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江戸時代の人も歯周病?

 今週は以前、日本歯科新聞に掲載されていた「江戸時代の人も歯周病に罹患か」という記事を簡単にご紹介します。
 東京医科歯科大学大学院や総合研究大学大学院などの研究グループによると、江戸時代後期の12人の古人骨と採取した歯石のDNAを解析して当時の口腔疾患罹患状況と口腔内の細菌組成を調べたそうです。
 断層撮影による歯周病診断では4割以上の人に歯周病が原因と思われる歯槽骨の吸収が確認されたそうで、歯周病に罹患していた可能性があるそうです。さらに歯石DNAの細菌叢を解析したところ、11系統の細菌門で江戸時代と現代日本人で共通だった一方、3門は現代人のみで確認されたそうです。
また、歯周炎の代表的な病原菌レッドコンプレックスは現代人の歯垢から多く検出され、江戸時代の歯石からは検出されなかったそうです。研究結果から、現代の日本人と江戸時代の日本人では細菌同士の関係性が違っていたようです。口腔内の細菌の組成は食事や生活習慣などの環境要因によって変化するので、鎖国政策で外国からの細菌伝播が少なかったことが影響している可能性があるとのことでした。
 その後、医学、歯学が劇的に進歩しても残念なことに現代になっても歯周病に特効薬は無く完治するということはありません。歯周病は自覚症状がほとんど無いまま進行し歯を支える歯槽骨(しそうこつ)を溶かして、最終的には歯が抜けてしまうという厄介で恐ろしい病気です。
 この厄介な歯周病の唯一のサインと言えるのが歯ぐきからの出血です。出血は歯ぶらしで歯ぐきに傷ができて起こるわけではなく、歯ぐきの組織が歯周病菌と戦い炎症を起こしたことによるもので、この出血を放置してしまうと歯周病が進行してしまいます。歯を磨くたびに出血するようであれば直ぐに歯科受診することをお勧めいたします。
 それでも江戸時代とは違い、現代には歯科医院があります。ご自身による毎日の歯みがきなどの口腔ケアと歯科医院での定期的なメインテナンスにより口腔内を清潔に保つことで歯周病をコントロールすることは可能です。ご自身による口腔ケア(セルフケア)と歯科医院でのメインテナンス(プロフェッショナルケア)の2本立てで口腔内の健全性を維持していきましょう。
 いずみ中山歯科では8人の歯科衛生士によるメインテナンスに重点を置いていますので、メインテンスについてどんなことでも構いませんので、聞いてみたいことがあればお気軽にご相談ください。
 
 

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