頭が良くなる物質BDNFと日照量には正の相関が見られるぞ!という研究
これまでの研究で、脳の可塑性やうつ病などのプロセスや行動には季節性があることや、脳の新しい神経を作ったり、古い神経を修復する働きの一部は脳由来神経栄養因子(BDNF)によって制御されていることが明らかになっています。
つまり、BDNFの量と頭の働きはある程度比例することが分かっております。
今回紹介する実験では、オランダのうつ病と不安に関する研究に参加した2,851人を対象に、血清BDNF濃度の季節変化を調査しています。
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前提として、季節がメンタルヘルスに影響を与えるということは、自殺率や季節性情動障害などの知見から、精神医学や臨床心理学の分野でも定着しています。
また、それらの分野において季節が抑うつ行動に及ぼす影響も報告されています。
例えば、日照時間が比較的短い時期には、健康な人でも活動レベルや性欲などが低下し、睡眠欲が増加します。
またネズミのうつ病様行動にも同様に季節ごとのパターンがあり 、さらに人間のうつ病状態と関連する脳の可塑性も示されています。
これらの知見を総合すると、抑うつ行動とその関連プロセスは、日照時間などの外的要因から少なくない影響を受けることが示唆されます。
この研究で示された結果は大きく三つでして、
1.日照時間の短い秋・冬には特にBDNFレベルが低下していました
2.運動習慣やBMIを調整してもこの変化に影響はありませんでした
3.性別やうつ病の有無、抗うつ剤の使用も影響はありませんでした
ということで季節によってBDNFレベルが変わるのは、やはり日照時間の長さが主な要因でしょう。(ちなみにこの研究では、BDNFレベルを大きく左右する「運動」など別の重要な要素も調整済みとのことです。)
日光が人体やメンタルヘルスに与える影響は非常に多岐にわたり、ビタミンDやテストステロンの産生にも大きく関わっています。
いずれも活力や性欲などに大きく関わるホルモンです。
また進化心理学の知見では人体は日光を浴びることを前提に進化してきたという仮説も支持されています。
これらの事を鑑みても日光を浴びることは非常に重要であるということが言えそうです。
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