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大切だと気付く日

体育館での練習の帰り
同期と練習しようという事で居残りをした。

練習を始める前に聞いて欲しいことがあるのはお互い様で、コンビニでソフトドリンクを買った私たちは無言で椅子に座り、テーブルを挟んで向き合った。

話す内容は共通の悩み、最近の話、将来の話。
手に持ったコーラを飲みながら、もしこれが麦酒だったらと考える。酒が弱い私には無理な話だが、きっと社会人になっても、この人とはこうやって話が出来る気がすると、 ふと思った。

彼はいつも言葉を選んで話す。考えずにものを言うと天然と周りに茶化される彼も、言葉を選べばかなりの説得力を持つ。自分の本当にしたいこと、これからを考えて悩むあの2時間は決して無駄ではなかった。

結局練習も出来ぬまま日を越えようとしてた。
もう帰ろう、そんなことを言わずとも、そそくさと話を纏め私たちは席を立った。正直なところ眠たい。

最後にコーラ、捨てさせて。

ゴミ捨て場の奥に人影が見えた。同じ部活の同期だった。
「なにしてんの?」
『今から帰んの。練習してた。』
「乗ってけば?」
『よかよか。気遣わんでよかよ。』
「寂しくないの?」
彼は静かに着いてきた。
素直じゃないこの人と、2時間話せる程心を開けっぴろげにするあの人と、私はこれから幹部になる。

彼等は反対と言っていい程性格が違う。でも私は2人が大好きだ。3人で肩を並べ駐車場に向かう。なんて事ない話をしながら、
この2人は大切な存在だと気付く。

幹部という肩書きは後から付いてきただけであり、私たちの関係性は以前から構築されていた。素直じゃなくて、でも同期を誰よりも想う部長、周りを見すぎたり知らぬ内に自分の時間を犠牲にしてたり、不器用な副部長。これから先、私はもう1人の副部長として、彼らとどんな時間を築いていけるだろうか。

男女の友情論はもう何十年も語り継がれる難題だ。
私は勿論、成立すると思っている。
男だからなんだ、女だからなんだ
大切にしたいと思ったら大切にするべきだ。

そしてそれを忘れてはいけない。私は彼らを大切にしたい。誠実に向き合いたい。これから何かあった時、その気持ちを思い出せるように、ここに残させていただきます。

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