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発見!賞味期限を無限に延ばす冴えた方法

旅行の土産をいただいた。貰っておいていうのもなんだが、まあよくあるサブレ菓子で、美味しくいただきました。ありがとうございました。

と、これは前置きで、本題はお菓子そのものではなく、それを包む包装なのだった。まずは見ていただきたい。


気づいていただけただろうか。
そう、賞味期限の記載だ。自分もパッとみてはじめは気づかなかったが、ワンテンポおいてじわじわとその不可思議さに驚き、そして設定の妙に感じ入った。

賞味期限 販売日より20日間

無敵。無敵である。なにしろ販売しないかぎりは永遠無限に保存がきくのだ。一気に大量生産して倉庫に保管しておけば未来永劫賞味期限が来ない。なんと素晴らしいことだろう。いざというときの非常食として完璧。
あ、いや、それはダメか。買った時点で賞味期限の時限スイッチが入ってしまうではないか。

では購入ということではなく、いざという時に購入すると予約しておけばいいのではないか? しかしそのような場合は需要も過多になるであろうし、口約束では心もとない。となると内金予約金の類いは絶対に必要か。

いやいや、待て。予約金を入れるというのは購入にはあたるのでは? 多少なりとも金銭の移動があるならば購入と判断されてしまううのではないか。それはまずい。やはり時限スイッチが入ってしまう。ダメだ。

そもそも、販売日とはどの時点での状態なのだろうか。実際に販売された日と安易に考えてしまっていいのか? 売り手側がこれを販売しよう、販売する商品である、と決めた時点でスイッチが入ってしまう可能性も考えられるではないか。

いや、ことはもっと重大かもしれない。商品として製造するということは、つまり商品をつくる、販売するものをつくる、ということであろう。ということはつくられた時点でスイッチは起動しているのでは?

ならば、販売商品ではなく無償で配るもの、という設定で製造すれば回避できるのでは? いや、そんなただで配る土産菓子を作るひとなどいない。試食で配っているケース? それは販売するつもりのものをたまたま試食に流用しただけですでにスイッチは入っているはずだ。

そう考えると冒頭での大量生産保存法は机上の空論に過ぎない。結局のところ、製造した時点で賞味期限は発生するのだろう、たぶん。

うまい話はそうそうない。土産の菓子だけに。

「G式過剰neo」は99年〜03年にかけて断続的に発表していたWEBコラム「G式過剰」のリブート版です。今回再開するにあたり、初出時期からの時代の変化をふまえて追記改稿などを行っています。

初出タイトル「Show me!」00年2月20日 初出
24年3月1日 改稿

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