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ラノベ感想:"オレTUEEEE"の"E"はいくつ書くのが正解なの?

異世界に転生してオレTUEEEEけど、ブサメンでした

ラノベの王道の一つ、異世界転生もの。
異世界に転生した主人公が、前世(現代日本)の知識や、転生時に与えられた能力でもって無双する、オレTUEEEE…というのは典型だけど、単に大活躍というのでは目新しさが無い、ということでしょう。色々な工夫がされています。
その工夫の一つが、「転生したらブサメンでした」「嫌われ者でした」。
『田中〜年齢イコール彼女いない歴の魔法使い』や、『災厄のアヴァロン』、『豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい』がその例と言えます。
ラノベではなく、マンガだけど、『異世界転生おじさん』もこれですね。

恵まれていない容貌。しょうもない内心の欲望。それを覆い隠すほどの態度・行動:『田中〜年齢イコール彼女いない歴の魔法使い』

いくつか作品がある中で、僕が異色だと思うのは『田中〜年齢イコール彼女いない歴の魔法使い』。Kindle Unlimitedで読める範囲で読んでみました。
主人公の田中の内心の独白がほんとしょうもない。お下品極まる!寝起きに読むと胸焼けがするレベルです。
そんななのに、(他の登場人物からも、読者からも)嫌われないで、主人公として成立してる。
なぜかといえば、その内心とは全く別に、かなり外面を繕っていて、どんな場でも慇懃な対応が出来てるから。
ほんとしょうもねえなあ、と思わされる下品な内心の欲求を綺麗に隠して、しっかりした大人の成人を演じているから、登場人物の多くからはある程度信頼されているし、読者にもウケるよねえ。
時々、内心の独白がしょうもなさすぎてウンザリするけど、いきなり異世界にぶっ飛ばされたのに社会生活を送れてるのは普通じゃない。精神の均衡を保つための自衛なのかもなあ…なんて思うと、ちょっとハードボイルドですねえ。


DALLEで出力しました。

ブサメンの地位がなかなか上がらないがちょっとつらい:『豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい』

「転生したらブサメンでした」「嫌われ者でした」という状況下であっても、主人公はちゃんと努力して、活躍する。そうすれば、徐々に名誉が得られ、友情や愛情を抱いてくれる人が現れる…のが普通。
読者としては、(それなりにいいところのある)主人公が、物語の世界でちゃんと認められるようになっていくのは嬉しいものです。
ところが、この『豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい』は、タイトルがこれだからなあ…主人公は大活躍するし、だんだん認められていってるのは間違いないんだけど、この「豚公爵」の呼び名が続くのが僕としてはちょっとしんどい。僕はまだ2巻しか読んでないけど、長く続くシリーズではどうなるんだろう?

MMORPGってこんな感じなの?…では済まなかった:『災厄のアヴァロン』

ずっと遊んでいたMMORPGの世界に入り込んだものの、「転生先は嫌われ者キャラでした」という本作。MMORPGのノウハウを使って、主人公が急速に力を付けていく第1巻…の最後がすごかった。
突発的な、予想外のイベントが発生。主人公が命懸けの戦いを挑む。このシーンのスリルとスピード感のあるアクション描写がとても良かった。手に汗握りました。

主人公たちは、異性からの評価が低めになることを恨んでいない

上の3作品に共通して、主人公は「ブサメン」である自身の評価に納得しています。
もちろん、(くそ、イケメンめ…)(おれもイケメンだったなら…)みたいなことを時々、毒付くくらいはしてるけど、容姿が劣る件で周囲に暗い恨みを持つことがない。やれる範囲で努力して、認めてくれる人にきちんと感謝している。
こういうところが、読者が安心して主人公に感情移入できる理由でしょうか。ネチネチとイケメンを恨んでる主人公とか嫌だもんね。
見習いたいもんです。

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