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オートバックス投資先の中国カー用品EC「Car House」が米国IPOへ。F-1流し読み

中国の自動車用品EC「愛車小屋(Car House)」がSECに上場申請書類を提出していました。

广东爱车小屋电子商务科技有限公司

愛車小屋

Car House概要

Car Houseは2004年に広東省で設立されました。

広東愛車小屋電子商テクノロジー有限公司は

日本語サイト

Car Houseが拠点を置く東莞市は珠江デルタ北東部に位置し、国内最大級の工場集積地でもあります。

Car Houseは自動車用品のほか、「香百年(Carori)」というブランドで車内フレグランスを自社開発しています。

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会社概要

Car Houseは時流に乗って自社商品の直販ECを展開。さらには他のメーカーも出品できるマーケットプレイス化を推し進め、2019年時点で5,100社が出品しているそう。

B2B向けの卸売モールとしても機能しており、中国28万店舗の自動車用品店に商品を卸しています。

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2017年、2019年には日本のカー用品最大手「オートバックス」から出資を受けました。オートバックスの持株比率は20.0%となっています。

Car Houseの業績

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2019年6月期の売上は前年比+26.7%増の3,093万ドルに拡大しました。営業利益は524万ドルと前年の6.6倍に急増しています。

20/6上半期の売上は1,681万ドルで、成長率は+34.0%に加速した模様。営業利益率も10%以上です。

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昨年まで売上の98%はカー用品でしたが、19/6期は「Baijili」社への商品供給契約を締結したことでエンジンオイル売上が大幅に増加しました。

そして、マーケットプレイス関連収益を含むサービス売上が10倍に爆増し、売上全体の11.6%を支えるまでに成長しています。年度末時点で出品メーカー2,579社(+10.4%)、卸売顧客業者15万1,175社(+15.9%)と着実にプラットフォームが拡大しています。

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12月末時点の手持ちキャッシュは725万ドル、有利子負債は330万ドルほど。調達原資は株式が中心で、利益剰余金も813万ドルを積み上げています。

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19/6期の営業キャッシュフローはマイナスでしたが、20/6上半期はプラスに転じています。これから利益創出フェーズに入っていく兆し。

市場環境〜中国カー用品市場は6.5兆円規模に拡大へ〜

最後にF-1内に記載の市場環境をピックアップします。

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中国のカー用品市場は1,977億元(約3.0兆円)で、約3割をカーナビなどの電子部品が占めています。装飾品や香料・メンテ品も8,000億円以上の市場があります。

市場全体の今後5年間CAGR(年平均成長率)は16.9%、2023年には2.2倍となる4,316億元(6.5兆円)に拡大すると見込まれています。

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2018年のB2B市場は608億元(9,120億円)と市場全体の3割ほど。2023年の市場規模は2.5倍の1,535億元(2.3兆円)と推計され、B2C市場を上回る成長が期待されています。

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Car Houseの2018年GMVは5.35億元(80億円)で、2位のKzmallに4倍以上の差を付けてカー用品専門ECとして1位となっています。ただ、市場全体に対するシェアは0.88%程度で、上位5社を合わせても1.5%程度。非常に分散された市場であり、Taobaoなどの大手プラットフォーマーも含めれば大きな市場が広がっていることが伺えます。

さらに、Car Houseはアフターマーケットの深耕にも取り組んでいます。

カーライフの館_広東愛車小屋電子商テクノロジー有限公司は

カーライフの館

Car Houseは2018年に「人车生活馆(カーライフの館)」と呼ばれるメンテナンスセンターを2店舗オープンしました。商品販売や車検に加えて、食事や、美髪、ネイル、マッサージ、スパ、ジムなど包括的な生活サービスを提供する斬新なスタイルの店舗となっているようです。

今回はデータが提示されていませんでしたが、日本やアメリカも含めて自動車市場は車両販売よりもアフターマーケットのほうが市場規模が巨大です。クルマ離れによって新規ユーザーが逓減していく中、オートバックスや競合のイエローハットも車検サービスも強化中。最近はイエローハットが右肩上がりに業績を拡大して急速に国内シェアを拡大していますが、業界首位のオートバックスは海外事業が今後の鍵を握っているのかもしれません。

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