第4話 3度目の再会
桜を観ても初恋の彼を思い出さなくなったのは
いつ頃からだろう…
あれから何度目かの春を迎えた私の腕の中には
小さな命がスヤスヤと眠っていた
初めてのお出掛けは姫と2人でパパのお迎え
待ち合わせ時間より少しだけ早く着いたから
何気なく立ち寄ったコンビニ…
すると突然 背後から誰かに話しかけられた
『お前こんなとこで何してるん?』
それは聞き覚えのある懐かしい彼の声だった
『えっ?自分こそこんなとこで何してるん?』
『俺はこの近くで働いてるねん
で?お前は何してるん?』
『旦那さんの職場にお迎えに来てん』
『子供生まれたんやな…可愛いなぁ』
と言うと彼は当然とばかりに姫を抱いた
『お前の子供かぁ…俺の子じゃないんやな』
『当たり前やん、変な事言わんといて笑』
『ごめんごめん🙏あんまり可愛かったからさ』
『相変わらずやなぁ笑 元気にしてるん?』
『おう元気やで』
聞きたい事はたくさんあった
あの時のプロポーズはなんだったのか
あれからどうしていたのか…だけど
スヤスヤと眠る姫の顔を見ていたら
そんな事はもうどうでも良くなっていた
不意に彼から当たり前のように
『どうする?連絡先交換する?』と聞かれた
別れたあの日、もし偶然どこかで出会えたら
その時は連絡先を交換しようと約束を
していたからだった…
しかし私は今はもう結婚して子供もいる
これはどうなんだろうと考えた
『とりあえずなんかのご縁があるのかも
知れへんけど…今日は偶然出会えたから
もし必然ならまたどこかで会えるはず
だから偶然が後2回続いたらその時は
連絡先交換しよう』
『わかった』
『またね』
『おぅまたな』
そんな会話だけしてその場を離れた
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