見出し画像

小説「専用の地獄」

近々新しい地獄が出来るらしい。閻魔庁は慌ただしい。身体的な特徴を言えば、脳の、前側がつぶれていたり(そうでない場合も、あり一概には言えないそうだ)していて、魂が宿っても育たないまま枯れて消えてしまう人間が増えている。一応、人として生きて地獄には行くのだけど、魂が無いものだから量刑が出来ない。そういう霊に対する、新しい地獄が出来るのだそうだ。魂が無い以上言葉が意味を持たない。しかし、霊は経験する事なら出来る。よってさんざんな罪を犯すわけだ。しかし言葉が意味を為さない以上、通例の地獄に落とすわけに行かない。そして感性にも乏しいから苦痛も感じない。閻魔庁では、かなり困ったそうだ。だから、沼を作ることにした。出来るだけ大きな。其処に、立たせて置くことにするらしい。二度と誰の迷惑にもならないよう。まあ幸い魂が無いのだから流転する事もない。ただ、ゴミばかり増えると地獄では困っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?