Vol.2 【中国 上海】

前回の投稿を読んでくださった方、ありがとうございました。
「旅が始まる前にとりあえず書いて、投げた」ってそんな文章だったので、反応を頂けるとは思っておらず、嬉しいかぎりです。

さて、旅、始まります。いや、始まってます。
既に2カ国目の国に滞在しています。
中国の滞在中はNoteにアクセスすることができなかったので、これから少しづつ更新していきます。
よろしくお願いします。

2024年1月8日。さて、いよいよ旅が始まる。
まずはアジア横断の旅と題して、ひとまずの目的地をトルコに設定。
トルコの後はヨーロッパかアフリカか、まだまだ未定。

悩んだ末、最初の国には中国を選んだ。
中国からトルコまでのアジア横断、駆け抜けていこうー。

中国について、日本人の旅行先としては選ばれにくい国かもしれない。
2024年1月現在、日本国籍保持者への査証免除はなく、ビザの取得が必要であり、ビザの取得手続きもやや煩雑である。

それでも、中国に行ってみたいと思った。
行っている人が少ない、情報が少ない。
私に対して、これらは不安ではなくワクワクの方向に作用する。
情報が少ないからこそ、自分の目で見つめたい、感じてみたいと思った。
これから世界に旅立つ、私の旅の始点としてもちょうどいいように感じた。

出国前に高校時代からの友人と会う。
これまでの思い出とか、今後のやりたいことをお互いに話す、すごく濃くて、良い時間。
彼は別れ際にフイルムカメラ(写ルンです)を贈ってくれた。
旅の思い出、自分に見せたい風景を撮ってほしいと、帰国後の現像が楽しみだと。
粋なことしてくれるなあ、嬉しい気持ちになる。

期待に応えるためには、私はこのカメラを日本に持ち帰って、彼に渡さなければいけない。
「無事に帰ってこいよ」彼からのそんなメッセージが込められているようにも感じた。

感謝の念を伝え、成田空港で友人と別れる。
さて、ここからは1人。自己責任・自己完結の世界。
嬉しいこと、悲しいこと、全て自分でぶつかって、解釈して、飲み込んでいく。
そんな決意も胸に、第2ターミナルから第3ターミナルまでの道のりを歩く。
私の旅好きのきっかけとなった、高校2年生の奄美大島ひとり旅も、思えばこの第3ターミナルだったっけ。

搭乗手続き、保安検査、出国審査をすんなり終え、飛行機に搭乗。そして離陸。
しばらく日本とはお別れ、またねー。
22時20分発なので、機内では爆睡。気がついたら着陸していた。

さて、中国、まずは上海に到着。
眠い目をこすりながら入国カードを記入。
イミグレーションは順番待ちこそ長く感じたが、審査自体はあっさり終わる。
今回は観光ビザ、シングル30日での入国である。

入国審査を終え、空港を出る頃には深夜2時。
鉄道・バスといった公共交通機関は既に運行していない。
滴滴(didi)というライドシェアアプリを利用し、ホテルまでのタクシーを手配する。

日本でも導入が議論されているライドシェア(一般ドライバーが有償で顧客を送迎するサービス)は、中国では2016年から導入されているようだ。
日本のタクシーアプリと同様にスマホから手配でき、支払いもオンラインで完結。
料金をぼったくられる心配もなく、現在位置の把握や、緊急時の通報もアプリから可能。
便利、安心。しかも日本よりも料金が安い(30分乗って30元=600円ほど)。
中国に旅行に来られる方にはおすすめする。

手配した車両に乗り込む、車内は少しタバコ臭い。
乗り込むまでは窓が空いており、乗り込んだ後に窓を閉めたのは、きっと運転手の配慮だろうと考えることに。
車内は無音、窓からの景色を眺めたり、車内を見回してみる。
赤信号での停車中、運転手のスマホのナビゲーションアプリに目を留めると、目の前の信号が赤から青に変わるまでの残り時間が表示されていた。
スマホと信号がデジタルで紐づいているようだ、一体どういうシステムなのだろう。

20分ほどでホテルの住所付近に到着。
ホテルの位置は分からないけど、すぐ近くのようなので車を降りる。
さて、ホテルはどこだろう。周辺を歩いてみるが分からない。

うーん、看板に「酒店」と書かれた建物は多い、それは車での移動中から感じていた。
「酒」とあるので、酒屋か居酒屋だろう、それにしても多いな…待てよ?
ふと、違和感を感じて「酒店」の意味を調べる。そう、「酒店」とはホテルの意だったのだ。

ホテルは「宿泊場」とか、「泊場」とかそんな字を書くのかと勝手にイメージしていたが違った。自分でも笑ってしまった。
旅先で、現地の言語は分かるに越したことはないだろう。
でも、言語が分からなかったからこそ、この瞬間、少しの面白さを感じることができたのだろうと感じた。

来た道を少し戻ってホテルに到着、チェックイン。
ああ、車を降りた場所の目の前だった…。

中国国内での外国人の宿泊には届け出(宿泊登記)が必要であるが、チェックイン時にホテル側で登録してくれる。ホテルが外国人宿泊に対応していない場合は、宿泊できないケースもあるらしいので、現地に到着してからホテルを探す方はご注意を。

疲れの色は濃いが、何とかシャワーは浴びて、ベッドに倒れ込む。
はい、中国初日終了。

翌朝、少し遅めの起床。

とりあえず外に出てみる。
見慣れない景色、雰囲気。何もかもが目新しい感覚。
来たな~海外、一気にテンションが上がる。

早速、1つ違和感を感じる。
盛んに行き交うバイクを見ていると、バイクからエンジン音が聞こえない。
走り去るバイクからはタイヤの転がる音だけが聞こえてくる。
(下り坂でバイクのエンジンを切って走っている時の、あの音。伝わるかな)

そう、電動バイク。
日本では見かける機会が少ないので、頭に浮かばなかった。
調べてみると、中国の主要都市では10年ほど前から、エンジンバイクの走行が制限されており、電動バイクの導入が進んだよう。
たまに400ccくらいのスポーティなバイクは見かけるので、完全な規制ではない様子。

早速の日本とのギャップの発見に楽しくなる。
中国の交通規則は存じ上げないが、歩道を走るバイクもいて日本より少し、自由な感じ。
バイクが後方から接近してくる際、なにせ、エンジン音がないのでこちらは直前まで接近に気付くことができない、少し怖い。接触事故、ひったくりなど、注意を払わなくては。

ホテル付近の食堂で牛肉麺(ニューローメン)を注文。大盛りで20元(=400円)
かつて勤務していた神保町付近で食べたことがあり、馴染みのあるメニュー。
軽すぎず、重すぎず、朝食にちょうどいい。

遅めの朝食を済ませ、ホテルをチェックアウト、上海市中心へ移動する。
公共交通機関(バスと電車)を使って移動する。
公共交通機関の利用の際にはAlipay(中国で普及している決済およびライフスタイルサービス)でQRコードを表示、スキャンすることでキャッシュレスで楽々と乗車。
バスや駅の自動販売機には、そもそも現金を投入する設備が設けられていない。
中国キャッシュレス社会の発展、凄まじいと聞いていたが、現地に来ると、改めて体感する。
ネットで見ただけの情報だが、中国の若者は財布を持たないらしい。それも可能だなと感じる。


ユースホステルにチェックイン

荷物を軽くして、散策に出かける。
まずは中心地に行ってみようということで、外灘(Waitan)を歩く。
租界時代の西洋建築が並んでおり美しい。
川沿いの遊歩道は観光客、写真を撮る人々で賑わっており、対岸には高層ビルがそびえ立っている。
少し変な形の東方明珠電視塔(上海テレビ塔)、スタイリッシュで美しい上海中心大厦(上海タワー)が印象的だった。

高層ビル群が少し霞んで見えるのは、大気汚染によるものだろう。
気になってPM2.5の分布図を確認すると、上海付近は真っ赤に染まっていた(最も状況が悪い)。
それでも、意外と周りの人々(地元・観光客どちらも)はマスクをしていない。
着用率2割~3割くらいという印象、間違いなく日本より低い。

冬の時期、日本や中国の人々はみんなマスク…という印象は、ここでなくなった。
いいね、こういったステレオタイプの破壊、旅の中で、どんどん積み重ねていきたい。
外灘の西洋建築は現在も銀行等の金融機関が入っている。
そういえば、まだ手元に日本円があったっけ。人民元の現金もまだ持っていない。
(ここまでに現金を必要とするシーンが1度もなかったこと、キャッシュレス社会の進展を感じていただけるかと。でも、Alipayも時々エラーが出るので、現金はある程度持っておくことが必要)。

現金の引き出しについては、クレジットカードの海外キャッシングで行うつもりだが、歴史ある西洋建築の銀行両替をする経験も、1度くらいは悪くないだろうと。



中国銀行(BANK OF CHINA)に入ってみる。
用紙にパスポート番号や両替金額を記入、番号札を取って、数分待つ。
窓口に呼ばれたあとは、5分ほどで両替完了。
かなり円滑な手続き、よし、こんなものだろうと。


念の為、の現金も手に入れたことだし、さて、食べ歩きにでも出かけるか…。

というわけで外灘から南京路歩行街へ。
観光客向けの食べ歩きの店や土産店、ホテル等が立ち並んでおり、こちらも賑わっている。
私も中国に来たばかりなので、見慣れない雰囲気に気分が高揚する。

あ、食べ歩きのお店の一角で見つけてしまった。
「臭豆腐」
漢字の通り、かなり、とても、スゴく、癖の強い匂いのする食品である。
発酵させた液に豆腐を浸して作るそう。日本の食品で例えるとくさやだろうか。
日本で購入したことがあるのだが、瓶を開けた瞬間に、いや、開ける前からもう強烈な匂い。
その時は食べることができるとはとても思えなかった。ごめんなさい。

そんな臭豆腐が今、目の前に。
正方形にカットされ、1串あたり4切れほどの串刺しにして並べられている。
揚げてあるのか?焼いてあるのか?色は真っ黒、それなりの硬さがあるようにも見える。
近寄ると感じる、独特の匂い。
でも、調理済みであるからか、以前嗅いだ匂いとまた異なる。

よし、食べてみよう。
こうしたチャレンジこそ、海外旅行の楽しみと考えているので、迷うことなく注文。
焼き鳥と臭豆腐、それぞれ1串ずつ。目の前の網で焼き上げて提供してくれた。

早速、臭豆腐にかじり付く。
焼いてあるので外はパリッと、中は豆腐の柔らかさ。そんな食感。
噛むとじわっとクセのある味が広がる。

うん、いける、食べられる、美味しい。
ゲテモノに挑戦する感覚だったけど、これはリピートもありだなと感じる。
振り掛けられたスパイスとのアクセントもちょうどいい。
完食。ごちそうさまでした。


引き続き、歩行街を歩いてみる。

街ゆく人々を眺めていると、歩きながら煙草を吸っている人々が多いことに気付く。
中国では日本ほど喫煙への風当たりが強くない、のかもしれない。
でも、見かける喫煙者の割には吸い殻が路上に落ちていない。

立ち止まって眺めていると、あることに気づく。


街中に設置されたゴミ箱に吸い殻入れが併設されている。
「リサイクル可能物」「リサイクル不可能物」「吸い殻」の3区分となっていた。
ゴミ箱の設置間隔も短い。街の清潔さを保っている一因なのかもしれない。
(加えて、道路清掃の人々の努力によるものもあるだろう)

中国でも禁煙の流れはあるようで、公共交通機関での喫煙は御法度らしい。
それでも、街中や(ローカルっぽい)飲食店で喫煙者を見かけることはごく普通だし、副流煙を浴びることも多い。
それが良いとか悪いとか、単なる旅行者の私にはわからないし、とやかく言うことではない。

歩行街を後にし、地下鉄に乗って移動。
中国の地下鉄では、改札前に手荷物のX線スキャンおよび身体検査を受ける。
空港の保安検査ほどの厳しさはなく、検査で止められることはまずない。
銃器や刃物、爆発物を所持していないかどうかとか、そのレベルのチェックをしているのだろうと勝手に想像する。

豫園(Yuyuan)にて地下鉄を降りる。
明代に築園された庭園や、周囲には楼閣や土産物店、屋台が有名な観光地だ。
まず庭園に向かったが、入り口に押しかける人の多さに断念し、そのまま付近を歩くことに。


「豫園商城」という付近の商業施設は暗くなるとライトアップされるようで、歴史的な深みこそ感じることはできないが、煌々と光る赤い街並みは美しく感じられた。

Rou jia moという中国式のハンバーガー?を食べながら、付近を歩いてみる。
賑わいから少し離れるだけで街は一気に暗く、静かになる。ゴーストタウンのよう。
どうやら、この辺りは再開発される地域で、今は人が住んでいないようだ。
豫園以外の場所でも、取り壊されていく建物を数多く見た。
まだまだ発展していくんだろうなー、上海。そんな印象が強かった。


3泊4日、上海には滞在した。
雰囲気のいいコーヒーショップや、隠れ家的なバーを見つけて訪れたりもした。

色々と訪れた中でも、M50という地区はとても印象的だった。



アーティストやクリエイターが集い、ギャラリーや雑貨店が立ち並ぶ。
「おしゃれ」で形容しては申し訳ないし、物足りない。
本気で表現したい人々が自分の内面に溢れる欲求をただぶつけている。そんな雰囲気。
こちらに響いてくるエネルギーも強く、また訪れたいと感じた。

都市という、多くの人々が集まる空間。
常に新しいものが生み出されて、廃れて、循環していく。
エネルギッシュで、クリエイティブな人々も多く、一緒にいて受ける刺激も多い。

受けた刺激によってこちらの価値観もアップデートされるし、新しいアイデアも浮かぶ。
これは会社員時代、新宿や渋谷のバーを飲み歩いていた時に感じたことである。
今回の上海での滞在でも、同じことを感じた。
ここのカルチャーを掘り下げていけば、まだまだ面白い都市なのだろうと。

それじゃ、そろそろ行きますかー、次の街へ。

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