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ミッキーマウスとウサギ年

今年は卯年。

1月4日付の地元紙・山陰中央新報に面白い記事があった。

この記事によれば、出雲大社境内にウサギの石像が多数設置されており、それを観光アピールに使いたいという。

「平成の大遷宮」のあった2013年に本殿北にウサギの像が設置されたのがその始まりで、それから徐々に増え、現在は66体も点在するという。

確かにいわれてみれば、最近出雲大社に初詣に行ったというブログ記事に、見たことないウサギ像があったことを思いだした。

出雲大社前の神門通りおもてなし協同組合が遷宮後の魅力づくりのために2019年に「うさぎプロジェクト」を始めたのだという。グッズ販売やスタンプラリーで周遊を促すガイドブックを作り、ウサギの街のイメージ定着に取り組んでいるという。



出雲大社にウサギ像を設置するのは、ご存知かもしれないが「因幡の白兎」神話が出雲大社の主祭神である大国主命と関係しているからである。

「因幡の白兎」とは、以下のような神話である。

隠岐にいたうさぎはなんとか因幡に渡りたいがために、わにをだまして隠岐から因幡まで並ばせてその背を橋代わりに渡ろうとします。しかし、最後のところで、うさぎはそのたくらみをわににしゃべってしまい、最後はわにに皮をはがされてしまいます。

そこに通りかかった八十神たち。彼らは因幡の八上比売(やかみひめ
)に求婚に行く最中でした。皮を剥がされたウサギを見て、八十神達は「海水を浴びて風の吹くのにあたっているとよい」といいました。その通りにするとよけい傷んで、うさぎは泣きふしていました。

そこに八十神達の荷物を持って通りかかった従者・大国主命がうさぎに良い治療方法を教えて、うさぎがそのとおりにすると皮は元通りに治りました。

そこでうさぎは「八十神達は因幡の八上比売(やかみひめ)に求婚に行くけれど、選ばれるのは大国主さん、あなたです」と予言します。

その予言の通り、八上比売(やかみひめ)は八十神の求婚をすべて断り、大国主命との結婚を宣言します。

そのことにより、因幡(今の鳥取市)では白兎神社で因幡の白兎を祀っており、そのあたり一帯の海岸を白兎海岸と呼んでいる。

しかし、これは因幡の神話である。白兎海岸でウサギの街をアピールするのならわかる。白兎神社の境内にウサギ像を何百匹置こうが理解できる。

それが出雲大社となるとどうなのだろう。



それでは「お前は出雲大社の神門通りおもてなし協同組合がやろうとしてる「うさぎプロジェクト」に反対なのか」といわれるかもしれない。

いえ、まったく反対ではありませぬ。

むしろ、出雲大社は既に無形の観光資源として、これからももっと活用すべきだと思っている。

ただ、ひとこといわせていただけば、もうすこしあの方のことも考えてやっていただけませんかというお願いに近い。あの方とは、


ネズミさまのことである



神話の中でネズミといえば、大国主命の物語である。

大国主命は出雲にやってきて、スサノオの娘スセリヒメに一目ぼれ。スサノオに結婚の許しを乞うと、いきなり難題を吹っ掛けられる。

そこで大神(スサノオ)が出て見て、「これは葦原色許男の命だ」とおっしゃって、呼び入れて蛇のいる室に寝させました。そこでスセリヒメが蛇の領布をその夫に与えて言われたことは、「その蛇が食おうとしたなら、この領布を三度振って打ちはらいなさい」と言いました。それで大国主命は、教えられたとおりにしましたから、蛇が自然に静まったので安らかに寝てお出になりました。

次には鏑矢(かぶらや)を大野原の中に射て入れて、その矢を採らしめ、その野におはいりになった時に火をもってその野を焼き囲みました。そこで出る所を知らないで困っている時に、鼠が来て言いますには、「内はほらほら、外はすぶすぶ」と言いました。こう言いましたからそこを踏みましたたところ落ち入って隠れておりました間に、火は焼けて過ぎました。そこでその鼠がその鏑矢をくわえ出して来て奉りました。その矢の羽は鼠の子供が皆食べてしまいました。

かくてお妃のスセリヒメは葬式の道具を持って泣きながらおいでになり、その父の大神はもう死んだとお思いになをその野においでになると、大国主命はその矢を持って奉りましたので、家に連れて行って大きな室に呼び入れて、頭の虱(しらみ)を取らせました。そこでその頭を見るとムカデがいっぱいおります。この時にお妃が椋の木の実と赤土を夫君に与えましたから、その木の実を食い破り赤土を口に含んで吐き出されると、その大神はムカデをくい破って吐き出すとお思いになって、御心に感心にお思いになって寝ておしまいになりました。そこでその大神の髪をとってその室の屋根のたる木ごとに結いつけて、大きな岩をその室の戸口にふさいで、お妃のスセリヒメを背負って、その大神の宝物の太刀弓矢、また美しい琴を持って逃げておいでになる時に、その琴が樹にさわって音を立てました。そこで寝ておいでにあった大神が聞いて驚きになってその室を引き倒してしまいました。しかしたる木に結び付けてある髪を解いておいでになる間に遠く逃げてしまいました。そこで黄泉比良坂(よもつひらさか)まで追っておいでになって、遠くに見て大国主命を呼んで仰せになったには、「そのお前の持っている太刀や弓矢をもって、大勢の神を坂の上に追い伏せ河の瀬に追い払って、自分で大国主の命となってそのわたしの女(むすめ)のスセリヒメを正妻として、宇迦の山の山本に大磐石の上に宮柱を太く立て、大空に高く棟木を上げて住めよ、この奴め」と仰せられました。そこでその太刀弓を持ってかの大勢の神を追い払う時に、坂の上ごとに追い伏せ河の瀬ごとに追いはらって国を作り始めなさいました。

「古事記-根の堅洲国-」

スセリヒメのアドバイスや援助はいいとして、動物の中で唯一、大国主命を助けてくれたのが何を隠そう、ネズミである。もし、ネズミのアドバイスがなければ、ここで大国主命の物語は一貫の終わり。そして大国主命の国造りもなかったことになったかもしれない。

それを考えれば、もっとネズミを大切に扱ってもいいような気がするという記事を上述した。できれば、ウサギ像と同じくらいネズミ像も増やしてもらえないだろうか。

そうすれば、いつかアメリカのスーパースターのネズ公もこの出雲のネズミへの信仰心の篤さに気付き、「出雲ディ○二ーランド」なんてものも作っていただけるかもしれない。

アメリカのネズ公と大国主命のコラボなんてできたら最高じゃありませんか♪

どうでしょうか?

ちょうどいい機会でしたので、これ幸い、お願い申し上げます♪

ウサギもいいけど ネズミもね♪ (チュウ)



今回も読んでくださり、ありがとうございました。 

よかったら、白兎神社や出雲大社にもいらしてください。

ウサギとネズミでお待ちしています♪


このヘッダ-画像はあやめしさんの画像をお借りしています。ありがとうございます。


こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。

 よかったらご覧ください ↓ ↓ ↓


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