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【随想】芥川龍之介

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記事一覧

【随想】芥川龍之介『秋』

 叶わなかった想いは時に、満たされた希望よりも美しく重く心の底に残り続け、人を心地よい悲…

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【随想】芥川龍之介『舞踏会』

 この星に現在何十億という人間がいて、過去には千億を超える人間がいて、また未来には恐らく…

【随想】芥川龍之介『開化の良人』

 罪悪感に正面向いて真っ直ぐに受け止めた上で、それを乗り越えられる人間など、まずいない。…

Junigatsu Yota
10日前
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【随想】芥川龍之介『枯野抄』

 偉大過ぎる存在の側にいる者の苦しみに、同情出来る者は少ない。太陽ははるか遠方にあるから…

Junigatsu Yota
13日前
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【随想】芥川龍之介『開化の殺人』

 狂気のような熱情によって自己世界に陥る者を最早止める術はない。彼の意識、彼の理想、彼の…

Junigatsu Yota
2週間前
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【随想】芥川龍之介『戯作三昧』

 どれだけ高尚な思想を洗練させても、どこまでも現実は現実で、肉体は老い、腹は減り、糞は出…

Junigatsu Yota
2週間前

【随想】芥川龍之介『或日の大石内蔵之助』

 或一時の熱狂から冷め、視界が広く明るく解放されていくと、熱中していた頃の振る舞いの一切が、ビデオの中の自分のように、酷く幼稚で滑稽に思えて恥ずかしくなる。  過去に満足する事は、未来に対して失望する事よりも、遥かに困難だ。猛る狂奔の渦から飛び出してくる僅かな理性を頼りに、人は後悔と懺悔の城塞を築き、その中に閉じこもり時が過ぎるのを待つ。だが人生には、いつまでも後悔の嵐が吹き荒れている。後悔しないように生きる事など出来ない。何を選んでも、何をしても、何をしなくても、生き続ける

【随想】芥川龍之介『糸女覚え書』

 何でもいい。仏だろうと神だろうと、生まれた罪を許す理由を与えてくれるなら、誰にだって帰…

Junigatsu Yota
3週間前

【随想】芥川龍之介『おしの』

 言葉を用いた説教など、熱を纏ったリアルな生き様に比べれば、ままごとのようなものだ。人は…

Junigatsu Yota
1か月前

【随想】芥川龍之介『おぎん』

 信仰に生きることの意義を、今こそ見つめ直すべきだろう。個人が社会から遊離した現代は、誰…

Junigatsu Yota
1か月前

【随想】芥川龍之介『報恩記』

 殺されてやる。貴様への復讐の為、殺されてやる。  命とは、生死が問題なのではなく、どう…

Junigatsu Yota
1か月前

【随想】芥川龍之介『神神の微笑』

 桜がほの白く漂う夜気に、せせらぎの音のように溶け込んでいく意識を意識した時、ああこの世…

Junigatsu Yota
1か月前

【随想】芥川龍之介『黒衣聖母』

 求めよさらば与えられん。しかし求めたものが、どのような形で与えられるかまでは分からない…

Junigatsu Yota
1か月前

【随想】芥川龍之介『きりしとほろ上人伝』

 己が強大な力を振るう理由が見つからず悩み抜いた巨人がついに出会ったのは三位が一体は神の子であった。その子を乗せた肩が受ける重みはまさしく人生の意味生きる意味生まれた意味その重さである。過重の苦しみこそ生を象徴するのでありそれを知る巨人はいまや力を振るう理由に悩む事など有り得ない。彼は知った彼は出会った彼は解いた彼は手にした誰にも奪われない最高の喜びを。真の歓喜は苦しみの先悲しみの果てにしかないと。泣け喚け震えて流せ。そして全てを失って尚残るものを見よ。それが唯一絶対の揺るぎ