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小説「せいぜい人間の永遠」

あなたは疑うけど、せいぜい人間における永遠の間くらいはあなたを愛していると私は考える。思う、と言うと無責任な気がして、私は今必死に考えている。永遠の認識の仕方は生物に依って異なる。体を機械にしたり、脳波を電子にしたら永遠に存在できると考えられているけど、それだって10万年が限界で、つまり人間にとっての永遠はそのくらいなのだ。10万年。うん、そのくらい、わたしは楽勝であなたを愛しているよ。あなたはもう何処にも居ないけどね。わたしは。わたしは体を失っても、魂さえ無くなっても、けしてあなたを忘れたりしない。せいぜい人間の永遠くらいは、必ずあなたを想っている。例えあなたの居ない世界でも、わたしはものともしやしないわ。理由はね。あなたなら、わかるでしょうから。

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