介で、松崎古道守り隊の土屋武彦さん、渡辺攻さんとお会いした。松崎の古道守り隊は6月1日に発足したばかりで、次の日曜日に初顔合わせで歩くという。

初顔合わせの道は、丁度先週から歩いた道を繋ぐ古道だということがわかった。

西伊豆古道の調査が始まって早々、これは渡りに舟だ。参加を快諾いただきご一緒させていただくことになった。

スタート地点となる田代峠まで相乗りで移動する。

隊長の土屋さん、企画観光課の八木さんの郷土愛から何年もかけて整備してきたそうだ。そんな愛情たっぷりの西伊豆古道を総勢9名で歩く。

まずは笠野山を目指す。当然のようにGoogleマップには道がない。

上ると早々に炭焼きの釜がある。こんなにカタチがキレイに残されているのは初めて見た。これに屋根をかけて使っていた。

燃料革命で生産が廃れていった炭焼き文化。炭焼き文化を世代を問わず伝え実践すれば、天然資源の有効利用や環境問題、健康問題を全て解決できる。

そもそもSDGsと宣言しなくとも、ひと昔前は先人の知恵により持続可能な社会になっていた。人を中心とする経済回す消費の世界ではなく、自然の世界に寄り添う縄文文化に原点回帰する時がやってきたのだ。

更に上ると今度は沼田場がある。イノシシがダニや寄生虫、汚れを落とすために泥を浴びるイノシシのお風呂だ。こういうところにカエルが卵を産んでオタマジャクシがいたりする。

椎木の薪炭林を歩く。もう人の営みがプンプンする。炭焼きはもちろん、茅場、段々畑まである。今まで歩いてきた古道とは明らかに違う雰囲気だ。

千両、万両、蟻通し。アリドオシは別名・一両。関西の商人の験担ぎ、お正月飾りで利用されたりする。鹿が食べない実なので、たくさん残っていた。

角礫が目立つようになってきた。ここは蛇石火山帯。火口の近くに噴出したマグマが上昇してきた証拠だ。

雨上がりは木の根っこに気をつけて歩く。雨上がりは良く滑る。

夏みかんのピールをいただき休憩。美味しい。

大島桜の並木道。朽ちた葉っぱに真っ白な花びらが映える。大島桜は炭焼きの木材としてランクは1番下だけど、原種なので潮風に強い。木を切った後は、ひこばえから桜餅を包む桜葉を摘んでいたそう。そんな由来から松崎は桜葉の生産が日本一となっているそうだ。

桜が散り始めた頃、この辺りは一面、まっしろな桜の絨毯になるという。

サルノコシカケ、年を重ねた分だけ年輪がある。アワビと同様で殻も数えると何年ものかわかる。

笠野山358m。頂上に到着。

岩地の小学校にとっては伝説の場所、この平場を使って、かつては運動会をしていたそうだ。岩地の集落には平地がほぼないので、岩地を知れば納得する伝説だ。

笠野山の三角点は3等三角点。三角点とは、三角測量に用いる際に経度・緯度・標高の基準になる点。本来、三角点は南を向いてなければならないが、少しずれているようだ。

再び、分岐点に戻り、右折して道部方面に下る。

ご存知日本三大有毒植物の一つ、トリカブト。富士山村山古道で見かけた以来だ。

尾根の道はわりと残ってたりする。横道はわりと崩れやすい。古道を知る先輩たちと歩くと、山歩きの知識や古道の知識が蓄えられる。

お正月のお飾りには欠かせないウラジロ。葉っぱの裏が白いから腹黒くない。もし、腹が黒いならば、話す言葉も黒くあってほしい。腹と言葉が一致していれば、人々はもっと仲良くなれるんだけどなぁ。

雨や雪解け水が腐葉土にしみこみ、長い時間をかけて流れ出す。 腐葉土に含まれているリンやチッ素などの養分が一緒に溶け出し、 養分を含んだ森の水は、やがて川となって、海に向かって流れていく。 森から海に運ばれた養分は、海中の植物プランクトンを育み、貝や魚などが生息する豊かな海を作る。

広葉樹林がないと。海が育たない。自然と共存できていない山に作る太陽光発電の発想は、山に嫌われしっぺ返しを喰らうだろう。世界は人が中心ではない。人が自然の中に存在しているのだ。

キジョランの葉。アサギマダラの幼虫の食べたあと。ここで生まれて育って飛び立ったと思うとまた訪れたくなる。

この辺りの道普請は特に苦労したそうだ。笹林は道をも覆い、道を阻む倒木をチェーンソー、時にはノコギリで切り開いていったという。

一際大きい大島桜。この山の主だ。見てきた中で一番太い。

人里近づくと椎茸の原木を見つけた。

一旦、舗装道路に出る。旧道だ。しばらく歩くと尾根を登る道がある。目印は地蔵だ。

今回の古道は、ふかふかの腐葉土が足に優しい。アスファルトでは味わえない古道ならではの歩く醍醐味だ。

再び、アスファルトの道に出る。

木のみではない。アブラムシがイスノキから作った虫こぶだ。笛に見立て吹くと「ヒョン」と音が鳴ることから、ヒョンの木とも呼ばれている。

再び古道へ。少しわかりにくいが、舗装道路からそれて細道がある。

最近建てたという標識がとてもありがたい。

道中は道標となる石碑も発見。

絶好のビューポイント。見る角度により3つに見えたり、4つに見えることからその名がついた三四郎島もみえる。ここからは4つだ。お天気が良ければ富士山も見えるポイント。このコースにはそんな展望箇所がいくつもあるそうだ。

広くて平坦な道が続くので歩きやすい。ふかふかの腐葉土の恩恵で、一段と贅沢に道が仕上がっている。そして何が良いって、山にいるのに海がみえること。

松崎町を一望。

細いジグザグにくだる。

山爺、何回も何回も切られてるから大きな株になっている。

この辺りから室岩洞への古道もあるはずだけど、今はまだ発見できていない。上に上ると首なし地蔵がある。今回は道部方面へ右折。厳しい下り坂が続く。

岩を覆うように群生しているイワタバコ。ツヤツヤと波うつ葉っぱがタバコの葉に良く似ている。よく見ると苔の一部から成長していた。逞しい。

ケヤキが大きな岩を抱いてる。逞しく頑張ってる。

道部の集落に下山。

モクズガニ、伊豆地方ではズガニという。松崎では通称・ガズ。

岩科川沿いを歩く。

松崎橋を右折、長八美術館の駐車場でゴール。




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