続・ドンキで売っている5000円くらいのアクションカムをバラしてみる

概要

記事「ドンキで売っている5000円くらいのアクションカムをバラしてみる」を公開した後に行った追加の調査の量が増えてきたので,当初元ページに追記していた分と合わせて新たな記事としました.最初に元ページに追記していた部分を,その後にさらに行った調査の結果を書いていきます.

画質チェックとUSB関連機能について
(初出:「追記(2017/08/20 17:16)」)

組み戻してフォーカスの調整をしてから,最高解像度(12M,4032×3024)設定で静止画を撮ってみました.

アクションカムの広角レンズ特有の歪みがあります.画質も悪くはないですが,本当にネイティブ解像度が12Mピクセルかはちょっと怪しそうだなあという感じがします.(あくまで主観的なコメントですが…)

また,動画に関してはビデオ部分がMotion JPEG 29.9fps,オーディオ部分が11.025kHz a-law PCMでした.SoCの古さゆえという気がします.

その後,USBケーブルでPCに接続するとマスストレージで接続するかWebカメラとして接続するか選択する画面が出てきて,どちらを選択してもきちんと動作するようになっていました.ちなみにここらへんの挙動は一切説明書に記述がありません.説明書ではUSBポートはあくまで充電用ということになっています.

センサーの正体を探る(その1)
(初出:「追記その2(2017/08/20 21:00)」)

センサーの素性がどうしても気になったので再度分解し,実体顕微鏡の40倍設定でよーくセンサーを観察してみたところ,光を当てる向きによっては"34″の文字が浮かんでくることに気が付きました.

色々と光の当て方を工夫してみましたが,40倍で観察する限りはこの"34"以外の文字は存在しませんでした.(カラーフィルターのテストパターンみたいなのはありましたが.)

なるほど,この"34″はきっと型番の一部だな,と思い,この手のアクションカムによく使われているセンサーのメーカーであるOmniVisionやGalaxyCoreといったメーカー名と"34″を組み合わせて検索をかけてみましたが,流石に数字2桁では手がかりは得られませんでした.

しかし,ここで,そういえばカメラモジュールのフレキシブル基板にも何か書いてあったな,組み合わせれば手がかりが得られるかもしれないと思い,カメラモジュールのフレキシブル基板を再確認してみました.

するとどうでしょう,"KYP21A-1034-V1.1″と書いてありました.実は最初の分解の時点で,"KYP21A"や"KYP21A-1034-V1.1″等のキーワードで検索はかけていたのですが,特にヒットしなかったので放置していたのでした.

しかし,センサー上の"34″という文字を見かけた後にこの文字列をよく見てみると,この"1034″はメーカー型番を示している可能性がありそうだと感じました.OmniVisionもGalaxyCoreもセンサーに4桁の型番(OmniVision:"OV"+4(or 5)桁数字,GalaxyCore:"GC"+4桁数字)を付ける傾向があるため,もしやこれは…と検索してみると見事に"GC1034"がヒットしました.

製品ページのResolutionの項目には640×480と書いてあり,一瞬VGAかと思ったのですが,製品一覧ページや製品ページの"Catalog"の項がHDになっていることから,1280×720,1/4インチのセンサーだといえそうです.最初の分解の時点で計測したエリアサイズから対角線の長さを計算すると,おおよそ1/4インチだったので,その点でも合致します.

さらに,Alibabaで"GC1034"で検索してみて出てきたカメラモジュールの写真を見ると,

引用元:https://szhuishi.en.alibaba.com/productshowimg/60654297831-800657342/Cheap_1_4_720P_1MP_AHD_cctv_board_camera_module.html(2017/08/20閲覧)

やはりGC1034の形状と搭載されているセンサーの形状はそっくりでした.

GC1034のデータシートが手に入らず,マーキング等の情報がわからないこととから,100%GC1034と断言することはできませんが,かなりの確率でセンサーはGalaxyCoreのGC1034なのではないかとい思います.もしセンサーがGC1034だとすると,フルHDの動画や1Mピクセル以上の静止画はアップコンバートによって生成されているということになりそうです.

もう一台買ってみる

さて,ここまでは分解記事投稿初日に追記した部分なのですが,その後も幾つか疑問が残っていました.その中でも一番の疑問は「16年ものの東芝のSDRAMをそんなに大量に集められたのか?」という点でした.搭載されているSDRAMは元記事でも書いたように昔はPC用として大量に生産されていた汎用・規格品なので,数が出回っているとはいえ,いくらなんでもそんなに都合よく東芝の16年前のデッドストックだけで賄えるということはないんじゃないかと思っていたのです.

そんなわけでこんなツイートをうっかりしたところ,

金沢大学の秋田先生(@akita11)に煽られてしまい,まあ確かにもう一台買えば不可逆な分解(センサーをフレキシブル基板から取り外す,SPI Flashメモリを取り外してデータを読む等…後者は丁寧にやれば戻せますが)も躊躇なくできると思い直したので月曜日に再度アクションカムを買いにドン・キホーテへ向かったのでした.

生産タイミングが近いと同じSDRAMが載っている(流石に1個単位で仕入れてはいないと思うので)可能性もあると考え,あえて1台目を買ったのとは別のドン・キホーテ店舗で購入しました.

店頭POP等を見てもやはり売上は好調らしく,2台目を買いに行った店舗には赤や黒などの無地系のカラーの在庫はありませんでした.そんなわけで,1台目を買った店舗の店員さん曰くイマイチな迷彩モデルをチョイスしました.

分解のプロセスは当然1台目と同じで,まず電池を抜いて…と進めていくのですが,

2台目のバッテリーもご覧の通り,引き出すためのタブのシールが雑に貼り付けられていました.(白い側が粘着面.)粘着面が外部に露出しているため,最初にバッテリーホルダーの蓋を開けたときにはこのタブがバッテリー本体に貼り付いてしまっていました.また,端子付近にもシールの剥がれが見受けられ,バッテリーの作りの雑さは1台目で偶然ハズレを引いた,ということではさそうだという印象を受けました.

確かに,充電は本体に付いているUSBコネクタから行うため,そもそもバッテリーを取り替えようしない限りこの部分を目にすることはないのであまり気にならないかもしれません.(もちろん,動くことは動きますし.)

それ以外に特に目につく点もなく,順調に基板にたどり着きました.

予想通り,違うメーカーのSDRAMが載っています.また,microSDカードスロット上のシールには"000258531"とありますが,1台目のシールは"000239412"となっていました.2つの番号の差を取るとおおよそ2万になります.全国のドン・キホーテで販売するとはいえ,さすがに一気に2万台以上製造してはいないのでは?と思うのですが,他のブランドへの供給分まで含めての通し番号なのか,あるいはデートコードのように,単純な通し番号ではなく桁ごとに何か意味があるのかはわかりませんでした.さらに,左下の"Q2"は"WEA10"とマーキングされており,1台目(マーキングは"A19T")と違う部品が搭載されていそうだということがわかりました.もっとも,Q2は汎用のP-Channel MOSFETなので,部品を変えてもさほど問題はないと思います.

さて,話をSDRAMに戻しましょう.ロゴ及び型番がよく見えるように拡大した写真を以下に示します.

2台目に搭載されていたSDRAMは東芝製ではなく,台湾Zentel社のA3V28S40PTP-G6というSDRAMでした.Zentel社のWebページには同一品番についての情報はありませんでしたが,よく似通った"A3V28S40JTP"という品種のデータシートが存在しました.このデータシートによれば,"A3V28S4"までがZentelの3.3V(LVTTL)品のSDR(Single Data Rate,要するに「ただの」)SDRAMで,容量は128Mbit(=16MByte),16bit出力であるということを示しているとのことでした.その後ろの"0JTP"ですが,"0J"はダイ(IC内部のシリコンのチップ) のバージョンを,"TP"はパッケージがTSOP(Thin Small Outline Package) IIであることを示しているとのことでした.また,ハイフン以降の表記は最高動作速度を示すコードで,A3V28S40"J"TPでは60 (6.0ns:166MHz品) ,70 (7.0ns:143MHz品) ,75 (7.5ns:133MHz品)が存在するとのことでしたが,今回のチップには"G6"とあります.Zentel社のWebページのアーカイブに掲載されている,ダイのバージョンが古い"A3V28S40FTP"のデータシートによれば,"G6"は"G"reen(おそらく,鉛フリー等の有害物質規制適応品のこと)で"6".0ns品(166MHz品)であることを表しているようです.

1台目の東芝のSDRAMはデートコードから2001年製造であることが推測できましたが,こちらのICのデートコードらしき"337ZEN71"からは製造日を推測することができませんでした.そもそもA3V28S40PTPの情報がほとんど検索してもヒットせず,似通った型番を持つ品種やその箱の写真を見ても,この部分がデートコードであるということしかわかりませんでした.ただ,企業情報のページによれば,Zentel社は2002年に台湾Powerchip社からスピンオフして設立されたDRAMの設計を専門とする企業とのことで,さらにこちらのページには,製造販売を開始したのは2008年とあります.このことや,ダイのバージョン表記が(Web Archiveの情報等も参考にすると)"F"→"G"→"J"と進んでいて,今回のICでは"P"になっていることを鑑みるに,東芝のSDRAMに比べると大分新しいのではないかということは言えそうです.(ただ,動作速度の表記が古いものと一緒というのは気になりますが…)また,このZentelという会社,更に調べた所色々面白そうな背景があることがわかったのですが,それはまた後で説明します.

部品を外して調べてみる

2台目を購入したことにより,1台を不可逆に分解しても問題がない状態になったので,部品を外してみることにしました.まずは正体が気になるイメージセンサーを外しました.

まずはレンズマウントとフレキシブル基板を分離するところから始めました(ピンぼけですみません).フレキシブル基板とレンズマウントの固定も樹脂で行われており,ヒートガンで熱を加えながら剥がし取りました.(上部が引きちぎれてしまいましたが…)

さて,レンズマウントを分離したところで,左上に3本足の部品があることが判明しました.

3本足で"6***"とくれば,過去の記事(ファービーもどきクアッドコプターなど)にも出てきている,トレックス・セミコンダクターの電源IC(LDO)かその互換品(今までの記事で分解した製品ではNanjing Micro One Electronicsのものでした.)と推測できます.調査した所,やはりトレックス・セミコンダクターのXC6206の1.5V出力品のようでした.Nanjing Micro One Electronicsの製造する互換(多分デッドコピーだと思いますが…ここの部品の型番は頭文字が"XC"ではなく"MR"なので,違うものといえば違うものなんですが,付番ルール的に真似してるのは明白です.)品はNanjing Micro Oneのロゴが必ず入っているので,もしかすると本物なのかもしれません.他社によるデッドコピーやリマーク品という可能性もありますが,それを疑い始めるとキリがないのでほどほどにしておこうと思います.1.5VのLDOは搭載されている場所から,明らかにイメージセンサー用でしょう.

ヒートガンの温度設定を上げ,フレキシブル基板を更に加熱すると,イメージセンサー背面のはんだボールが融けてイメージセンサーをフレキシブル基板から取り外すことができました.取り外したことにより照明を当てやすくなったので,右下の"34"の文字が比較的はっきりと見える写真を撮ることができました.

裏面はこのようになっており,端子数が80個であることがわかりました.残念ながら,マーキングとしては"T","L","F"の文字しかなく,ここからこのセンサーがGC1034であるという追加の証拠を得ることはできませんでした.

次に取り外したのは,このアクションカムのデータが格納されていると思われるSPI Flashです.SPI Flashもまた規格化されていて多数のメーカーが互換品を製造しているため,取り外しがうまく行けば内部のデータは簡単に読み出すことができます.(もちろん読み出しのための装置は必要ですが,作ろうと思えばArduinoで作ることもできますし,2000円もあれば簡単に作れます.)

読み出したバイナリデータから,以前分解した2700円アクションカムと同様に,起動画面のJPEGファイルデータや起動・ボタン押下音(22.05kHz,16bitモノラルのWAVEファイル)データ,デバッグメッセージのデータを取り出すことができました.2700円アクションカムでは各言語ごとのメニュー文字列も取り出すことができたのですが,このアクションカムには日本語と英語しか対応言語がないこともあってか,メニューの日本語文字列らしきものは見つけることができませんでした.もしかすると,画像のような形でメニューの文字列を保持しているのかもしれません.

また,得られたJPEGファイルデータの中には,キラキラした背景に"iCatch"とでかでかと書いてあるという画像もあったので,メインのSoCの製造元であるiCatch Technologyがプログラムについてもある程度提供しているのではないかと考えられます.

さらに,バイナリを読んでいくと,Photoshopのデータの断片(Photoshopのデータであることを示す"8BIM"から始まるデータ群,しかしファイルの先頭を示す"8BPS"は見つからず…)らしきものや,"Exif.Icatch ....Spca1628 ..Sunplus MM Inc."など,他のICの型番や企業名らしきものも見受けられます.Sunplusは実はiCatch Technologyの母体となった企業の名前だったりします.詳しくは後ほど,Zentelの話とまとめてしたいと思います.

バイナリには当然画像や音声データだけでなく,処理用のプログラムも格納されているはずですが,こちらは流石にどのようなCPUか当てることはできませんでした.それらしい文字列で適当に検索をかけていったところ,"Sunplus CA1528"という表記があり,これにヒントを得て"SPCA1528"で検索したところ,こちらのデータシートは見つけることができました.それによると,SPCA1528は8032(インテルが組み込み用途向けに発売した8051というCPUの内蔵ROM無し版.各社が互換CPUを自社のSoCに組み込んでいることで有名)が搭載されているということがわかりました.

さらに,このSPCA1528を搭載した小型カメラ(自動車の鍵風の隠しカメラ)を解析しているページを発見しました.(どうやら動画に映り込む日付情報を消したいようです.物好き過ぎて本当に最高!)SPCA152"8"なので,型番は違うのですが,プログラムを格納しているSPI Flashの内部のデータの配置に関する解析もかなり進んでいて,このページで解析しているカメラのSPI Flashのバイナリもダウンロードできました.そのバイナリとデータの配置に関する解析結果,ドンキアクションカムのSPI Flashのバイナリを突き合わせていくことで,プログラム本体に相当するであろう部分を絞り込むことができました.この部分だけを切り出し,8051のマシン語を人間が読みやすいニーモニック表記に戻す逆アセンブラにかけたところ,ざっくり見た感じはそれらしいプログラムになっていた(前後の命令の関係性がなんとなく分かり,無茶苦茶な流れにはなっていない)ので,ドンキアクションカムに搭載されているSPCA1521Aも,おそらく8051相当,つまりSPCA1528と同じCPUを内蔵していると言えると思います.

謎のシリアル入出力

最初の記事では図に記入したものの,特に触れていなかったのですが,2700円アクションカムと同様に,基板おもて面に明らかにデバッグの際のシリアル通信用と思われる"RX","TX","VCC","GND"というパッドが存在しています.このパッドから配線を引き出し,2700円アクションカムと同様の方法で通信速度を調べた結果,デバッグ用メッセージを受信することができました.ちなみに通信速度は2700円アクションカムと同じ57600bpsでした.あまり最近の機器では使わない速度という印象があるのですが,何か理由があるのでしょうか…

さて,問題はその内容です.以下に起動直後のメッセージを示します.

spiBoot
c22015
[1b@12M]
Ld Ok(576ms)
DRAM: 8x16Mb@130MHz
FwSize : 0xB8000
sfid=C2 20 15
c22015
diskPhySectors 0x260,G_SPI_CisBlockAddress=1b4
rsv hdr..4096, 12, 20
..4096, 12, 20
menu.bin load succ
SENSOR - GC GC1034 RAW power on
Load
Msg(2)
Msg(400)
Msg(400)
Msg(400)
(以後しばらく"Msg(400)"が続き,SDカードの認識情報などが流れる)

たかだか十数行ですが,なんとこの中に突っ込みどころが2個もあるのです.

まずは5行目の"DRAM: 8x16Mb@130MHz"です.ご丁寧にSDRAMの情報を出力してくださっている,ということなのだとは思うのですが,問題は"130MHz"です.2台目に搭載されていたZentel社のSDRAMは166MHz品なので何ら問題ありませんが,1台目に搭載されていた東芝のSDRAMは125MHz品です.マージンの範囲だと言えば言い張れなくはないと思いますし,その程度のオーバークロックは自作PC勢ならしていたとは思うのですが,製品でこれをやるのはワイルドだなあという印象です.クロックを生成する回路の都合で,125MHzが生成できず仕方なく130MHz動作にしたのでしょうか.しかし130MHz動作とするなら133MHz(or それ以上)品を使うべきなのでは,という気はします.2台目の基板から配線を引き出してこの出力を読んでいたので,実は1台目と2台目でSDRAMの動作周波数が違うのではないかと思い,慌てて1台目の出力も見てみましたが,こちらでも"130MHz"と表示されました.残念ながら自宅のオシロスコープはそこまで帯域が広くないので,実際に130MHzのクロックがSDRAMに供給されているかどうかはわかりませんでした.(一応プローブを当ててはみたのですが…)

ただ,SPI Flashから読み出したデータの中に,"DRAM: %ux16Mb@%uMHz"という,明らかにC言語のprintf()系関数の引数となるような書式文字列が存在したので,起動時に設定データから動作周波数を計算して表示しているものと思われます.したがって,何の根拠もなく決め打ちで"130MHz"表示を出しているわけではなさそうです.

次は13行目の"SENSOR - GC GC1034 RAW power on"です.やはりGC1034だったのか!という感じです.内蔵しているプログラムがGC1034と言い張っているのだから,イメージセンサーはきっとGC1034なのでしょう.本記事の最初の方で「本当にネイティブ解像度が12Mピクセルかはちょっと怪しそうだなあという感じがします.」と書きましたが,やはりイメージセンサー自体はフルHD解像度に対応しているわけではないようです.

その他で気になるのは細かい点ですが,3行目の"[1b@12M]"あたりでしょうか.これはSPI Flashが1bit入出力,通信クロック周波数12MHzで接続されているということを示していると考えられます.それほど高速ではないので,基板から配線を生やして,SPI Flashを簡単に抜き差しできるようにして遊んでみてもよいのかもしれません.

また,2700円アクションカムと異なり,このアクションカムにはシリアルの受信端子もあるので,パソコンからのシリアル出力を送り込むことができます.適当にデータを送ってみましたが,残念ながら特に反応はありませんでした.

Zentel社とiCatch Technology社について

最後に,後ほど書くと言っていたZentel社とiCatch Technology社について,わかったことをまとめておこうと思います.

まずはZentel社についてです.先程も書いたように,Zentel社は2002年に台湾Powerchip社の出資で設立された,DRAMの設計を専門とした企業とのことです.元々Powerchip社自身がDRAMやフラッシュメモリの製造・販売を中心とした企業(2012年に販売を自社で行わず,他社DRAMの製造を受託するファウンドリービジネスに業態を転換しましたが)なので,事業拡張というよりは,半導体の製造・販売部門と設計部門の分離をした,というようなニュアンスなのではないかと思います.

さて,このPowerchip社ですが,こちらの記事によれば元々は三菱電機と協業していたとのことです.さらに,Zentel社の企業情報ページをよく見てみると,デザインセンター(設計部門)は日本の尼崎市にあると書いてあります.さらにこちらのPDFによれば,"旧三菱半導体出身者により設計,開発"を行っているとのことです.Powerchip社はその後もエルピーダメモリと協業を続け,2006年にはRexchipという合弁会社を設立したりしています.エルピーダメモリの会社更生法適用後,Micron Technologyによるエルピーダメモリの買収の過程でPowerchipはRexchipの株式を手放したようですが,その後もエルピーダメモリやMicronの開発したプロセス技術を自社工場に導入しているようなので,今も関係が深いといえるでしょう.

そんなわけで,1台目は東芝,2台目はZentelと,やけに日本にゆかりのある企業のSDRAMが搭載されているという印象を抱きました.東芝のSDRAMの製造年である2002年当時から,(そして今も)高いシェアを誇る韓国勢のSamsung,Hynix(現在はSK Hynix)やエルピーダメモリを買収した米Micron TechnologyのSDRAMが出てきそうなところなのに,Zentel社のメモリが採用されているというのは,なにか理由があるのかなと気になってしまいます.単にZentel社は他社が製造を中止しつつある低容量のSDRAMを製造しているため,現行品の安定供給が期待できるために採用された,ということかもしれませんが…

次にiCatch Technologyですが,母体となったのは台湾SunplusグループのSunplus mMediaという会社で,2009年にDSC (Digital Still Camera:静止画デジタルカメラ)向けIC部門をスピンアウトしたのがiCatch Technologyとのことです.今回読み出したSPI Flashメモリの中に"Sunplus MM Inc."という表記が見られたり,そもそもICの型番が"SP"で始まったり,このアクションカムで撮影した際に生成されるファイル名の頭4文字が"SUNP"なのはどうやらこの会社の名前に由来していそうです.

ここからは完全に余談ですが,Sunplusの沿革を見ると,Sunplus mMediaのDSC向けIC以外の製品のうち,ポータブルメディアプレーヤー向けICなどの部門はiCatch Technologyの設立と同時期にGeneralplus Technologyに移管されています.(Generalplus社自体の設立は2004年のようですが,移管は2009年.)今回の調査で久々にGeneralplus社の名前を見たのですが,以前に私がGeneralplus社について調べたのはポケット・ミクの内部のマイコンがこの会社のマイコンだったから,という理由だったりします.ちなみに,Generalplus社は現在はドライブレコーダー向けSoCとして今回のアクションカムに搭載されているSoCと似たような製品を製造しているようです.

所感

所感に書くような内容は1つ目の記事にだいたい書いてしまったのですが,イメージセンサーはほぼ100%GC1034だろうということが確定し,ネイティブ解像度が1280×720だと分かってしまったことや,2台目もバッテリーの作りが雑だったこともあり,1つ目の記事には「そこそこお値打ち価格なのでは」と書いたものの,やっぱりAmazonで同じくらいの値段のものを買うほうがお得感はあるのかなあと若干心が揺れています.5000円の商品にサポートをどこまで求めるか次第ではあると思うのですが…

お知らせ:投げ銭記事にしてみました

今まで,分解レポートは私のWebサイトでの公開としていましたが,今回はnote上の投げ銭記事としてみました(注:「この続きを見るには」を押して課金しても追加の文章はありません.全文無料公開です.).正直な所,分解レポートを書くのには結構時間がかかるので,11月にMaker Faire Shenzhenに行く際に新しい分解ネタを仕入れる軍資金の足しとして少し回収できれば嬉しいなあという程度のノリです.面白い!と思った方,もしよろしければ投げ銭していただけるとうれしいです!

P.S. WeChat Payでの投げ銭をご希望の方はWeChat id:ja1tyeまでお願いします ;-) 

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