見出し画像

西伊豆古道を歩く〜松崎町編〜

2022年6月12日。午前中は松崎古道守り隊の初顔合わせで岩地から松崎までの古道を歩いてきた。

まだまだ気力も体力も十分残っているので、午後からもそのままの勢いで松崎町内の古道を歩くことにした。先ずは、ないものはないサンフレッシュ松崎店で腹ごしらえだ。

岩地側から岩科川を渡り、一つ目の信号を斜め右に入る。目標はJAふじ伊豆の西伊豆農業機械センター、隣には西伊豆ぐらんぷ・グランピングキャンプ場がある。

道なりに小さな川を渡り、中宿通りへ。

松崎町は人口約6,600人(2022年現在)の静岡県で最も小さい町。ロマン溢れた歴史を体感する街並みと、すばらしい自然と温暖な気候に恵まれ、まさに町のキャッチフレーズ「花とロマンの里」に相応しい。出会う人たちは明るく清らかな人ばかりで、伊豆半島で大好きな町の一つだ。

西海岸の中心地として、古くから栄えた港町には、なまこ壁の邸宅が立ち並び、独特の雰囲気がある。江戸時代は木造建築を守るために、防火のなまこ壁を施したという。現在も昔の趣を残す、松崎の代名詞とも言える風情あるストリートだ。

伊豆文邸の足湯に立ち寄る。これからもう少し歩くので午前中がんばってくれた足を労ろう。

先客の横須賀から来た人たちとお話をする。皆から「先生」と呼ばれる矍鑠とした老人が中心となって会話は弾む。何度も訪れているという松崎町の素晴らしさを称賛し、地元民と勘違いされたのか、松崎町に関する質問攻めにあってしまった。私も松崎町のメロウでピースな波長が大好きだ。

先週、来た時よりもお湯が熱い。浸かっていた足は、まるで靴下でも履いたように桜色に染まっていた。

松崎町は商業、教育、文化と早い時期に発展した町内には、当時を彷彿とさせる歴史的建造物が多く残っている。教育が人を育み、商業、文化を発展させた好例だ。

伊豆峯次第の151番目のチェックポイント・伊那下神社へ。神仏習合の名残りか、朱色の両部鳥居が山を背景に荘厳な佇まいを見せて立っている。

拝殿の前に立つ大きな銀杏は樹齢千年を超えると云われている。落雷で裂けて双樹となった裂け目から、成長し聳え立つ姿はまさに松崎町のシンボルと言えるだろう。

境内には湧き水が汲めるところがあり、冷たくて美味しい水が毎分50ℓ、勢い良く流れている。湧き水は神明水と呼ばれ、龍の気と知恵の気という2種類のご利益があるという水に分かれている。まろやかな甘みでお茶や珈琲が美味しくなると地元の人も汲みにくる評判のお水だ。

再び、国道と那賀川の間の道へ。渋川地蔵を正面に見て、道なりに左側を歩く。

国道を跨ぎ、伊豆峯次第の152番目のチェックポイント・伊那上神社へ。創立不明、社伝によると弘仁八年(817)まで遡ることができる。

儒学者・佐藤一斎の言志四録その42の一節「老いて学べば死して朽ちず」と彫られた木像がある。意欲を持って生涯学習、これぞ先人から学ぶ健全な人生の歩む道。

観光案内所の交差点まで戻り、ときわ大橋通りを海方面へ。突き当たったら、Y字路を右折して新浜コミュニティ通りを歩く。

新浜の足湯。商店街の一角に突如として現れる。もちろん浸かっていく。

佇まいに吸い寄せられ、やべ個美術骨董店へ。声をかけるまで勇気がいったが、話してみればとても気さくで親切な店主。松崎町について、商店街の歴史、古道について丁寧に教えてくださった。

すぐ近所で、Jidaiya 時代や という骨董居酒屋をやっているそうで、次回松崎町に宿泊する際は立ち寄ってみようと思う。

新浜コミュニティ通りの突き当たりを右折。国道渡ってファミリーマートの脇を入る。松崎町消防団第2分団1小隊ポンプ庫の交差点を右折する。

伊豆峯次第の154番目のチェックポイント・金剛山郡定寺へ。

郡定寺からは来た道を引き返し、伊豆峯次第の155番目のチェックポイント・舟寄神社へ。参道の左手には弓道場があって雰囲気が良い。

増訂豆州志稿には「初宇古代島ヨリ此地ニ遷座ストイウ」と舟寄神社の記載がある。かつて舟寄神社は弁天島に祀っていた事がわかる。

再び国道を跨ぎ、川沿いを歩く。松崎海水浴場の北側に突出した弁天島へ。

元々は古代島と(巨鯛島とも)呼ばれた島で、かつては海岸より橋を渡って往来した小島だったが、1967年に河口を島の北側へ開削したため、陸続きとなっている。明治の地図を見ると一目瞭然。現在とは川の位置が大きくズレているのがわかる。

島の縁を歩くスリルある細道。水冷破砕溶岩のゴツゴツとした溶岩の地層が、一層冒険感を演出してくれる。大波だったら外洋に面した外回りは危険かもしれない。様子を見て引き返そう。

歩いていくとお爺さんが一人佇んでいた。何をしてるのか訪ねたら海の様子を見てるという。満潮に近いから入江までクロダイが泳いでくるそうだ。

私の目的を悟ってくれ続けてこう言った。「満潮時でも、膝まで入るつもりならこの先も行ける。」どういうことだ?

素掘りのトンネル内へ入ると海水が溜まっていた。そういうことか。膝まで浸かり、じゃぶじゃぶと歩いていく。

外洋は時々大きな波が激しくぶつかってくるが、これくらいなら行ける。

伊豆峯次第の156番目のチェックポイント・厳島神社へ。

日本三景の一つ、宮島にある厳島神社の分社であり、七福神の一柱・弁財天として信仰が深い。

また、松崎町一帯は古くより相撲が盛んであり、弁天相撲と称して奉納相撲が盛大に行われていたそうだ。

三度、国道を跨ぎ、松崎町消防団前の旧道を今度は左折。松崎町の北側出入り口のシンボル・安全運転の誓いの塔で本日のゴール。

次の道はこちら↓続けて読むと伊豆半島を一周できる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?