CiNii読む人

面白そうな論文をひたすら要約、紹介します。 有料の論文にもアクセスしているのでそのよう…

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面白そうな論文をひたすら要約、紹介します。 有料の論文にもアクセスしているのでそのような論文を取り上げている記事はかなりお得かと思います。

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最近の記事

不眠症のための認知行動療法

厚生労働省によると日本国民のおよそ3割から4割が何らかの不眠症状を有しているというデータがあります。 今回はそんな国民病とも言える不眠症に対して有効である認知行動療法について紹介したいと思います。 今回のソースはこちら まずは認知行動療法の解説から。 認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy)はCBTとも呼ばれ、ストレスなどで歪んでしまった認知や行動を矯正し、メンタルをケアする事を補助する心理療法です。 もともとはアメリカでうつ病に対する精

    • 寝る前のプロテインは良いことばかりだぞ!というレビュー研究

      筋トレ界隈では、タンパク質はこまめに一日中取るべしと言われています。 当然ですが寝てる間には体内のアミノ酸が消費され、枯渇してしまうのでそれを避けるために寝る前にプロテインを取るべきであると言われています。 今回の論文では果たして寝る前のプロテイン摂取は効果があるのか? について調べてくれています。 今回の論文はこちら さてこの研究では上記したように睡眠前のプロテイン摂取について過去の研究45件を参照したレビュー論文です。 過去の研究の知見を統合して得られた結論は、

      • 初めて学問バーにお邪魔したぞ!な件

        今回は学問バーKisiという素敵なバーに行ってきまして、そこで「ゲーム理論」や「進化生物学」などをベースとしたオンライン上の人間の行動について楽しくおしゃべりして来ました。 進化心理学や行動経済学を学んでいる身として、前々から非常に楽しみにしておりまして、今回非常に楽しませて頂きました。 店長さんやバーテンダーさん、ゲストの皆さん大変博識でして、様々な分野、観点からお話が展開されていました。 その場に参加する事でしか経験できない刺激に満ちた体験が出来て非常に満足です。

        • 炭水化物とタンパク質が運動能力に及ぼす影響を調べたメタ分析

          以前紹介したようにタンパク質と炭水化物はセットで摂った方が良いのですが今回紹介する論文では運動能力に及ぼす影響においても同じことが言えそうです。 今回のデータはこちら この論文では合計326人の参加者からなる43件(うち30件はRCT)の論文をメタ分析しています。 18歳以上の健康な参加者が対象で、大半の研究では、男性参加者が含まれていたようです。 合計で、参加者の約79.8%が男性で、約20.2%が女性だそうで、もう少し多くデータが欲しいところではあります。 また実験

        不眠症のための認知行動療法

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        記事

          睡眠不足はやっぱり太るぞ!という研究

          今回の研究では睡眠と摂取カロリーに関する研究をメタ分析しており、全体的に睡眠不足の場合はそうでない場合に比べて、摂取カロリーが増している事がわかりました。 今回のデータはこちら この研究では、17の研究をシステマティックレビューに、11の研究をメタ分析に含めていて、18〜50歳の成人、496人分のデータが対象になっています。 対象になっている研究はすべて「睡眠時間を削ると摂取カロリーはどう変わるか?」を調べた研究でした。 全体的に実験デザインにバラつきはあるものの、睡

          睡眠不足はやっぱり太るぞ!という研究

          めちゃくちゃ怖いぞ!慢性炎症のお話

          今回取り上げる内容は健康的に過ごしたり、アンチエイジングを志すにあたって最も重要な問題のひとつ「炎症」についてです。 今回のソースはこちら そもそも炎症とは、火傷や切り傷のような異変から身を守ろうとする体の自然な反応です。 免疫システムが白血球を派遣し、患部を取り囲んで保護するため、目に見える赤みや腫れが生じます。 このプロセスは、インフルエンザや肺炎などの感染症にかかった場合に働きます。 炎症がなければ、怪我が長引いたり、単なる感染症が命取りになったりする可能性があり

          めちゃくちゃ怖いぞ!慢性炎症のお話

          炭水化物は摂らなすぎても摂りすぎても死亡リスクが上がるぞ!というメタ分析

          以前、低炭水化物ダイエットには多くのデメリットがあり高タンパク質な食事を摂取していてもそのメリットは失われてしまうという旨の記事を投稿しました。 今回はそのデメリットになんと、死亡リスクの上昇も上がってしまうという事を明らかにしたメタ分析を紹介したいと思います。 ソースはこちら 今回の研究では米国の4地域、45~64歳の成人15428人を対象として、炭水化物からのエネルギー摂取の割合と全死亡率との関連性を調べています。 また、8つの観察研究から432179人の炭水化物

          炭水化物は摂らなすぎても摂りすぎても死亡リスクが上がるぞ!というメタ分析

          カフェインで筋力が上がるぞ!というメタ分析

          今回紹介する研究では、カフェイン摂取は、筋力を向上させる働きがある事が示唆されました。 サブグループ分析では、カフェインは上半身を有意に改善するが、下半身については改善しないことが示唆されました。 今回のソースはこちら 今回の実験では20件の研究、被験者合計294人を対象にしています。 被験者は男性が多く232人なのに対し女性が62人でした。 若干サンプルに偏りがありますねえ…。 カフェインの投与量はかなりバラつきがあったようです。 また投与方法も多様で、ゲルや、カプセ

          カフェインで筋力が上がるぞ!というメタ分析

          有酸素運動で海馬がデカくなり、記憶力が改善されるぞ!という実験

          今回の研究では有酸素運動が海馬前部の大きさを増大させ、記憶力の改善につながることを示しました。 また、海馬体積の増大は、BDNF(脳の新しい神経を作ったり、古い神経を修復する働きを持っており、非常に重要です。)の血清レベルの上昇と関連していることもわかりました。 ソースはこちら https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3041121/ 今回の実験では認知症のない120人の高齢者を対象にしています。 運動が海馬の大きさを増

          有酸素運動で海馬がデカくなり、記憶力が改善されるぞ!という実験

          頭が良くなる物質BDNFと日照量には正の相関が見られるぞ!という研究

          これまでの研究で、脳の可塑性やうつ病などのプロセスや行動には季節性があることや、脳の新しい神経を作ったり、古い神経を修復する働きの一部は脳由来神経栄養因子(BDNF)によって制御されていることが明らかになっています。 つまり、BDNFの量と頭の働きはある程度比例することが分かっております。 今回紹介する実験では、オランダのうつ病と不安に関する研究に参加した2,851人を対象に、血清BDNF濃度の季節変化を調査しています。 ソースはこちら 前提として、季節がメンタルヘル

          頭が良くなる物質BDNFと日照量には正の相関が見られるぞ!という研究

          アシュワガンダのストレス緩和作用を支持する良い実験が見つかった件

          アシュワガンダとはインドの伝統医学「アーユルヴェーダ」の世界で昔から健康と長寿に効くと言われているハーブのひとつ。 今回紹介する論文ではそんなアシュワガンダのストレス緩和作用及び薬理作用に関して研究してくれており、その結果不安評価尺度とうつ病・不安・ストレス尺度が共に有意に減少していました。 今回の論文はこちら 実験デザインはランダム化二重盲検プラセボ対照試験で、ストレスを受けた健康な成人において、アシュワガンダのストレス緩和作用と薬理作用が調査されました。 実験期間は

          アシュワガンダのストレス緩和作用を支持する良い実験が見つかった件

          大豆やイソフラボンはテストステロンに影響は与えない可能性が高いというメタ分析

          今回紹介する論文では大豆食品(豆腐、納豆、ソイプロテインなど)やイソフラボンなどのサプリメントは、男性のテストステロン値に明確な影響を与えないという結論に達しています。1日のイソフラボンの摂取量が75mg未満の場合と、1日75mg以上のイソフラボンを摂取した場合を比べても、目立った有意差は認められませんでした。 今回の論文はこちら この論文では査読済みの臨床試験41件(うち3件は除外された)をメタ分析しています。 41件の研究のうち、20件は対照試験、8件はクロスオーバ

          大豆やイソフラボンはテストステロンに影響は与えない可能性が高いというメタ分析

          ビタミンDが冬のメンタル不調に効く!という研究結果

          太陽光ってメンタルヘルスを保つのに物凄く役立ちます。 しかし、当然ながら冬場は日照量が減りますよね。 従って冬場にメンタルが不調になってしまう人は多く冬季うつという呼ばれ方もするくらいです。 「冬はなんとなくだるいかも…」という人は、季節性のうつ状態なのかもしれないです。 さて、今回紹介する論文ではそんな冬場のメンタル不調とビタミンDの関係性について過去の研究(115件)を参考文献として調べてくれています。 ソースはこちら さて、まず結論として冬場に限らずビタミンDが不

          ビタミンDが冬のメンタル不調に効く!という研究結果

          タンパク質摂ってても炭水化物摂ってないとテストステロンは下がってしまうというメタ分析

          筋トレ界隈では「炭水化物とタンパク質をセットで摂るべし」というのが常識ですが、今回紹介する論文とも整合性が取れておりその教えは正しいのかもしれないです。 今回の論文はこちらです。 低炭水化物食と高炭水化物食が男性のコルチゾール(ストレスホルモン)とテストステロン(男性ホルモン)に及ぼす影響に関して分析した論文です。 27件の研究をメタ分析しており、参加者は合計309人の成人男性です。 そもそもコルチゾールは、筋肉を減らして内臓脂肪を増やしたり、 テストステロンを減少させ

          タンパク質摂ってても炭水化物摂ってないとテストステロンは下がってしまうというメタ分析

          エビデンスベースドって何?データの信頼レベルの見分け方

          まずエビデンスベースドって何?という問いに対する答え。 これは直訳で、科学的な根拠に基づくという意味です。 例えば僕の記事では、毎記事論文などを参考にしており、根拠に基づいた情報発信を心掛けています。 さて、では論文を参考にしている仮説は全て正しいのでしょうか? 世の中には多数の論文が存在しますがある論文では「卵は体に良い」としています。 一方で「卵は体に悪い」とする論文も存在しています。 前述した問い(論文を参考にしている仮説は全て正しいのでしょうか?)が正しいとすると

          エビデンスベースドって何?データの信頼レベルの見分け方