老健最強論 ~3つの根拠~

あなたの親御さんに最後の最期まで過ごしてもらう場所として、私は(消去法ではあるけれど)老健こそが最強だと思っています。今回は、その3つの根拠について書いてみます。

老健がベストだと考える3つの根拠は、つぎの通りです。

★【費用】厚生年金受給者でも享受できる特養並みの安さ
★【医療】医療施設ゆえの安心
★【職員】明るい開放感がもたらす居心地の良さ

これらは、いわゆる「終のすみか」を選ぶ際の必須3項目と言っていいでしょう。

まず、「費用」については、改めてご説明するまでもないでしょう。100歳以上の人口が10万人を超えようかという時代です。あなたの親御さんが、仮に80歳だとしましょう。どこかに入所させたとしても、あと20年生きながらえたって何の不思議もありません。そうこうしているうちに、あなた自身も高齢者になっていくわけです。

ですから、あなたのお子さんたちのことを考えたら、できれば安価に済ませたいというのが実際のところではないでしょうか。理想的には、親御さんの月々の年金で収まる範囲内でしかるべき場所を探したいと思うはずです。つまり、誰だって、安いに越したことはないのです。

次に、「医療」。医療および看護体制のことです。現時点で常時、医療的な措置を必要としない人であっても、高齢者は病気のデパート。いつ何どき、発症したり緊急を要する状態になったりしないとも限りません。なので、やはり、医療面でのサポートはあったほうがいいのです。とくに休日や夜間の体制については気になるところです。

世間的には、緊急時の医療サポートに係るトラブルやクレームがとても多いのが実態です。施設を検討する際には、「いつ・だれが・なにを・どこまで」対応してくれるのか。ここをキチンと訊いて納得することが大切です。今日でも、このあたりのこと(緊急時のプロトコルと責任範囲)を文書化して説明してくれる施設はほとんどありません。職員によって説明がバラバラなどということさえ、ままあります。

そもそも、夜間に看護師のひとりもいないとか、救急車を呼んでも職員が同乗すらしてくれないとか、こんなことはどう考えても受け入れることはできないと思います。そんなところに、あなたを産んで育ててくれた親御さんを預けられるものでしょうか。これはもう、絶対に押さえておかなければならないポイントだと思います。

最後に、「職員」。やはり、長い歳月をそこで過ごすということになれば、館内の雰囲気というのはとても大切だと思います。で、雰囲気というのは、結局はそこで働く職員の笑顔であったり、あいさつや声かけであったり、仕事に向き合う姿勢であったり……ということです。

館内に一歩、足を踏み入れた時に感じるはずです。「明るい雰囲気だなぁ」とか、「あれっ? ちょっと暗いなぁ」とか。職員満足度が高い職場というのは、ふつうは離職率が低いものです。

一般的に、介護の現場は3K職場と言われてきましたが、現場の人たちに言わせると4K職場(キツい、汚い(くさい)、危険、給料安い)だそうです。でも、いろいろな介護職の話を聴いていると、仕事がキツいとか、給料が安いとかいうだけでは、「即やめる」とはならないことがわかります。

何といっても大きいのは、人間関係です。それも、入所者やその家族との関係ではありません。同僚や上司との摩擦が、感覚的には9割以上です。お互いの価値観に大きな隔たりがあったり、職員相互の「好感・関心・配慮」が希薄だったりすると、ただでさえキツい仕事によるネガティブな感情を処理できなくなって、必然的に声も表情も暗くなります。それか溜まりにたまって、辞めざるを得ないのだと思います。あるいは、その意識がときに入所者に向けられてしまうと、ニュースで垣間見る痛ましい事件になってしまうのでしょう。同じ職場に思いを共有できる仲間や同志があってこそ、人は夢や希望に向けてがんばれるのだと、つくづく思います。

次の記事からは、ひとつひとつの根拠について書いていきますね…。

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