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『僕らの食卓』特別編〜僕らの休日

最終話の後に放送になった特別編。
穰一家と豊の4人でお泊まり旅行。種君のお誕生日祝いだった。

元々あまりBLという事を意識させないほんわかとした優しいドラマだが、今回も刺激的なシーンなどはなかった(あ、温泉入浴シーンはあったけれど、”刺激的”ではなく”気まずい”シーンだった)。BLドラマでよくあるパターンだと、二人で何か作業してる時に体勢を崩して折り重なって倒れ込み顔が急接近してドギマギするとか、ドラマの終盤で問題が一段落ついたところで二人がいい雰囲気になってあらためて気持ちを確かめあってキスするとか、そういう展開はありがちだとおもうのだけれど、このドラマはそういうことをしない。そういう”BLドラマあるある”なシーンを入れてこない。今回の特別編も、豊と穰が触れ合うシーンはなかったのではないかしら?最後のベランダのシーンでさえ、二人すごくいい雰囲気になっても、キスなんかしないのだ。こんなにまで二人がなかなか触れ合わないBLというのも久しぶりに見たが、そういうシーンがなくても誤魔化されている感じはなく自然で、とても満たされた気分にさせてくれるのがすごいと改めて感じた。

旅行中にちょっとした出来事から二人がお互いの気持ちについて小さな誤解をしていくのだが、特に穰が”冷蔵庫に虫がいた!”と言い繕ったことから二人の会話が噛み合わなくなる下りが可笑しかった。
豊「いっぱい・・・見ちゃったの?」(←虫のこと)
穰(振り返って)「(はっ?!)なんだよそれ!」(←虫のことじゃない)
がよかった。今私が大好きな他局のドラマ『クールドジ男子』を思い出させる頓珍漢ぶりだ。ここにもいた、二人のクールドジ男子。

豊は控えめな性格で、声を荒げることもなく口調も穏やか、表情もさほど大きくは変えないし、動作もあまり大きくない。全体的に”静”の印象の人だ。
穰は顔も声も表情豊かで、種くんを世話していることもあり声も動作も大きい”動”の人。
ドラマ全体を通して、この二人のコントラストの強さもバランスがよくて面白かった。
今までこのドラマを見てきて、私は穰が豊の話をじっと聞くときの表情が好きだった。真剣で、ちょっと不安気だったり心配そうだったり、時には泣きそうな感じもあり、何より豊の気持ちに寄り添いたいという思いいっぱいの表情。
犬飼貴丈が危なげない安定感のある演技で落ち着いた感じなのに対して、飯島寛騎の演技はこなれすぎていないちょっと荒削りな感じで、表情も多彩でクルクル変わる。この組み合わせもとてもおもしろかった。飯島くんが他の作品で様々な役柄を演じるのを見てみたい。

種君も相変わらず可愛かったし(整いすぎたお芝居ではないこの生々しい演技が素晴らしい。ストレートに溢れ出てくる可愛さに抵抗できない)、一人真夏ファッションで浮かれていたお父さんも、いいところで気遣いがあって相変わらずほんわかしてくれていた。
派手さや刺激はないが、作り込みすぎないセリフが自然で優しく、物語の流れがとても心地よいドラマだった。

エンディングを聴きながら、これで見納めと思うとやっぱりちょっと寂しかった。



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