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Library of the Moon⑥

⑥デイヴィッド・ゴードンの本棚

そこでは、ぼくのディラン・トマス詩集がジェインのシルヴィア・プラス詩集と肩を触れあい、ぼくのロラン・バルト批評集がジェインのエドマンド・ウィルソン批評集に軽く口づけし、ぼくのホルヘ・ルイス・ボルヘスがジェインのイーヴリン・ウォーに組み敷かれている。連れ子同士の双子もいる。『フラニー』が二冊。『ゾーイー』が二冊。ナボコフの『青白い炎』も二冊。『塵に訊け!』に至っては、なぜか三冊。当然ながら、二冊あるものを半分に分け合うのはたやすい。いささかの感傷まで誘いもする。双子の本を引き離して、一冊だけ段ボール箱におさめるわけだから。
/デイヴィッド・ゴードン『二流小説家』、青木千鶴訳

とり・みきを探しているまに図書室を静かに侵す冬の夕焼け
/ヨシダジャック『DOT』

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