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【感想】第78回毎日映画コンクール受賞結果

真の映画ファンなら日本アカデミー賞よりも『毎日映画コンクール』ですよね。

日アカのように「人気投票」や「マスメディアの力学」で決まっている映画賞と異なり、現場のリアルな声が強く反映されている結果は毎年本当に楽しいです。


▼結果発表(2024年):

カンヌ国際映画祭よりも長い歴史を持つ「毎日映画コンクール」は、1946年(昭和21年)、日本の映画産業の振興に寄与し、国民に映画の楽しさを広く伝えることを目的に、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社によって創設された国内最高峰の映画賞。演技、作品はもちろん、撮影や美術、録音などのスタッフなど幅広い受賞部門を設けている。
今回は、2023年1月1日から12月31日までに国内で14日間以上、有料で劇場公開された作品。なお、アニメーションおよびドキュメンタリー部門は、同期間に完成もしくは上映された作品が対象となった。

https://www.cinemacafe.net/article/2024/01/19/89577.html

日本映画大賞:『せかいのおきく』(阪本順治監督)
日本映画優秀賞:『ほかげ』(塚本晋也監督)
外国映画ベストワン賞:『TAR/ター』(トッド・フィールド監督)
男優主演賞:鈴木亮平『エゴイスト』
女優主演賞:杉咲花『市子』
男優助演賞:宮沢氷魚『エゴイスト』
女優助演賞:広瀬すず『キリエのうた』

スポニチグランプリ新人賞(男性):アフロ『さよなら ほやマン』
スポニチグランプリ新人賞(女性):サリngROCK『BAD LANDS バッド・ランズ』

監督賞:石井裕也『月』
脚本賞:阪本順治『せかいのおきく』
撮影賞:鎌苅洋一『月』
美術賞:上條安里『ゴジラ-1.0』
音楽賞:ジム・オルーク『658km、陽子の旅』
録音賞:志満順一『せかいのおきく』

アニメーション映画賞:『アリスとテレスのまぼろし工場』(岡田麿里監督)
大藤信郎賞:『君たちはどう生きるか』(宮崎駿監督)

ドキュメンタリー映画賞:『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』(寺田和弘監督)

TSUTAYA DISCAS映画ファン賞・日本映画部門:『劇場版 美しい彼~eternal~』
TSUTAYA DISCAS映画ファン賞・外国映画部門:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

田中絹代賞:薬師丸ひろ子
特別賞:鈴木敏夫(スタジオジブリ プロデューサー)

▼感想:

なんでもかんでもアメリカに倣えの日本アカデミー賞と異なり、ちゃんと日本の映画関係者が自分のアタマを使って考えて選考していることが窺い知れるラインナップで納得感があります。

特に海外で爆売れしているからという理由だけで国内映画賞まで総ナメにしているゴジラマイナスワンをここまで冷遇できるのが凄いです。あれはエンタメ作品としてはレベルが高いものでしたが、アート作品としてはこのくらい(ノミネートはされても受賞は逃す)が妥当な評価でしょう。

主要部門を制した『せかいのおきく』『ほかげ』『月』『市子』は全部気になってたんですけどスルーしてしまったので少し後悔ですね。サブスク等に来たら是非観たいと思います。

しかしノミネート作品に私がお気に入りの『世界の終わりから』『少女は卒業しない』『山女』が無かったのは納得できないですねー。特に撮影賞には絡んでほしかったと思います。

あと『リバー、流れないでよ』もどれかに食い込んでほしかったです。ああいう戯曲を映画化したような脚本はあまり好かれないんですかね。外国映画に『ホエール』が無かったので、そんな気がします。

【作品部門】
<日本映画大賞、日本映画優秀賞>
『怪物』
『ゴジラ-1.0』
せかいのおきく
『福田村事件』
ほかげ
<外国映画ベストワン賞>
『EO イーオー』
『イニシェリン島の精霊』
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
TAR/ター
『フェイブルマンズ』
『別れる決心』

【俳優部門】
<男優主演賞>
綾野剛『花腐し』
稲垣吾郎『正欲』
鈴木亮平『エゴイスト』
藤竜也『高野豆腐店の春』
横浜流星『春に散る』
<女優主演賞>
安藤サクラ『BAD LANDS バッド・ランズ』
黒木華『せかいのおきく』
菊地凜子『658km、陽子の旅』
趣里『ほかげ』
杉咲花『市子』
<男優助演賞>
磯村勇斗『月』
宇崎竜童『BAD LANDS バッド・ランズ』
加瀬亮『首』
宮沢氷魚『エゴイスト』
永山瑛太『福田村事件』
<女優助演賞>
阿川佐和子『エゴイスト』
安達祐実『春画先生』
田中裕子『怪物』
広瀬すず『キリエのうた』
二階堂ふみ『月』
<スポニチグランプリ新人賞・男性>
アフロ『さよなら ほやマン』
池川侑希弥『雑魚どもよ、大志を抱け!』
黒崎煌代『さよなら ほやマン』
黒川想矢『怪物』
塚尾桜雅『ほかげ』
柊木陽太『怪物』
<スポニチグランプル新人賞・女性>
アイナ・ジ・エンド『キリエのうた』
石田夢実『遠いところ』
サリngROCK『BAD LANDS バッド・ランズ』
當真あみ『水は海に向かって流れる』
東野絢香『正欲』
山崎七海『渇水』 

【スタッフ部門】
<監督賞>
石井裕也『月』
是枝裕和『怪物』
阪本順治『せかいのおきく』
塚本晋也『ほかげ』
森達也『福田村事件』
山崎貴『ゴジラ-1.0』
<脚本賞>
足立紳、松本稔『雑魚どもよ、大志を抱け!』
荒井晴彦、中野太『花腐し』
佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦『福田村事件』
阪本順治『せかいのおきく』
坂元裕二『怪物』
港岳彦『正欲』
<撮影賞>
笠松則通『せかいのおきく』
鎌苅洋一『月』
川上皓市、新家子美穂『花腐し』
近藤龍人『怪物』
柴崎幸三『ゴジラ-1.0』
浜田毅『首』
<美術賞>
上條安里『ゴジラ-1.0』
瀬下幸治『首』
原田恭明『花腐し』
原田満生『せかいのきおく』
三ツ松けいこ『怪物』
<音楽賞>
坂本龍一『怪物』
佐藤直紀『ゴジラ-1.0』
ジム・オルーク『658km、陽子の旅』
小林武史『キリエのうた』
安川午朗『せかいのおきく』
<録音賞>
志満順一『せかいのおきく』
高須賀健吾『月』
竹内久史『ゴジラ-1.0』
冨田和彦『怪物』
深田晃『花腐し』

【ドキュメンタリー部門】
<ドキュメンタリー映画賞>
『生きる』大川小学校 津波裁判を闘った人たち
『キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る―』
『ケアを紡いで』
『劇場版 ナオト、いまもひとりっきり』
『国葬の日』
『絶唱浪曲ストーリー』
『チョコレートな人々』

【アニメーション部門】
<アニメーション映画賞、大藤信郎賞>
『I stitch my skin to the ground』
アリスとテレスのまぼろし工場
『Our Pain』
『URAHARA ― TEASER』
『丘にいる ft.VX-β』
『オクトポリス ―プロローグ―』
『己踊り』
君たちはどう生きるか
『520』
『駒田蒸留所へようこそ』
『Sewing Love』
『ゾウのかたち』
『太陽が水を汲んでいる』
『月見ごこち』
『並んだLAND』
『ニンジンは待ってくれない』
『HIDARI』
『BLUE GIANT』
『北極百貨店のコンシェルジュさん』
『マイスクール』
『Magnified City』
『みじめな奇蹟』
『Monk SEISHIN』
『屋根裏のラジャー』
『ユーフラジー=モンタージュ』
『来世 ユニコーンの首筋後ろのホクロになりたい』
『La nuit des illusions(迷走の夜)』
『Return』

(了)

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