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彼女は、普通の女の子のふりをしていた

連日ずっと同じ女の子についての記事ばかりで申し訳ない。プライバシーには気を使っているつもりだけど、こういうのって本来は許可がいるんだろうな…。偶然これを見られて「勝手にネタにしないで」と言われたら削除しようと思う。

◇◇◇

昨日破局した彼女は、出会って1ヶ月にも満たない子だった。

顔立ちは整っていて、少しだけ日本人離れしていた。フィリピンとかタイとか、そういう系統の美人って感じで。(追記:女優の杏さんに似てた。ふと思い出した)

話を聞くと、2年ほど海外に住んでいたことがあったらしい。興味本位で「〇〇は吸ったことある?」と訊くと「試したけど、私には合わなかったな」と言っていた。

その他にも、ルームシェア経験があったりと、おっとりした印象とは反対にアクティブな人生経験を持つ女性だった。

丸い顔と綺麗な二重が好きだった。前髪は基本作らず、かきあげるスタイルで、これも整った顔からくる自信なのかなと思った。

◇◇◇

聴く音楽も浅く広く…って感じで、あまり彼女の芯みたいなものは見えてこない、というのが最初の印象だ。

特によく覚えているのが「本当は服なんてどうでもいいけど、最低限女の子に見える服を着てる」と彼女が言ったことだ。

最近流行りのくすんだ色の服を着ていた。カーキとかスモークピンクみたいな。よく似合っていた。いや、自分に似合うものを分かって着ていたのだ。

ドラマや漫画の中みたいなデートをした。岩盤浴に行ったり、ろくろ体験をしたり。

「フィクションの中みたいだ」と思ったが、あながちそれは間違いじゃなかったのかもしれない。

というのは、彼女が「かくあるべきデート」を意図的になぞっていたことが昨日発覚したからだ。

◇◇◇

「謝らないといけないことがある」と彼女は前置きした。

「セフレが本当は3人いて、このままじゃいけないと思ってJAMくんと付き合った」と昨日告白された。

それを聞いた瞬間、ショックより納得が先に来た。

やけに悟った性格や、オーソドックスなデートに憧れていたのに合点がいった。伏線回収?というか、答え合わせ的な。

でもセフレとの関係は切れなかったらしく、人並みの恋愛はできそうにないから、と振られてしまった。

やけにオシャレな部屋も、置いてあった謎のダブルベッドにも納得した。

おととい、初めて彼女と寝たのだけど「どこでそんなこと覚えたの!?」と言わんばかりの技を披露されてしまった。

全ての答え合わせが終わった時、僕はまた独り身に戻っていた。

◇◇◇

彼女の言い分は「まあそういうことにしといてあげる」と全て飲み込み、僕たちは破局した。

彼女を「ふつうの女の子」にしてあげられなかったのは間違いなく僕の器量不足だ。

ひとつ思うのは、彼女に限らず、僕たちはみな少なからず仮面を被っているということ。

僕も彼女に秘密にしていたことはある。詳しくは話さなかったけど。そして彼女もまた、僕には言わなかった秘密がまだまだあるのだろう。

人はみんな違うから価値観が合わないのなんて当然の話で、その違いを認め合える仲こそが健全な関係なのだと思っている。

◇◇◇

ろくろ体験で焼きあがった湯呑みを1ヶ月後受け取ったら、今度こそ僕は彼女とさよならすることになる。

どうか元気で。

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