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もう一度だけ、きみに会いたい

「やっ?」

数年前の冬の朝、仕事で車を走らせていると、あたり一面雪景色の中にカラスの群れが集まっていた。どうやら、田んぼにいる餌を探しているようである。

ぼくは実を言うと、カラスが好きだ。

真っ黒な姿も好きだが、なによりそのしぐさも好きだったりする。車を走らせても、ぎりぎりまでよけることなく平然としている姿は大したもの。そして、ぎりぎりのところで、飛び立つでもなく、ちょんちょんと脇に避けていく。愛らしい。

「烏の行水」という言葉もあるように、ささっと羽をばたつかせ、すっと飛び去る姿も好ましい。ぼくも風呂に入るときは、ささっと入る派だ(ただ長湯が苦手というだけなのでは・・・)。

都会でカラスに人間がもてあそばれて、髪の毛を引っ張られるという話を聞いたことがある。うらやましいったらありゃしない。ぼくの少ない毛では引っ張ることはできないかもしれないが、もしやってくれるんであればカツラを購入することも検討する。

もし、カラスを飼うことができるなら、ぼくはまっさきにカラスをペットにするだろう。手乗りカラス、ぜひ調教したいものだ。そのためならぼくの寝る時間を削ってもいいくらいだ。

カラスは人間に嫌われている。カラスは賢いから、人間は嫉妬しているのだろうか。それともゴミをあさって困るからだろうか。もし、カラスたちのゴミあさり問題があまりにもひどいなら、カラスさん、どうかぼくのご飯をあさってください。それならぼくは一日一食でも大丈夫ですから。



これほどに溢れるカラス愛は、当然カラスにはちっとも伝わらない。

いつものように、走行中の車窓から、カラスがエサを探しているのを眺めていると、一匹だけ毛色の違うカラスが目についた。

その日はあたり一面雪だったので、目の錯覚かと思ったが、よく見るとやっぱり変わっている。そのカラスは色が白黒だった。

へぇ、珍しいカラスがいるものだなぁと思ったけれど、仕事で急いでいたので、車を止めるわけにもいかず、写真を撮るのはあきらめた。

帰りの道中もそのカラスが気になり、元居た場所を通ってみたら、すでにカラスの群れは別の場所に移動していて、あの白黒カラスも消えてしまっていた。

帰ってからも、気になってインターネットで調べてみたら、なんとあれはカササギということがわかった。

人里の大きな樹の樹上に球状の巣を作り繁殖する。ハシブトガラスのように群れを作らず、主にツガイ、もしくは巣立ち前の雛と少数単位で暮らす。また、ハシブトガラスよりも一回り小さく、黒地に白い羽を持つ。1960年代に行われた調査では、標高100m 以上の山地には生息せず人里を住みかとしており、広い森林が覆う山地は分布障壁となっている[10]
なお、和名「カササギ」はサギの音を含むが、分類学的にはサギ(鷺)と遠く離れている

ウィキペディア:カササギの生態

今まで生きてきて、初めて見た。カラスのように群れを作らないと書いてあるが、ぼくはカラスの群れに交じって餌探しをするカササギを確かに見た。

その後、なんどもカササギを探したけれども、結局今に至るまで一度も発見できていない。あれは夢だったのだろうか。みんなに伝えたいのだけど、肝心の証拠写真を撮っていないものだから、説明のしようがないのが残念でならない(見たいという人がいるかはわからないが・・)。


結局、ぼくはこうおもうことにした。

あれは一期一会の出会いだったのだ。

ぼくがカラスを愛していることに気付いたカササギさんが、親愛の意味をこめてそっと近づいてくれたのだ。

もう一度だけ、真っ白な雪景色の中できみに会いたい。




出雲神話の中で一期一会の出会いといえば、大国主命とスクナヒコの出会いだろう。

国造りをした神話の英雄大国主命は、もう一人の英雄神・スクナヒコとともに国造りの大事業を行っている。もし、スクナヒコと出会わなければ、大国主命も国造りをできなかったといわれている。

国造りの道半ばで、スクナヒコは常世(とこよ)に旅立ってしまう。大国主命は大いに落胆したという。これもまさに一期一会の出会いだったのだろう。

大国主命とスクナヒコは仲良く万九千神社に祀られている。万九千神社は神在月に出雲に集まった大勢の神様が最後に立ち寄られる神社として有名で、この神社から神様達は地元に帰っていくそうである。



今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。 
 
よかったら、万九千神社にもいらしてください。

一期一会の出会いがあるかもしれませんよ ♪

お待ちしています。


*表題画像はbionailさんの画像を使わせていただきました。ありがとうございます m(_ _)m 




こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。

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