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NYの高級住宅街のアッパーウエストサイドでは治安の悪化が深刻化している

先日、高級住宅街のアッパーウエストに二つのシェルターが出来、治安の悪化を匂わせる事件が起こっていることを呟いた。あの段階では、ホームレスシェルターはまだ二つだったけれど、最近それが三つになり、もはやローカルニュースでも、周辺市民がコロナよりも治安の方が恐いとすら言い始めている。実際にニューヨークでのホームレス関係の警察への苦情だけでも、先月は2000件を上回っていて、発砲事件の数も前年度の同時期の2倍近くまで増加している。

セントラルパークに近い場所は特に高級住宅街として人気の高いマンハッタンのアッパーウエストサイドは、どちらかと言うとお金のある、貧困層とは違う立場に生きてきたような人たちが、平和な環境を好んで家族で住んでいるようなパターンが多い。(ジョンレノンのダコタハウスもこのエリア)

今回の感染増加時には、コロナ以降にその経営に行き詰まったホテルオーナーたちの好意により、すでに感染クラスターが発生してしまったオリジナルのホームレスシェルターに住んでいた人たち、または症状の出ている陽性患者の人たちなどをマンハッタン内のホテルに移動させると言う時期があった。その時の流れから、先ごろ3つの高級ホテルを市が借りきる形となったアッパーウエストでは、現在は300人以上のホームレスの人たちをこれらの場所に移動していて、高級住宅街にある高級ホテルは、今はホームレスシェルターになっているのだ。

正直、パンデミックで感染爆発してしまった時期のNYでは、ホテル側もボランテイアの気持ちで好意で対応していたし、人々はこのパンデミックの状況でみんなで助け合うと言う方向に確実にフォーカスが向いていたと思う。そして、ステイホームの要請のある気温も低かった時期には、人々は不自由さのみならず、大きな不安の中にもいた分、それほど何かが激化したりはしていなかった。

しかし、例のジョージフロイド氏のヴィデオ拡散後に起こった巨大プロテストにより、方々で略奪や暴動が起こり、警察の予算カットまでが行われ、街がコントロールできない状態になった成れの果てが現在のホームレスの増加と著しい治安の悪化なのだ。

しかし、冷静に考えてみて、高級住宅街を選んで住んでいる人たちの、一体誰が、目の前で治安の悪いエリアのような日常が毎日展開されることや、自分たちが被害者になるかもしれないことを考えて暮らさなければいけない状況を想像しただろうか。

これは完全にChaosだ。

そして、ホームレスシェルターの人たちの中には、自分から選んでホームレスをやっているだけでなく、そういう境遇になってしまった精神障害の人たちや、ジェイル(刑務所)から出てきた犯罪歴のある人たちもいる。そういった人たちが、自分たちの居住エリアで、物を盗んだり、恐喝めいた嫌がらせを行っているだけでなく、公共の場での薬物摂取、ひどい時は、露出狂のような行動や排泄行為までに及んでしまうと言った状況は、もともと環境のいい高級住宅街を選んでそこに住み続けて来ていた住民たち、子供を育てている人たちなどにとっては、本当に生きた心地がしないと思う。だから、泣く泣く引越しを決心している人たちも今や結構出てきているようだ。

一方で、NYでは、相変わらず発砲事件も連日続いているし、先週末も土曜日だけで、それぞれのエリアで合計12人も亡くなった人たちが出ている。

だから、オープンレストランや学校の開講、ジムや文化機関のオープンなどと言った一見少しづつ前に進んでいるような状況とは裏腹に、治安だけはとてつもなく悪化しているのが現在のNYの現実だ。

それでもここで暮らしている私たちは、このどうにもならないChaosの中で、一体どの現実に向き合い、どの方向を向いて生きていったらいいのか、その都度選択を迫られる状況は日常的に発生している。

ただ、いろいろな事が起こっているに違いない今、私が思うのは、これほどの混沌とした状況になりながらも、この街に住む多くの人たちは、まだこの街をとても愛しているに違いないって言うことだ。だから、そういったこの街への愛みたいなものだけで、今はみんなが目には見えない形で繋がり合おうとしているような気はする。

その気持ちが実を結んでいつか形になる日を想いながら、今日はこの曲を送ります。



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