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店で100万の借金を抱えたメンバー &プチコラム~ソープに沈められたギャルメンとメンバー強制労働工場~


  昔、東京のピン東に田口(仮名)というメンバーがいた。

 彼は店で来る日も来る日も負け続け、最終的に抱えた借金がなんと100万以上。これは麻雀の負け額ではなく、給与も合わせての合算で店への借金が100万以上あったのだ。

 今回はそんな田口というメンバーのことを記事にしたいと思う。

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 実際彼とはそこまでがっつり在職時期が被っていたわけではなく、彼が辞める前に2、3回ほど同番したことがあるくらい。そんな中で彼の雀力を示す2つのエピソードがある。

 ~エピソード1・必殺の赤切り~
 ある日、彼が麻雀を打っているとお客さんが後ろ見をしていた。彼が赤⑤筒を切ったとき、お客さんが明らかに驚いた表情を浮かべる(ほんとは顔に出しちゃだめだけど)

 局が終わったあと、お客さんが

 「田口くん…なんで赤⑤筒切ったの…?」

 聞くと、筒子の形が

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 から赤⑤筒を切ったらしい。別に③⑥筒を釣り出す目的でもないし、というかテンパイですらない。

 田口「ああ、あれですか?あれは赤⑤筒を切って鳴かせることで流れを変えようと思ったんですよ」

 という解答。

 ちなみにその赤⑤筒は鳴かれることもなく、彼はラスだった。

~エピソード2・代走での切り~
 その日、田口が代走を頼まれていた。5巡目に下の手牌になる。

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 ヘッドレスの手牌。通常であれば二切り。ちょっと捻った打ち手なら⑦切りとかだろうか。

 (田口さん何切るんだろう)

 見ていると彼はなんとここから⑥筒に手をかけたのだ。

 帰ってきたお客さんが目を丸くする。まるで信じられないものを見ているような。

 そのあと結局、紆余曲折あり最終的にはアガリがあったからよかったものの、そうでなければ怒られても文句は言えない打牌だった(せめてタンヤオで⑨筒を切れないものか…)

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 前述した通り彼は確かに麻雀が弱かった。だがしかし、そのお店は待遇はそこそこしっかりしていて、どんなに弱くても100万も借金を抱えるほどではなかった。

 では原因はどこにあったかというと、それは彼の「抜き癖」にあった。

 「抜き」とは雀荘用語の一つ。ピン東ではメンバーが麻雀を打つ際、店からお金を借りることが一般的だ(だいたい最初に2万借りるのが相場)

 そのお金は麻雀を打つためのお金なのだが、メンバーの中にはこのお金をポケットに入れ、それを遊ぶ金にあててしまうものがいる(もちろんこれは盗みと同等と見なされ、フリーでは禁止事項だ)

 彼はそれを頻繁に行っていた。

 彼が辞めたのも本走抜きの立ち番メインのスタッフとなり、抜きが出来なくなったからだという同僚もいた。

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 そもそもなぜ彼が100万ものアウトオーバーを作ることを止めることができなかったのか。

 原因はいくつかあった、当時スタッフが足りず辞めさせることが難しかったこと、オーナーが雀荘での勤務経験がなくその辺りやお金のことに無頓着だったこと。

 だが一番は彼と同番していた責任者に問題があった。

 後で話を聞くと、当時の責任者はオーナーの指示が無いことをいいことに、自分が麻雀を打つ際に積極的に田口を卓に入れていたらしい。もちろん責任者は田口が弱いこと、アウトオーバーだったことも知っている。

 ようするにその責任者は田口がオーナーの借金で打っていることを知りつつ、自分の金のために田口を積極的にカモっていたのだ。店のことなどは微塵も考えず、だ。

 田口をカモっていた当時のその責任者の成績は純黒よりもはるかに良かった。実際田口が辞めてからはパッとしない成績だったが。

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 ちなみに田口だが最後はもちろん辞めたわけだが、それは無断で退職しての飛びだった。まあ当然といえば当然のことだ。

 「借金を取り返せないのか」

 と思う人もいるかもしれないが、雀荘でのアウトというのは法律的には難しい部分で、飛ばれたら店側は泣き寝入りの側面が強いのが事実だ。田口もそれを知っているからこそあっさり飛んだというのがあるだろう。
 

 今回のように雀荘内でお金のことに関するケースでは色々な思惑が絡む場合が多い。

 今回のケースでいえば、借金をしていながら遊ぶ金をポケットに入れ続け、最後は飛んだ田口。そして店に損失が出ると分かっていながら田口を利用し私服を肥やした責任者。

 そこには秩序などもはや無い。あるのは各々の都合や利益、そして欲望だけなのだ。

プチ➀


 これは東京で働いているときにピン東で聞いた話。
 
 その店ではオープニングスタッフに女性メンバーのY子という女性がいた。東北から上京してきたらしく、立ち番ではなくなんとピン東の本走スタッフだ。

 Y子は手癖も悪く、店の売上を改竄してゲーム代をポケットに入れるどうしようもない女だった。そして麻雀も弱く、来る日も来る日も負け続け、最終的には店に80万以上の借金を背負っていた。

 そして、今後働き続けても完済の見込みがないと判断され、新たな働き先を紹介された。そこが東京のソープだったらしい。

 「借金でソープに沈む」なんて漫画の世界の話だが、現実でこんな話があるとは…

 ちなみにその店のメンバーがY子を指名するために店に行ったのかは最後まで聞けなかった。


プチ②

 
 これも東京の雀荘オーナーから聞いた話。 

 その店はピンの東南戦。ただ、ウマや祝儀が若干高く、アウトオーバーが膨らみ過ぎると何十万といくようなレートだった。

 そして、現に何人かのメンバーが大きなアウトオーバーを背負っていた。アウトオーバーは店としては飛ばれるリスクも負うので辛い。そこで考えたオーナーが考えたのは

 お客さんのやっている工場にメンバーを行かせて働かす

 というものだった。当然拒否権は無かった。

 完全にカイジの世界だが、これは悪いことばかりではなかった。メンバーの中にはその工場の社長に評価され、結局その工場に就職し、役職まで任されるようになったメンバーもいるとのこと。しかも結構いい給料で働いているらしい。

 麻雀で借金を背負い、良心的な就職先が見つかる、全くもって不思議な縁だ。


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