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デンマークのアクティブラーニング:はじめに

文責:安岡美佳・内田真生

はじめに

デンマークでは、6−70年頃に大きな教育変革が起こりました。それまで行われていた教師から生徒への一方通行の教育、権威からの知識の伝達、暗記中心の学習方法に疑問が投げかけられ、学習者が主体となる新しい学習方法が模索され、次第に確立されていったのです。新しい思想に基づいた教育の場として2つの大学が新設され、その新しい学習法は、2大学を起点に研究が進み、積極的に学習の現場で活用されるようになっていきました。この新しい学習モデル「アクティブラーニング」の対象は、幼児から成人までと幅広く、様々な分野学習での応用が可能です。日本ではアクティブラーニングは、今後近い将来に必要になってくる21世紀型スキルの獲得や「自ら学ぶ力」をつけるのに重要であるという認識が10年ほど前から高まりをみせており、新しい教育方針も模索されつつあります。

デンマークには、アクティブラーニングの世界的先達であり先鋒である2大学があります。ロスキレ大学オールボー大学です。今回、ロスキレ大学で教鞭をとり始めたこと(安岡)、オールボー大学の教育法を修士プログラムで学んだこと(内田)をきっかけに、私たちは、デンマークから始まったアクティブラーニングの本質をより広く日本語で伝えたいと感じるようになりました。

現在、コロナウィルスの蔓延で世界中の学校の閉鎖や授業の休講が相次いでいます。授業がないから、学校が閉鎖されたから、そのような理由で「学ぶ」という行為が中断されていないでしょうか。その中断はしょうがないことであると認識されてはいないでしょうか。学ぶという行為は、人に一生ついて回ります。このような時期だからこそ、アクティブラーニング(自分で主体的に学ぶ)という考えが、今以上に重要になっている時期はない、と考えています。また、今回の強制的な実験の結果、リモートワークにならざるを得ない状況でも、「学び」にグループワークを活用できるということが、この数週間でわかってきました。この新しい発見も含め、改めてアクティブラーニングについて、そしてグループワークについて考えて見たいと思っています。

デンマークアクティブラーニング連続エッセイとして、次のテーマでお届けします。

アクティブラーニング連続エッセイテーマ

1.デンマークの大学とその特徴
デンマークには国立大学が8校だけ!なんです。その8大学はそれぞれ特徴をもっています。どの大学でも学習モデルの一つとしてアクティブラーニングが採用されていますし、そのうちの2校では、あらゆる場でアクティブラーニングの基本的な考え方が根付き実践されています。日本にはまだ比較的新しい「アクティブラーニング」という学習モデルには、いくつか重要な視点があります。また、本エッセイは、デンマークで勉強したい、研究したいと考えた場合の大学選びの参考にもなるかもしれません。

2.ロスキレ大学PPLとオールボー大学PBL
アクティブラーニングの誕生の場、そして実践の場であるデンマークの2大学、ロスキレ大学とオールボー大学の学習モデルを紹介します。

3.デンマークのグループワークの手引き
アクティブラーニングの鍵の一つは、多様性を重視したグループワークです。デンマークで実施されている典型的なグループワークのやり方を紹介します。

4.オンライングループワークの手引
リモートワークでもグループワークの有効性は維持できる!ということを、今回の強制リモート学習で感じています。ただ、もちろんコツがいります。

5.グループワークの鉄則
グループワークについて改めて考え、デンマークのアクティブラーニングに関して再考します。コメントや質問を受け付け、その回答の機会としたいという野望があります。

というわけで、デンマークのアクティブラーニングについて、ご質問や問い合わせをお待ちしております。

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