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中国式飲みニケーションの流儀 ※世代差あり

今日は特に中国への出張や駐在を控えている方、中国人との国際結婚を控えた方にとっては死活問題!中国式のお酒の作法についてお話できればと思います。

これが明確にどの世代で区切るというのは難しいのですが世代差が激しく、都市部と農村部、もっと言えば地域ごとの習慣によっても全然違ってくるので、ざっくりと「伝統的な習慣」と「若者の習慣」に分けた上で、経験談交えてお伝えします。

伝統的な習慣 = 白酒でカンパ〜イ

まず、日本人が真っ先に思い浮かべる中国酒といえば紹興酒ではないでしょうか。確かに黄酒というカテゴリで地域によっては人気ですが、中国全体のシェアでいくと圧倒的に売れているのが「白酒(パイチュウ)」。2021年に時価総額トヨタ超えを果たした高級白酒ブランドの茅台や、若者の宅飲み需要で人気を博した江小白、庶民価格で人気の红星二锅头など有名ブランドがいくつも存在します。

そもそも白酒とは、高粱などの穀物から作った蒸留酒なのですが、何よりヤバイのがアルコール度数。低くて40度以上、50度超えも珍しくありません。

中国の年配の方や農村の食事会だと、この白酒をストレートでクイっとやるのが一般的。ちなみに元々中国にはお酒を割るという文化がほぼなく、日本の焼酎水割り、ソーダ割り、ロックみたいな習慣がないので、特に白酒は基本全部常温のストレートのみ。

しかも…中国の伝統的な飲み会では、この白酒を「干(ガン)」、つまり一気飲みを促される事もよくあります。ショットグラスならまだしも普通のグラスでもこれをやるのだから危険極まりないです。

一見、アルハラにも思えますが、日本の昔の体育会系飲みのように無理やり飲ませるという文化は無い・・とは言い切れないけど、中国ではまだ薄いと思います。もちろんお酒が飲めない方や弱い方は事前に伝えておけば、ノンアルコールのジュースや、ビールだけでも大丈夫。できれば一番最初の注文の際にこれを伝えておきましょう。私も若き日に変な見栄を張って白酒を乾杯しまくり、大惨事になったことがあるのでくれぐれも無理はしないように!急性アルコール中毒など命に関わる危険性もあります。

伝統的なお酒の場のルール

①お酒を一人でチビチビ飲まない
白酒や黄酒を注がれている状態で、マイペースでお酒をちょいちょい自分だけ飲むのはホストや同席者に対して失礼になります。誰かから乾杯を促されたら一緒に飲む、もしくは自分きっかけで誰かを誘って乾杯を促してもOKです。どんな言葉をかけるかはその時々ですが、「祝我们的友好,来!(我々の友好を祝して飲もう!)」でも「谢谢你的款待!(お誘いありがとうございます)」でもなんでもOK。「干杯!(もしくは干)」と言うと、一気飲みを促す言い方なので不用意に仕掛けない方が得策です。「半杯(半分飲み干す)」「随意(自分の裁量で好きなだけ飲んで)」という言い方も合わせて覚えるといいと思います。

乾杯の仕方としては、日本のようにグラスをコツンと合わせる方法もありますし、グラスの底をテーブルにコツンと叩いて飲む方法もあります。その場の空気を観察しながら合わせていけば良いでしょう。

ちなみに飲み会の場ではみんな一斉に乾杯する以外にも特定の人を名指しして1対1ないし関係者数人だけで「乾杯」する場合もあります。例えば「イクメンパパのみんな!おつかれさま!」みたいなグループ指定の乾杯とか「酒鬼(飲兵衛)同士とことん飲もうぜ!」みたいな1対1で挑むパターンなど。これは中国語が聞き取れないとわからないかもですが、雰囲気的に自分の方を誰も向いてないと思ったら気を遣って乾杯の輪に加わらなくても大丈夫です。私も妻の地元の飲み会で方言が聞き取れず、なんとなく乾杯の輪に加わったら「あなたこの乾杯に関係ない」とお義父さんに制された事もありました。

②お酒弱いキャラは会の最初に作る
飲兵衛が多い飲み会では中盤から一気飲みの乾杯ラッシュになることが多いですが、最初は乾杯してたのに途中から「酔ったんで無理です〜」というのはホストや乾杯を促した人のメンツを潰す事につながります。なので、会の最初のキャラ作りは超大事で「私はそんなにお酒強くないけど1杯目だけ頑張ります!」とか「医者に注意されてるので半分だけ飲みますね」みたいな謙虚キャラを作っておくのがおすすめです。その伏線を入れておけば後からガンガン飲まされるという事態を回避できます。
途中からやばい!酔ってきた!となった場合には、「皆さんとの時間が楽しすぎて酔いが回るのが速い!」みたいにちょっとしたユーモアで和ませれば飲んでるフリで口つけるだけみたいな飲み方でも乗り切れます。

③絶対に潰れてはいけない
最も悪手なのは「私お酒大好きです!」といってほいほい注がれたお酒を飲み続け潰れることです。よほどお酒に強い人以外は酒の場で調子に乗らない方が身のためです。(過去の自分にも言ってます)
もしお酒の場で潰れてしまうと特にビジネスシーンにおいては無能のレッテルを貼られかねません。
様々な駆け引きをしながらほろ酔いで会を終えるのがベターです。中国では「二次会」はほぼないので、とにかく一つの店を粗相せずに乗り切ればOKです。

若者の習慣=どうぞご自由に

私の感覚としては80后(中国の1980年代生まれ)くらいまでの方は、上述のような荒々しい飲み会を経験している人が多く、ある程度酒の礼儀として弁えている感じでしたが、90后(90年代生まれ)から後の世代は、そんなしきたりに縛られない気軽な飲み会をしているイメージがあります。お酒を飲まないという人も増えているのではないでしょうか。

また、大勢の飲み会のメインといえば白酒一択だったのが、ビールやカクテルでゆる〜く飲むような選択肢も増えてきたり、とにかく自由にやってる感じがあります。

私の妻は30歳で90后世代ですが、お酒は自分の好きな時に飲むというタイプで、伝統的な白酒会に混じったら、ずっとココナッツジュースを飲んでます笑 ビジネス面でも、食事や飲み会で親睦を深めようという感覚も日本同様に薄れてきているようです。中国の00后(2000年代生まれ)が社会人になり始めた今日この頃、中国の飲みニケーションはどう変化していくのか?目が離せません。

最後に、中国では「去喝酒(飲みに行こう)」みたいな言い方はあまりせず、「去吃饭吧(ご飯行こう)」と誘われるケースが多いです。ただし、実質飲み会ってこともあるので、今日は食事だけか〜と油断しないように気をつけてください。





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