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インドア男子が、チイキにカオ出す2秒前。

 インドア大学生が今のうちに書きたかった「遺言」シリーズ。4回目になります。

初回はこちら

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 流れるようにして着いた大学の1年間で、必死こいて3つの顔を持ったのが功を奏し、(詳細は前回にて)

普段は一人でいるほうが好きな僕でも、初対面の人とどうすれば対話できるのかを、
「マニュアル的に」とはいえ、身に付けることができました。

自分から他人に話せるようようになる
(僕の場合、相手のことを知るための話し方を体で覚える)と、
相手が単にインドアかアウトドアだけでなく、いろんな背景があるのがわかってきます。

このままの自分じゃダメだ、何か克服したい…と変身願望を持った人。
周りが奨めたから乗る、周りに誘われたから乗る…という、本人のフェチズムが全然見えない人。
周りの同世代よりも既に人格が完成されてきて、好き嫌いや興味の有無がハッキリしてる人… 。

大学1年目で、インドアなりにいろんな「同世代」を見ることができた僕は、
今度は「大人」を見てみたいと思うようになりました。

そのキッカケは比較的「インドア」なイメージが強く、
僕も「趣味の延長」程度の気持ちで入部した、美術部での活動によるものでした。

「ギャラリー」との 出逢い
ー毎週、いろんな大人と出会える場ー


 美術部で毎年、学外で開催している展覧会があり、その世話人の1人を任されました。(世話人は僕を含めた部員2人と当時入部していた留学生1人)

大学のサークル活動は、雑用を顧問の先生がしてくださっていた高校までと違い、学生の自主的な運営が基本です。

音楽系のサークルも、楽器や機材の準備や管理、運搬などは自分達でしなければいけませんし、
体育会系のサークルも、リーグ戦の運営などには学生が携わります。

美術部においても、展示会場を押さえたり、設営をしたり、来客対応をするのは自分たち学生です。

僕が先輩と一緒に挨拶に伺ったのは、鳥取駅から徒歩10分の貸し画廊、
「ギャラリーあんどう(当時)」。

大学は鳥取駅から2駅離れたところにありますので、普通にキャンパスライフを過ごしていては「行動範囲外」になってもおかしくはない場所でした。

ギャラリーの代表さんと初めて顔を合わせていくうちに、僕も「自分たちで活動を作っていく」ことを体で感じるようになります。

(高校までは、活動のほとんだが「制作するだけ」でよかったので、会場のレイアウトやミーティングのスケジュールの管理、仕事の指示などを担うのはほぼ初めて、僕にとって大仕事でした。)


 先輩方の知恵を借りながら、なんとか3人の世話人を中心に、展覧会をやり終えます。
初体験をした充実感あり、世話人が自分じゃなかったらもっといい展覧会になったのではないかという虚無感ありの期間を過ごしました。これはこれでいい経験になりました。

そんな中、僕はギャラリーのHPの「展示スケジュール」の覧に目が留まるようになります。(去年たまたまFacebookを始めさせられていましたが、徐々に自分なりに使い始めていた頃でした)


ギャラリーには僕たち美術部以外にも、毎週のように、いろんな個人・団体の展示スケジュールが入っています。

もうすぐ2年生になる僕は、そろそろ大人と話す機会がほしいと考えていました。
でも、バイトの上司部下の関係とはまたイメージが違うし、

何より僕はワイワイガヤガヤした場所はイヤ

いろんな人の「頭の中・考え方」が知りたいから、
街コンのような駆け引き騙し合い(多少の偏見を含んでいます)のある場所は絶対にイヤだ…

そんな僕は、ある日思い付きます。

「ギャラリーあんどうに通うだけで、いろんな大人と話せるんじゃないか!?」

ひやまちさと さん 個展『とりのうた』より

それ以降、美術部の僕が「アートの勉強」のためにというより、
人と話す経験の浅い僕が「いち人間としての勉強」のために、ギャラリーを「行動範囲」にするようになりました。

 何度か足を運ぶうちに、ギャラリーのスタッフの方とも世間話をする関係になったり、大学内では話せないような相談事にも乗っていただいたりしました。

また、地域との繋がりのあった同じ大学の写真部の学生の作品展を観にいったり、僕も有志の作品展に参加させていただいたりしていくうちに、

「行動範囲」にするギャラリーの数も少しずつ増えていきました。

SNSを通じて、作家さんに限らず、アートを切り口に活動されているNPOさんや、地域のアートプロジェクトに携わっている方とも繋がらせていただくようになります。

(ときには、大学の外で大学関係者と知り合う、ということもありました)

 僕なりの、ギャラリーに行くメリットを挙げますと

●美術館よりも、作家さんとの物理的距離が近い

 美術館や博物館
(鳥取県の場合、県立博物館の中に美術部門のコレクションがあります)で作品を見ることもできますが、

作家さんに「近い距離」で接することができるのは、こういったギャラリーのほうが分があります。

僕は、「価値観も今と違う時代に爆誕した、伝説の作家さん」に触れることよりも、

自分と同じ時代を生きている、自分よりちょっと上のポジションにいる作家さん」と話すことを求めていました。

美術館よりもギャラリーに行くことで、世代の違う人と生で言葉のやりとりをしたり、ここでもちょっとした相談に乗っていただいたりしました。

●絵や写真に限らず、いろんなジャンルの人と話せる

 地方ゆえに、鳥取のギャラリーの数は限られています。

もちろんギャラリー毎にコネクションや得意分野などの違いはありますが、
絵、写真、書道、立体造形、服飾etc…いろんな分野の方がギャラリーに現れ、絵を描く活動がメインだった僕も、ジャンルの垣根を越えてお話しすることができます。

また、地元の方だけでなく、県外や海外で活動されている方、外から鳥取に移住して来た方など、いろんなバックグラウンドを持った方がいますので、そういった「外」のお話を聞くこともできます。

また作家さんに限らず、ギャラリーをハシゴする地域の方と何度も顔を合わせることもあり、「よく会うお客さん」同士で、情報を交換することもあります。

●プロにはプロ、アマにはアマの考えに触れることができる

 作家さん・出展者さんには、それを仕事にされている方も、仕事とは別で独自に活動されている方もいます。

いち大学生の僕にとっては、プロの方に見える世界も新鮮ですし、
アマチュアだからこそできる考え方というのも新鮮に映るものです。

当たり前ですがどちらも同じ人間なので、
プロだから話しにくく、アマチュアだから話しやすいというものでもありません。

また話すことが得意な方、苦手な方、考え方が自分に近い方、そうでもない方、様々です。その「違い」も、僕は楽しんでいます。

展覧会用に作られるDMや、作品が刻まれているポストカードなどは、

作家さんとの出会いの記録になり、記憶にも残りました。

(安藤悠 さん 『Cafe-Drawing 北欧フィンランドからの便り』 より)

 こうしていろんな大人や考え方、(ついでに)作品に触れられるのを理由に、

僕は今も「ギャラリー」に行くことをいろんな人に勧めています。こういう背景があったからだとは、なかなかわかってもらえませんが…(笑)

そして、Facebookにも、こういったギャラリーでの出会いのことを自然と書きたくなっていきました。まさかここでも「始めさせられた」SNSが役に立つとは思っていませんでしたが…(笑)

でも、インドア人間にとっては、自分が「何をやったか」よりも、「どんな人と出会ったか」のほうが、何倍も刺激的な体験でした。

こうして僕が2年生になって初めて、「大学の外」を知ります。紆余曲折あって、大人と話す機会を作ることに成功し、1年生の頃には頭になかった世界を知ることができました。

次第に僕の興味は、「複数の顔」を持った大学内の時と同様に、
「アート」以外の分野の大人と話せないか、自分の世界の周りを見渡すようになりました。
そんな時、Facebookを見て、とある催しが引っ掛かりました…

続く

読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは、鳥取のアートシーンで活動されている方々を応援する際に使わせていただきます。