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01:デンマークのフィンテック企業普及の背景

文責:田中 亜季 2018年5月31日
編集:安岡美佳

はじめに

デンマークは、欧州諸国の中でも社会の電子化が進んでいる国の一つである。NationalBank(デンマーク中央銀行)のレポートによれば、デンマーク国民の平均現金使用率は約23%となっている。この数字は、EU各国の平均使用率を大きく下回っており、一時期はウェブメディアを中心として、デンマークは現金を廃止してキャッシュレス社会になるとも噂されていた。

2018年現在では、デンマーク企業内外の会計業務や請求業務は、すべてオンライン上で完結することが可能だ。たとえば電子請求のプラットフォームを構築するTradeshiftは、デンマーク国内での電子請求や書類のやり取りの簡易化、それに伴う業務時間削減を可能にした。会計オンライン会計プログラム・ソフトのDineroは現在16万社以上の企業に利用されている。

今後もデンマークのフィンテック企業は普及、発展を遂げると予想できる。デンマーク社会をここまで電子化へ推し進めた背景には、多くのフィンテック企業の発展と、組織の後押しがある。

本レポートは、2018年における注目フィンテック企業と、フィンテックに関連する銀行等組織を一覧化し、まとめた。

Public Organisation /公共機関

Nationalbanken/Danmark National Bank
デンマーク中央銀行。通貨クローネの安定を確保することを目的とし、デンマークの金融政策を司る。

Folketinget/the Danish Parliament
デンマークの国会議会、立法府。任期は4年、179名の議員で構成される。比例代表制。

Finanstilsynet/Financial Supervisory Authority
通称FSA、財務監督局。経済省の管轄。
主に、銀行、証券、年金基金、投資や保険会社などを含む金融機関や証券市場の規制・監督を担当している。加えて、財務法制策定の支援も行っている。

Finansministeriet/The Ministry of Finance
デンマーク財務省は、デンマークの経済政策、公共機関の生産性の向上を目指す。マクロ経済分析、国際経済協力、歳入歳出とそれに伴う分析、公共機関の効率化を進める。

Semi Public Organisation/準公共機関

Copenhagen FinTech Lab
デンマークのFintech関連起業家の支援組織。コワーキングスペースを提供し、移り変わりの激しいフィンテックのバックボーンを支えている。

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