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『僕らの食卓』9話・最終話

9話。年の瀬も押し迫る中、穰からの告白以来、互いに連絡を取りそびれたままの豊と穰。二人それぞれの自分の家族とのやりとりが気持ちの後押しとなって、大晦日にやっと再会した二人。

夜の公園でのシーン。気持ちを伝えたことをずっと後悔していた穰。もうこれ以上豊を困らせたくない。以前の関係に戻れればそれでいい。
でも、豊は違った。穰に伝えたい気持ちがあった。そのために大晦日の夜に穰のもとに走ってきたのだ。
公園で互いの気持ちが通じ合ったとき、豊をギュッと抱きしめた穰の泣きそうな表情は、大事なものをもう二度と離したくないと必死にすがる子供のようだった。『チェリまほ』で、黒沢が橋の上で安達を抱きしめたシーンを思い出させた。
除夜の鐘キスと”肉まん味”に照れて吹き出す二人は、やはりほっこり優しくていい感じだった。

約束通り種くんと3人でおとづれた初詣。母の死の思い出から、手の中にある幸せがなくなる虚しさと寂しさをまだ忘れていない穰は、豊と思いが通じ合ったことを「幸せすぎて怖い」と言った。
そして豊も、大切なもの失う怖さを次第に感じ始める。

最終回。穰のお父さんが気を利かせて、たまには二人でお出かけしたらどうかと提案。種君なしのデート。楽しかったはずのデートなのに、幸せを失う事に臆病になってしまった豊は、途中でどこかぎこちなくなる。豊のよそよそしさに戸惑う穰。そんな時、またまたほんわか父さんが何かを察し、4人での食卓で美味しいお手製鍋料理を振る舞ってくれた。そのまま豊は上田家にお泊まり。
夜、静かな部屋で話す豊と穰のお父さん。幸せを失うくらいなら手に入れないほうがいいのではないかと怯える豊の話に耳を傾け、お父さんは”愛するということは失う痛みも引き受ける事だ”と自分の思いを伝える。妻を失った痛みは愛した証、この痛みを味わえて自分は幸せだと。お父さんは、もし大切なものを失ったら豊と一緒に痛がってくれるそうだ。ほんわか父さん、いいこと言う。
寝室で、種くんを真ん中に挟んで穰、豊の3人が川の字に寝ていた図はなんかいきなり若夫婦感が溢れていた・・・(そのあとは穰が移動して豊が真ん中になりました)。

数日後、これからもずっと一緒に食卓をかこみながら共に過ごしていきたいと穰に伝えた豊。穰も嬉しそうだったが、同意の返事をしたのは種君だった!最後まで可愛さにぬかりなし!

子役の前山くうが君、お父さん原田龍二は愛嬌があって個性的でも優しい雰囲気を壊すことなくドラマに味わいを加えてくれた。
主演の犬飼貴丈は綺麗さをメガネで隠した草食系男子で、大人しいけど女性っぽくない感じに豊を演じていてよかった。私が最後にドラマで彼を見たのは『ケイヤク』の英獅郎(はなぶさしろう)役だったので、豊を見た時はあまりのギャップに驚いた。一瞬別人かと思った・・・。

そして私は今回初めて飯島寛騎を知ったが、彼は見ているうちにだんだんいいなぁと思うようになった。BLの主人公だけれどきれいになりすぎず、ラーメン屋のバイト姿が似合う、うっすらとおヒゲもみえるようなあくまでも”青年男子”だった。このドラマが優しくてどこかさわやかさがあったのは、彼の”男子っぽさ”が生きていたからのように感じる。今回はBL作品だったが、他の作品でもいろんな役を演じる姿を見てみたいと思った。

除夜の鐘キス以外に最後まで派手なラブシーンはなかったがそれが不自然ではなく、募る恋心がじんわり伝わってくる、優しくてとてもいい作品だった。BLと言えばBL。でも、あまりそこに注目せずに見てもいい。

来週はスピンオフ『僕らの休日』を放送するとのことで、楽しみ。
でも、もうそれで見られなくなるのが寂しい。


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