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ベルギー・バンシュのカーニヴァル

Belgium Binche

カーニヴァルが到来する2月になると、ヨーロッパ各国は寒さも和らぎ春らしくなってくる。
"カーニヴァル"とは、復活祭の4週間前から始まる「四旬節(英Lent レント、仏Carême カレム、伊Quaresima クアレージマ)」に入る前に飲み、食べ、歌い、踊る"無礼講"の事。断食の40日間を過ごす前に、大いに「肉食(Carne カルネ)」を謳歌しようということから始まった。日本語で"カーニヴァル"を「謝肉祭」と訳したのも名訳といえる。
ベルギーのブラッセルから南へ約40キロメートル、フランスの国境に近いバンシュ(Binche)で特異なカーニヴァルが開催される。

中世、15世紀には始まっていたといわれるバンシュのカーニヴァルのハイライトは、「ジル(Gille)」と呼ばれる道化師たちが高さ1.5メートル、重さ3キログラムもあるダチョウの羽で作られた帽子をかぶったパレード。
マルディ・グラ("脂の火曜日"。"告解の火曜日"ともいう)」の午後3時、バンシュの中央広場に約1000人のジルたちが集まり、風変りな音楽に合わせて踊り始める。
ユネスコの世界無形文化遺産に登録されている。

ジル達は、木靴を履き、ベルギー国旗の黒、赤、黄色の衣装に、ライオン、星、王冠などのアプッリケが付けられている。胸と背中に藁を入れ、ユーモラスな体形に。「アペルタンタイユ(Apertintaille)」と呼ばれる鈴をつけたベルトや胸飾りを下げ、全員が音楽に合わせて踊ると、広場いっぱいに鈴の音の大音響が響く。
ジルは、バンシュの3歳から60歳までの男性が演じ、バンシュ市民の栄誉とされている。
祭事は、15のジル保存組合が管理、運営している。

緑、黄色、赤など色とりどりの衣装の道化師「アルレキイン(Arlequins)」、ライト・ブルー、ライト・グリーンの衣装の道化師「ピエロ(Pierrots)」、青い服を着たお百姓さん「ペイゾン(Paysans)」もパレードに参加する。

パレード中ジルたちは、"悪霊"を意味するオレンジを投げ、オレンジを受けた人は幸福になるという言い伝えがある。期間中にジル、道化師が一人30キログラム、総計30トンのオレンジをバンシュ市内で投げる。この期間バンシュの家のテラスはネットを張ってオレンジでガラスが割られないように防御対策をとっている。

パレードの観客もそれぞれのカーニヴァル・メークでバンシュのカーニヴァルを訪れる人が多い。

2023年のバンシュのカーニヴァルは、2月19日、20日、21日。
告解の火曜日の21日にジルのパレードがある。移動祝日なので毎年日程が変わる。

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