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文化×身体操作

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あらゆるスポーツとそのパフォーマンスには発祥圏の文化的背景が影響を与える。違う文化圏の競技でパフォーマンスを上げていくには、そのことを理解してトレーニングを構築していく必要がある。
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日本人がやるサッカーは西洋人力士の相撲

私が前提条件を重視する理由は、「スタートラインの位置」を教えてくれるからだ。 それぞれの持つ前提の違いによって、スタートラインは変わる。 スタートラインがすでに相手より後ろにあるのに、相手と同じことをしていては勝てるわけがない。誰でもわかることなのに、前提に目を向けない限り、このことに気付きにくい。 *** さて改めて前提条件。 これは試合で本来のパフォーマンスを発揮したり、パフォーマンスを上げていくために非常に重要だ。これを外すもしくは軽視すると、せっかくの努力が

『不変前提』

前回は変動前提がパフォーマンス上の課題に対して行うべきことの選択に大きな影響を及ぼすことを考察した。 ▶︎前提条件の影響 前提条件の違いは「やるべきことの優先順位」を完全に変えてしまう ▶︎変動前提 前提条件の中でも変化するものを指す 例)対戦相手、天候など Vol.1 ▼ 今回は、『不変前提』について考える。 不変前提は、その競技をやる上で”変わらない”前提条件である。 例えばサッカーならば、ボールを足で操る制約があること、など。 ■変わらない前提条件 不変前提

パフォーマンスにかなり影響を与える『2つの前提条件』

Vol.1 大袈裟ではなく、前提条件の違いは「やるべきことの優先順位」を完全に変えてしまう。 同じ現象でも、前提条件の違いで見え方は完全に変わる。 それほど前提条件は影響が大きいものである。 ■シュートミスをした選手への対応 例えばシュートミスをした選手の問題を解決する手段を講じる際のお話。 問題=シュートミス 解決手段=シュートの成功率を上げるための方法 あなたならどんな方法でこの選手の問題を解決するだろうか? おそらく競技や指導経験のある方ならすぐにいくつか思い浮

陸上短距離の走り方が”走りの基本”ではない理由。

陸上の短距離走の走りは、多くの場合"走りの基礎であり基本"だと捉えられてきた。 それゆえ他の競技で走りの基礎として陸上スプリントの走り方トレーニングなどが導入されるケースも多い。 しかし、身体操作の観点からみると決してそうとは言い切れない。 特に100m走など直線を駆け抜ける形式は、サッカーやラグビーなどの走り方とは根本的に異なる。 陸上短距離走の『走り方』トレーニングをしても、サッカーやラグビー、野球などのパフォーマンスの向上につながらないことも十分に考えられる。 今回はそ

文化がもたらす価値観・美意識が身体操作に与える影響とは-

「腰を落とせ」という言葉は、日本のスポーツ界では非常によく使われる。 野球のゴロを捕球・サッカーでの構えやコンタクト・相撲の基本姿勢など、日本で何らかの競技を行う時には耳にしないのが難しいぐらいメジャーな存在だ。 私が身体操作を指導する多くのプロ選手たちも、全員、腰を落とせという指導を受けた経験があるようだ。 私は、この言葉を単なる指導言語ではなく『文化が言葉とスポーツパフォーマンスに影響を与える典型例』として注目している。 ▼ Vol.1 スポーツパフォーマンスの向上

スポーツパフォーマンスの向上には言葉の定義と文化の影響への考察が不可欠である理由。

スポーツのパフォーマンスを高めていくために必要なものは数限りなくある。 その中でも私が重要視しているのは”言葉の定義”と”文化の影響”だ。 もちろん解剖学・生理学・神経学・バイオメカニクス・物理学などの基礎知識は当然のこととして。 なぜ重視しているのかというと、シンプルにパフォーマンスの向上に不可欠だと考えるからである。 そしてこれらはフィジカルの立場からみて不十分な現状があると感じている。 フィジカルコーチ・スポーツトレーナーというトレーニングやエクササイズを指導する立場