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ネジでもいい

石井隆さんの「死んでもいい」みたいなタイトルだな(全然違う)とか思いつつ、ちょっと、取り留めのない、もしくはネガティブムード漂うエントリーになるかも知れません。

私は、幾つか持病…と言って良いのかどうか判りませんが、頻繁に症状が現れるものがあります。命に関わるような物ではありませんが、痛みを伴います。激痛と言って良いかもしれません。
一つは頭痛(主に片頭痛)。もう一つが胃痙攣。特に酷いのが頭痛で、これから頭痛になりそうな頭痛の根っこのようなものが脳内にない日は365日中10日位しかないです。そこから悪化するか沈静化するかは薬の飲み方とお天気(気圧)と運次第です。
この頭痛に関しては、小学生の頃から片鱗はありました。明確に片頭痛、正確には本当に身動き取れなくなるほど酷い症状の時に発症しているのは片頭痛なのだと判ったのは20代後半だったと思います。動いたり温めたりすると悪化し、心臓の鼓動と同時に痛みが激しくなる、前頭もしくは側頭部分に強い痛みを感じる頭痛で、痛みの悪化と共に吐き気を伴うもので、私の枕元にはエチケット袋が欠かせません。頭痛による嘔吐って本当に突然来るので。
頭痛との付き合いも長いですし、自身の症状の出方もかなり研究しましたし、製薬会社に勤める友人や主治医、神経内科の頭痛外来の部長職にあるようなガチの専門医などの協力のもとに、打てる手は全て打っているという状態でも、この頭痛は完治することもないですし、発症頻度が下がったりということも今の所ありません。頭痛外来の先生には40代になったら楽になると思うと言われたことがあるのですが、一向に楽になる兆しはありませんねぇ。
片頭痛と共に緊張型頭痛も持っており、気圧変化にも大変弱いです。夕立前にぐーーっと気圧が下がると、それだけで頭痛が出たり怠くて起きていることさえ億劫になったりします。梅雨時、つまり今時分の私はほぼリビングデッドです。

胃痙攣は、中学生の時にストレスから発症し、以来食生活が乱れたり、強いストレスに晒されたりすると、酷い状態に陥ります。バリウムと胃カメラの結果、胃の内側にはなんら問題がないそうです。胃の外側の神経が過敏で、痛みに繋がりやすいのだとか。下手をするとしゃっくり一つで痛みが発症することも可能性としてある、と言われました。今時時代劇見てる人がいるかどうか、そもそも今時の時代劇でこのネタが使用されているかどうかはわかりませんが、よく娘さんが道っぱたに座り込んでいて言う「持病の癪が…」って奴とほぼ一緒ですね。引き絞られるような差し込みで、30分位が痛みのピークでそれを過ぎると何とか動けるようになる感じです。救急車を呼んでも、痛みが最悪の時に病院に着けることはほぼないので、呼ぶだけ無駄になってしまいますし、発症したらもう耐えるのみです。一応痙攣止め的な薬は主治医から貰っていますので、あ、これちょっと放置したらヤバイかも…という前兆の時点で飲むようにしています。

このように、ごく幼い頃から「痛み」と切っても切れない仲だったので、私は痛みには強い方だと思います。ある程度までの痛みであれば、痛みは痛みとして括弧でくくってちょっと横に置いて別のことが出来なくもない、という程度には。
よく人には「神経速度を遅らせる」という言い方をするのですが、余り共感して頂けたことはありません。エスパーか?!とか突っ込まれたこともあります。判ってくれるのは私と同じように持病のある人や、または生育歴に多少特殊な傾向のある人だったりします。
具体的にどうってちょっと他の言葉では中々説明にしにくいのですが、強いて言うなら想像力で痛みのある部分に麻酔をかけるような感じ、とでもいいましょうか。痛いのは痛いんだけど、その痛みに強いて意識を割かない、あるんだけどないことにする、全くないことにはできないけど、少なくともぼんやりさせる、そんな感じな気がします。
流石に内臓には中々この方法は効かなくて、胃痙攣の真っ最中は身動き取れず脂汗だらだらではありますし、吐いてしまう程極期の片頭痛の場合も、動くのは辛いですが、泣いても騒いでもどうにもならないことも知っていますし、救急車を呼んだところでどうにもならない事も知っているので、治まるまでただ耐えるのみですし、悲鳴を上げたくなったり、逆にじっとしていられない程痛かったことって、子宮全摘の腹腔鏡手術後、麻酔が切れた直後くらいでした。とりあえず私が今まで生きてきた中では。外傷系には相当強いと思っていたんですけど、流石に内臓にまで達する切り傷には耐えられなかった模様です。

私の母の旦那さん(義父ですね)は、もの凄く痛みに弱い人なのですが、そんなに痛みに弱くてよく生活出来るなといつも不思議に思います。風邪で席が止まらないだけで「肺癌だ…」とか言い出す心気症みたい(というよりそのものなんでしょうね)な人ですが、私がほんのちょっとの痛みや症状に動揺して身動き取れなくなる人間だったら、一年のうち三分の二以上は動けない状態で過ごさなきゃ行けないことになります。生きて行くためには痛みに強くなきゃ駄目で、痛みがあるときに身動き取れないようだと働くどころか、普通に生きることすら凄く大変なことになってしまうのです。
彼があれだけ痛がりで生きていられるのは、痛みの頻度が低いことと、痛みで何も出来なくなったときに常に誰かの手があるからなんでしょうねぇ。幼い頃は親御さん、今なら嫁さん=うちの母。どちらも、私にはない要素です。
片頭痛の特集の時のとある医療系雑誌に載っていた論文に、「重度の片頭痛持ちのQOLは極めて低い」的な事が書いてあって、そりゃそうだろうよと思うと同時に、自分で選べることではないだけに口惜しいなあとも思いました。

私は機械の躰があるなら、多分ネジでも飛びつくでしょうね。銀河鉄道999ネタなので、知らない人は申し訳ないのですが、美しくも病弱で、機械伯爵に殺されたお母さんが言っていた「機械の躰だったら…」という夢を実現するためにメーテルに唆されて機械の星に向かう鉄朗は、途中で色んな人に「機械の躰になんかなるもんじゃない」って止められるのです。ものの味もわからなくなる、人の温もりもわからなくなる、こんなの全然いいことじゃない、って。

でも、それなら今の私だって痛みのせいで人間性を大分削られているのです。例えば私はもの凄く涙もろい方だと思いますが、好きなときに好きなように泣く、ということは出来ません。堪えきれない涙は、もの凄い覚悟を持って流すものです。何故なら、泣くと頭痛が来るから。
片頭痛の原因というのは中々に確定されていないものなのですが(色んな起こり方があり、その全てを解決出来る説明がない、ということだと思います)、諸説ある中に「セロトニン受容体の異常」というものがあります。私は理系じゃないので詳細は語れませんが、泣くと脳からセロトニンという、人にある種の心地よさを与える物質が出るのだそうです。だから大泣きするとすっきりするとかいう現象も起こるのでしょうね。で、そのセロトニンは、出たらそれを受け止める受容体というのがいるはずなんですが、片頭痛持ちの人間はその辺がぶっ壊れていて出てくるセロトニンと受容体のバランスが取れていないのだとかなんだとか。なので急激かつ過剰にセロトニンが出る=泣くということをすると、必然的に酷い頭痛に見舞われる、という訳です。
後は、駄目な日はお酒は一滴でも即頭痛発症します。飲まなくても死にませんが、こよなく愛するくさややからすみを食すのに、日本酒無しとか最早それは意味がないので、ここ数年は大好きなくさやも取り寄せてません。
運動するとすっきりする、というタイプではないですが、そもそも頭痛の根っこが感じ取れるときに躰を過剰に動かすとこれまた悪化原因です。躰に良いんだし体重も体重なんだから運動したら、と気軽に言われる度に、曖昧に笑いながら「多分それ出来て一年に5日くらいだから」とちょっと思ってしまったりしてます。リングフィットアドベンチャー、やってみたいですけど、怠惰とかではなく多分躰の都合でリタイヤする事になるでしょうね、特に今梅雨時ですし。

今私が生きる世界にアンドロメダで機械の躰をくれるシステムがない以上、この躰と死ぬまで付き合っていくしかなくて、自分自身の苦痛を少しでも軽減するためには、好きなときに好きなように泣くことも節制せねばいけませんし、お酒もほぼ禁酒状態を長く続けています。おかずが美味しくて、あ~今ここに日本酒あったらなぁと思うことも多いですが、そこはぐっと我慢。
だからでしょうかね、私甘酒は絶対に麹じゃなくて酒粕の甘酒じゃなきゃ嫌な人です。ちょっとは日本酒っぽい香りがするからというのも、多分理由の一つでしょうね。

だからこそ、好きなときに好きなだけ泣ける人は、絶対そうしたほうがいいです。
見栄とか意地とかあるかもしれないですけど、泣ける人生って幸せだと思います。
何かやりたいなと思ったときに、気持ちの問題ではなく物理で阻まれることがないのなら、是非思うままにやってみて頂きたい。それが、私の持たないQOLなのだとしたら、泣いても喚いても手に入れられない人間がいるのだということを、ちょっと知って欲しいなと思ってしまいました。
…泣きたいのかしら、今、私は。梅雨時なので色々具合が悪すぎて半分屍体なのは確かです。

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