読書『プラチナタウン』楡 周平 著

大手総合商社「四井商事」で活躍していた山崎が、人事権限のある上司八代に嫌われて左遷、それを機に、中学時代の同級生クマケンに頼まれていた郷里宮城県緑原町長への立候補を承諾し、多大な借金を抱えた町の再建に奮闘する物語。もともとは、八代に一矢報いるために町長になる覚悟をした山崎が、最後には、面白い事業に巡り合え実現にまで漕ぎ着けた満足感に満たされるハッピーエンド。

最初は、政治とか商社とか苦手な分野の話だからとぼちぼち読んでいたが、いつの間にか話に引き込まれて一気に読んでしまった。町の特徴・欠点を活かした新事業への発想も興味深かった。

この物語で私が1番好きな人物は、四井商事都市開発事業本部所属で京大法学部出身の渡部和美だ。施設建設に絡む利権の恩恵を受けようとしつこく探ってくる町議員のカマタケに、渡部は初対面でありながら啖呵を切る。その場面で私は気持ちがスカッとし、心の中で渡部を褒め称えた。

山崎ら誘致企画室メンバーと四井商事が進める新事業が高齢者対象であるため、折に触れ自分の老後についても考えさせられ、無計画な自分の現状を反省した。四井の福永社長曰く「リタイヤできるということは、老後の手当てに目処が立った人間の特権ともいうべきもの」。私も老後の手当てに早く目処を立てて、好きな時に好きなことができるようにリタイヤしたいものだ。

最後に、四井商事の社風を。
『そら、おもろい、やってみなはれ』。ただし責任はちゃんと取れよ』
私は、これまでに(浅く広くだが...)色んなことに興味を持ってチャレンジしてきた。でも、いかんせん省エネ体質かつインドア派のため、あと一歩のところが踏み出せていないので、今後はもっとフットワークを軽く、更に挑戦してみたいと思った。




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