四則演算を使「わずに」数字を作る遊び
昔、理系人間ばかりで8人で旅行していたときの話。
電車の中でトランプを広げるには少々混雑が過ぎる。しりとりのような単純なゲームは性に合わない。
そこで、他愛もないクイズに時間が費やされることになる。
これは知っている。
といった感じで、答えが0から10になるような式を作っていく遊びだ。
なお、10を作る場合のみ、
「それはルール違反なんじゃないの?」
といわれる「ズル」があるので注意が必要だ。
この遊びでひとしきり盛り上がった後、ふと誰かが思いつくように言った。
は?
数字も四則演算も使わないってどういうことだよ?
円周率パイにガウス記号を付ける。
ガウス記号とは、小数点以下を切り捨てるという意味だ。πは3.1415・・・だから、ガウス記号をつけると3になる。
eは「自然対数の底」といって、2.71828・・・だから、ガウス記号を付ければ2。
確かにできる。
つまらない遊びが始まった。数字と四則演算を一切使わずに、どれだけの数字を作れるか。
なるほど。「eの2乗」をさらに3乗すると、「eの6乗」になる。
それを利用して6を作ったわけだ。
なるほど!
ルートの数を増やせば、2、4、8、16、32・・・と好きなだけ2の累乗を作っていくことができる。
足し算を作る方法についてはかなり時間がかかったが、こんなアイデアが出てきた。
彼が言っているのはこういうことだ。
例えば「A+B」を作りたければ、まずは「eのA乗」と「eのB乗」を作って、掛けてしまえば良い。そこに対数をつければ「A+B」の出来上がりだ。
そういえばそうだった。先程私たちは、掛け算の作り方を既に発明していたのである。
つまり、A+Bを作りたければ、
・まず「eのA乗」と「eのB乗」を作る
・これらの掛け算を、面倒だが例のやり方で作る
・その対数をとる
という手順を踏むこととなる。
何とも迂遠な方法だが、こうするしかあるまい。
できた。
2の累乗は既に作り終えているわけだから、後は2進法を使えば全ての自然数が作れる。
一同、達成感とともにこの遊びを終えたのだった。
「じゃあ、例えば2024を作ってみてよ」
などと安易に言わないでほしい。とんでもない労力になるのだから。
ちなみに、0は作れるのか?
作れます。
sin π=0
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