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伝え方のフレームワーク

ごきげんよう。事務局の桜井です。
今回は、前回予告した通り、コミュニケーションのお話です。

入社時研修で、『ビジネスシーンとプライベートでのコミュニケーションスタイルの使い分け』について教えていただきました。人前で話すことが不得手だった私は「なるほど!」と思い、あれからずっと意識的に取り組んできたつもりです。おそらく今では、かなり消化して実践できてるかなぁ~と自己満足しています(笑)。なので、具体的にお届けしたいと思います…。

当事務所は、何かしら問題を抱えている人たちからの相談を受け、その問題を解決して差し上げることを生業としています。つまり、対峙する相手のほとんどが、こころの在り様が(ポジティブというよりは)ネガティブです。だからこそ、特に『モノの伝え方』には繊細であってほしいと、研修の冒頭でお話がありました。

医療や法律の現場では、悩めるクライアントたちが、専門職の言葉で傷ついてしまうといったことが多々あるそうです。せめてうちの事務所では、そういったことが起こらないように最善の注意をしていきたい…。そうボスは言っていました。なので、コミュニケーションの大原則として、まずは全身で傾聴すること。

具体的には、

①自然な笑顔と柔らから物腰で、相手が話しやすいムードを演出する
②適度に相槌や頷きを入れ、相手が「聴いてもらえてるんだなぁ」と感じるように聴く
③適度に相手の話を反復したり言い換えたりして、相手が「ちゃんと理解してもらえてるんだなぁ」と感じられるように聴く
④そうしつつ、相手が想いをきちんと伝えられているかどうかを観察しながら聴く
⑤相手のことを、自分の大切な家族や親友だと思って聴く(相手が困っている状況をカラー動画でイメージできるレベルまできちんと聴きとる)

……を意識的に実践するということでした。

ロールプレイに先立って、笑顔メイク、カウンセリングの基本ポーズ、愛の手(合いの手)、心象描写などの技法を学びました。とても興味深く、役に立つものばかりでした。

相手の話を聴いた後には、こちらから何かを伝えるフェーズになります。他にも、相談者から質問されたり、何かのテーマで人前で説明したり…。そんな時に使える技法として、『伝え方3つのフレームワーク』なる技法を教えていただきました。

基本的に、ワンテーマ1分で伝えることを意識する。文字数にすると400字。原稿用紙1枚ですね。具体的な伝え方は、以下の3つです。

①結論と根拠3つ(Whyロジック)
②目的と手段3つ(Howロジック)
③全体と具体3つ(Whatロジック)

最初にキーセンテンスを伝え、それをサポートする事柄(根拠、実現方法、具体例など)を3つ伝え、さいごに要約・反復・言い換え・質問のどれかで締める…。

①なら、「現実的には施設しかないと思います。理由は3つあります。まず、施設のほうが(在宅よりも)安心です。つぎに、安全です。そして、快適です。本人も家族もしあわせです」

②だと、「嫌がる本人をその気にさせることが先決です。方法としては3つ。まず、医師や行政や福祉の専門職に言って聞かせてもらう。つぎに、施設見学や体験入所に連れ出す。さいごは医療保護入院。認知症が進行して合理的理性的な判断ができない場合には、保護入院も視野に入れておくべきでしょう」

③は、「在宅ではなく、施設介護を前提に考えましょう。具体的には、介護医療院(要するに病院)、公的施設(老健・特養)、医療法人が運営するサ高住。このうちのどれかがおすすめです。コストとリスクの両面から検討していきましょう」

……みたいな感じになります。

ただ、カウンセリングや相談会ではこうしたフレームワークを意識的に使ったとしても、例えば懇親会とか日常会話の中でこうした技法ありきのコミュニケーションにこだわってしまうと、人間的な好感度が落ちてしまいますよね。ちょっと変な人に思われてしまいます。なので、例え相談者が相手であっても、プライベート空間でのコミュニケーションは意識的に砕けたスタイルにしたほうがベター。

ただし、その際にも、サシスセソを意識しようと教わりました。

サ…さわやかに
シ…真摯に
ス…素直に
セ…誠実に
ソ…(相手に)尊敬の念を持って

コミュニケーション研修の最後には、『個人的な悩みを抱えている人たちの話を聴いて問題解決をお手伝いする立場であれば、資格を持っていようといなかろうと、カウンセラーに求められる4つの資質は、絶えずブラッシュアップしなければならない』とも。

①好感度……相手に「いい人だなぁ」と感じさせるような立ち居振る舞い
②対話力……相手に「話していて楽しい人だなぁ」と思わせる感じのいい聴き方と伝え方
③知性・教養……相手に「人間として厚み・深みのあるひとだなぁ」と印象付ける話材
④専門性……相手に「信頼できそうな人だなぁ」と頼りにされる問題解決手順への精通

そしてこの後、私を含め5人のスタッフは、①②③の各論について、別の講座を受けていくことになります。


あの時の研修で学んだ諸々の技法は、ふだんの暮らしでも汎用性の高いものばかりで、人間として(女性として)の品格や品性を高める上でも価値の高いものだと実感しています。いつでも、バタバタせずに、ちょっと考えてから言動できるようになったというか、落ち着いた雰囲気を醸し出せるというか。うまい表現が見つかりませんが、そう、ゆとりみたいなものが出てきたと思うのです。

何かの本で、コミュニケーションスタイルで人生の9割が決まると読んだことがあります。事の真偽はともかく、感じのいい人というのは、みんなコミュニケーション上手のように感じます。初等教育のカリキュラムに、コミュニケーションが盛り込まれてもいいのでは? そんなふうにも思えます。

私としては、人生でいちばんためになった時間でした。本当にすばらしいことを教わったと実感しているので、読者のみなさんにも紹介させていただきました。引き続き、いろいろと綴ってまいります。

今回も読んでくださって、ありがとうございました。
それではまた。ごきげんよう。

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