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教員のための「総譜」

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教員として働く中で、どんな価値基準も持つべきなのか、どんな語彙を持つべきなのかを考えていくマガジンです。もうすぐ教員生活も10年目を迎えてしまうので、今まで出会ってきた言説をまと… もっと読む
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記事一覧

名もなき「当意即妙」のために

 「当意即妙」…その場にうまく適応した即座の機転をきかすさま。  この当意即妙の様が主題…

小田垣有輝
2か月前
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教員の「問い返される」権利

いつだって、教員は生徒から「あなたの言葉は正当なのか」という問いをつきつけられている。 …

小田垣有輝
2か月前
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無言を分かつ ~小池陽慈『ぼっち現代文 わかり合えない私たちのための〈読解力〉入…

 みなさんもご存じの通り、小池陽慈という作家は「学習参考書の皮を被った哲学書」をバンバン…

小田垣有輝
5か月前
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「べき論」を恐れる必要はない

noteを書くときにデフォルトで表示されている「ご自由にお書きください」って文字を見るたびに…

小田垣有輝
9か月前
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「弱さ」をシェアするチームになる

「弱さ」を受け入れるための「強さ」  生徒と信頼関係を築くためには、教員が自身の不安と向…

小田垣有輝
10か月前
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「文学教育」の領域はどこからどこまで?

 これが発端だったわけだけど、やっぱり『高瀬舟』で安楽死を論ずるのはかなりやばい営みだと…

小田垣有輝
10か月前
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生徒が教員の言うことを聞かないのは正しい

 教員になってから「どうして生徒は言うことを聞いてくれないのだろう」と悩むときが来る。しかし、この問いは実は成立していなくて、生徒は言うことを聞かない。というか、人間は他者の言うことを聞かない。だから、生徒が教員の言うことを聞かないということは当たり前であり、ある意味正しいコミュニケーションである。その悩みは「教員は生徒に言うことを聞かせなければならない」という使命感が前提にあるはずだが、その前提は成立しない。  むしろ、もしあなたの近くに、あなたの言うことをすべて聞いてく

「やれ」と「やってみよう」はいずれにしても「やらない」を許さない

 むかーしの日記で尾崎豊の歌詞を引用した気がしたのですが、やっぱり学校にあるものはどこま…

小田垣有輝
10か月前
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グローバル社会を再検討するための「遅さ」

 前回の記事では、教育現場における「遅さ」の重要性について論じてきた。  良質な議論を形…

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「遅さ」に重点を置こう

 先週の記事では、決断することに疲れているのではなく、合議することに疲れ、忌避していると…

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道綱母を見習って「合議」の道へ

決断ではなく「合議疲れ」  「決断」という言葉に着目して今のところ議論を進めているけど、…

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決断を忌避する「男」たち

 前回の続きですが、『メロス』に登場する暴君ディオニスこそ、「決断疲れ」に憑りつかれた人…

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「教員の不安」を起点にした対話を

暴君の本質 「決断疲れ」を回避したいがゆえに暴君に成り果ててしまう人間の心情を、太宰治が…

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〈序論〉「決断疲れ」とどう向き合うべきか

 どんな仕事だってそうだけど、仕事を進めていく上で決断を迫られる場面に多く遭遇する。一度熟考してから決断できる場合もあるけれど、その瞬間でなければできない、またはその瞬間にしなければならない決断もある。教員の場合、その決断が対生徒の場合が多く、しかもリアルタイムに決断しなければならない場合が多い。  その瞬間に生徒にどんな言葉をかけるべきか。その出来事に対してどのようにアプローチすべきか。二者択一どころではなく、無限にある言葉・行為の中から選択するということの連続が日々積み重