以前考えたSFの設定

2050年代、フェミニズムの台頭により完全なジェンダーフリーが実現した。
要職の半分を女性に奪われる形になった一部の男性は攻撃的になり、痴漢やレイプなどの性犯罪を起こしては、それが更に女性の男性嫌悪を加速させるのであった。
先進国では男女間の対立が深刻化し、婚姻制度は半ば破綻していた。女性は男児を産み育てることに嫌悪感を覚えるまでになっていた。
出生率はこれまでになく低下し、ニュースから少子高齢化の話題が流れない日は無かった。

そんな中、ある反出生主義者の男性研究者が己の人生を儚み、出生前の男児を母体から摘出して精祖細胞を培養し、妊娠を望む女性に提供するサービスを始めた。
このサービスの浸透により、誕生する子供の男女比は大きく変動した。

西暦2200年、男性は絶滅の危機に瀕していた……。


さあ、ここから女性だけの社会の同性愛を描くか、マイノリティーの恋愛に立ち向かう男女の物語を描くか。
レズビアンが基本の社会で障害のある恋愛に立ち向かう男女カップルを描くほうが物語としては盛り上がるだろうな。
でも単性生殖になったら恋愛とか発生するのかな。まあ同性同士でも思春期の疑似恋愛みたいなものはあるけれど。
育児のための家族集団を固定にするか流動的にするかで制度が変わるな。全員必ず最低一人1児をもうけるのが義務とすれば妊娠・出産・育児周りの相互補助は進むだろう。
介護問題は尊厳死の導入とIT化で何とか維持している。

……現代社会と地続きでシステムを考えるのが大変だから、遠い過去に人類がどこかの星に移住したりしているんだなあ、SFは。
社会制度の再構築もル・グウィンくらいの知識と想像力がなくては難しい…。

男性が居なくなっても「男性的なもの」が全く無くなる訳でもないのかなぁ。ただ、先進国は軒並み少子高齢化しているので軍事力を維持できず、世界は核軍縮に向かっている。

形骸化した軍隊で美少女たちがゆるゆる戦争ごっこをする物語も作れるな。

各国で核廃棄が急務になってわりと適当に海洋投棄した結果、大地震の勃発でバイオハザードが起きてしまい、唯一放射能汚染されていない女性が同じく汚染されていない精子を持つ男性を探すミッションを課せられる話も作れるかも。

それにしても、我ながら倫理的にかなり問題のある設定を考えたもんだ。胎児の性別が分かるのは妊娠中期なので、お腹の胎児が男児の場合妊娠中期で中絶し、堕胎した胎児から精祖細胞だけ取り出し、女児が生まれるまで培養した精祖細胞を用いて体外受精を繰り返すっていうトンデモ設定です。ただ殺すわけじゃなくてちゃんと社会の役に立つのよ♥っていう部分がフェミニストに受けたという背景で。エグすぎる。



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