マガジンのカバー画像

東京方言の音韻論

3
運営しているクリエイター

記事一覧

東京方言の音韻論のためのちょうどいい音声記号を考えたい

個別言語の音韻論はその言語における音の出現パターンを記述するために、音をグループ分けしたり、関連づけたりする。[s, x, t, k] などのような一つ一つの音(単音という)をただリストアップすれば良いわけではなく、[s, x] は摩擦音で [t, k] は閉鎖音だとか、[s, t] は歯音で [x, k] は軟口蓋音だとかいうふうに、さまざまな基準で分類したり、特定の環境に [t, k] は現れ

もっとみる

東京方言の「昨日類」(アクセントと音節の関係)

この記事では、東京方言のアクセントを理解するために重要な「昨日類」と呼ばれる語群について説明します。「昨日類」という便利な名称はわっしーさんが付けてくれました。

本記事を読み進めていただく前に、前提として、東京方言アクセントの基本的な仕組みについて説明した次の記事をご覧ください。通説とは異なる分析であり、本記事の前提となるものなので、すでに詳しい方もご一読ください。

本文に入れることができなか

もっとみる

日本語のトーン表記の方法を紹介します

この記事では、日本語のトーン表記の方法を紹介します。まず現在一般的に通用している説を紹介し、次に私が支持している比較的新しい説を紹介します。

記事内で単に「日本語」という場合、少なくとも終戦以降、現在に至るまで東京都(伝統的には23区内)を中心に使われているもののうち、比較的規範的または標準的とされる言語変種で、言語学では「東京方言」、または首都圏の伝統的な方言の違いが目立たなくなり共通化が進ん

もっとみる